「この約50年“ハリウッド”はこれを超えるdisaster映画は作れていない(“ハリウッド”自体が変質してしまったから最早ムリか)」タワーリング・インフェルノ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
この約50年“ハリウッド”はこれを超えるdisaster映画は作れていない(“ハリウッド”自体が変質してしまったから最早ムリか)
①ビデオやDVDではその後何回か観ているけれども、大スクリーンでは45年ぶり2回目。映画に本格的に恋することになったキッカケの映画。同時にフェイ・ダナウェイにも恋するキッカケになった映画(ずいぶんませたガキだったわけ)。
②ただだだ圧倒されていた中2のガキと、還暦目前のオヤジとではやはり見るところも変わってくるわけだし、この50年で「グラスタワー」より高いビルも立ってしまったわけだけれども、『当時はこれが最先端立ったんだよなぁ』という感慨を持つ反面、今観てもそれほど古くさく感じない。逆に今のSFX映画を見慣れた目には手作り感が懐かしい。
③まずはrealityを離れて娯楽映画として見てみると、脚本が良くできている。オールスター映画に有りがちのな人間模様をだらだらと描かず、結構早い時点で火事が起こり消防車が駆け付けている(初見の時は導入部はもう少し長かったように感じた)。だから話がだれない。演出も中弛みせずに全編ほぼ同じテンションで進んでいく。次から次と起こる新たな事故に丁寧に果敢に対応していくスティーブ・マックイーン演じる隊長率いる消防士達の活躍も(ポール・ニューマン演じる設計士もそれなりに頑張るけど)変わらず感動的に描かれていく。かといって人間模様の方もお座なりにはされず、特撮場面には負けない程度の濃さでに点描されている。45年前に比べて字幕を見なくても台詞が分かるようにようになったせいかも知れないけど。(初公開時はこれまた更に以前のハリウッドオールスター大作に比べ人間描写が弱いとの批評が少なからずあった。時代は廻るんだな。)ただし、編集部分でカットされたのかブレッド・アステア扮する詐欺師とジェニファー・ジョーンズ扮する裕福な未亡人が恋に落ちるのが唐突すぎて背景が描写不足。また、市長夫婦も中盤から突然存在が前に出てきて娘の話をし出す。これも映画の流れをだらけさせるか何かの理由で編集でカットされたのかも知れないが、パーティーに出る前の娘とのシーンをチョコッと加えたら、唐突な市長夫婦エピソードの介入をもう少し自然に感じられたのかも知れない。
④一方、今回、スーザン・ブレークリー扮するパメラが結構ファザコン娘であることが理解でき、これまでは薄っぺらな一人悪役と思っていたリチャード・チェンバレン扮するロジャーの屈折した内面が少しわかった(でもクソ野郎であることには変わりはないけれど)。⑤