「オールタイムベストの一作。」黄昏(1981) 楽々さんの映画レビュー(感想・評価)
オールタイムベストの一作。
偏屈で強烈なユーモアの持ち主である老いた主人公と、往年の美しさを残す妻。
毎年のバケーションに、放蕩娘が継子を置いて新婚旅行に行ってしまう。
思春期の生意気ざかりの継子だったが、次第に主人公と心を通わせ、お互いを理解するようになってゆく。
はじめてこの『黄昏』に触れたのは、まだ小学生でしたが、ああこれが見たかったのだと子供心にも思わせた、素晴らしい作品です。
当時出回り始めたビデオに残して繰り返し鑑賞した、個人的オールタイムベストの一作でした。
風景も音楽も美しく、人物たちの描かれ方もまた絶にして妙、ナンパ好きを公言する継子にボートを出して釣りを教えるシーンなど、何度見てもストーリーがリズムよく展開し、観ていて飽きません。
子供の頃好きだった古い作品を見て、撮影や演出の技術の低さにがっかりすることも多い昨今ですが、この練り上げられた映像美は必見。
苦味の残るなかのラストも心地よく、湖畔の反射光がきらめき、爽やかな風が心を駆け抜ける素晴らしい鑑賞体験となりました。
コメントする