タッカーのレビュー・感想・評価
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稀代の仕掛け人
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デトロイトのビッグ3によるベンチャー潰しでわずか50台しか作られなかった幻の名車(Tucker 48)の実話を基にした物語である。3つ目の斬新なデザイン、空気抵抗0.30、独立懸架サスペンション、166馬力6気筒5.5ℓ・水平対向エンジン、車重1.9トン、6人乗りセダンで0-60mph:10秒、最高時速:120mphなどの運動性能や大型バンパー、クラッシュブル・ステアリングシャフト、飛散防止ガラス、シートベルトなど安全性能でも当時としては画期的な車であった。タッカーがインディ500に携わっていたことで触発されたのだろう。コッポラの父親もタッカーの株を買い子供の頃のコッポラも宇宙船のような新車の納車を楽しみにしていたという。
映画のタッカー像は良き父親であり卓越した仕掛け人として描かれます。オープンな人柄からか部下にも恵まれ、彼を支えるエンジニアが日系人のジミー・サクヤマというのも興味深い。あのハワード・ヒューズが助け船を出したのは驚きだが、肩入れするなら資金援助してくれてもよさそうに思えた、願わくば二人の関係性をもう少し掘り下げて見せて欲しかった。
裁判の最終弁論のくだりは車と建築の違いはあるが往年の名作「摩天楼」(1949)のゲーリークーパーの弁論と重なる。Appleのスティーブ・ジョブスもガレージメーカーから起業し56歳の短命でしたがタッカーも裁判の6年後53歳で亡くなっています。いつの時代でも夢に挑戦したパイオニアの物語は若者たちの希望の糧となることでしょう。
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