劇場公開日 1988年4月29日

「子供の変化に“徐々に”感の無い演出が残念に思え…」太陽の帝国 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 子供の変化に“徐々に”感の無い演出が残念に思え…

2025年8月22日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

この作品を劇場鑑賞してから、
もう35年以上も経っているのか、
と言う感慨深いTV放映を録画しての再鑑賞。
正直なところ、スピルバーグ映画としては、
私の中では評価の高くは無かったのだが、
長い時間を経て、
印象がどう変化するのか、しないのか、
また、スピルバーグはどんな意図で
この作品を製作したのか、
を探る楽しみもあり再度観てみた。

改めての今回の印象は、
当時と余り変わらないものだったのか、
P51ムスタングの攻撃シーンこそは
記憶に残る絵ではあったものの、
かなりの尺が収容所内での生存のための
立ち振る舞いという、
かなり地味な内容であったことに
改めて驚かされた。

最後に両親に再会できた息子は、
子供らしからぬ活躍で、
収容所の仲間からは認められていたものの、
果たしてこの先の両親との関係において、
普通の生活に戻れるものだろうかと
心配になるばかりで、
改めて、戦争の罪の深さを訴えようとした
スピルバーグの意図が、
そこにあるかとは思えた。
しかし、少しは日本に精通しているはずの
スピルバーグでさえ、
日本軍兵士の画一的な扱いや、
原作にあったからかも知れないが、
上海での特攻機の設定や
原爆の光の目撃など、
演出過多に走り過ぎたように見えることと、
何より、子供の変化に
“”徐々に”さが感じられない
演出は残念に思えた。

それにしても、その後、
大人になってからのクリスチャン・ベールを
たくさんの作品で目にしたわけだが、
実は大人の面影タップリの彼をこの作品で
最初に観た時は、勿論そんなことは
思いもよらないことだったし、
黒澤明をリスペクトしているスピルバーグ
らしく、「羅生門」のようなセットには
思わずニアリではあった。

KENZO一級建築士事務所
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