「ずっと主人公側の視点ばかりで進行する話」捜索者 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
ずっと主人公側の視点ばかりで進行する話
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総合65点 ( ストーリー:70点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
物語が始まるやいなやいきなりたくさんの人名が出てくるので覚えるのが大変。そうかと思ったらあっという間に殆どが殺されてしまって覚えた意味がなくなった。
それで本編だが、州をまたいで広大な大地を5年にも渡る長い追跡というのは想像していなかったし、季節をまたぎ各地を彷徨うその大変さが感じられた。仇討ちのために半生をかけて日本中を歩いて仇を探し出すという江戸時代の話を思い出させる。そうして苦労しながら長旅を続ける彼らの執念と苦労が良かった。
しかし先住民相手に商売をして生活費を稼いだというのが出ただけでは少なすぎで、もっとその5年の生活の大変さをわからせる場面があってもいい。その意味では演出が足りない。
そして先住民の妻が死んでも主人公たちが何の感傷も見せない扱いの酷さにはがっかりする。敵役のスカーの扱いも似たり寄ったりで、白人に家族を殺された彼がどのような人物なのかを殆ど描写しないし、そもそも殆ど登場すらしない。ただ敵役として存在するだけで、しかも知らないうちに殺されていて、ただの白人側の話の中に登場する悪役扱い。これが当時の白人優位の一方的な視点から作られた作品だというのを強く意識させられる。それでもスカーに白人に家族を殺されたから同じことをしたと言わせただけまだましかもしれない。
結末のデビーの心変わりにも、それがあっさりとしていて今までの彼女の苦労はなんだったのかと思った。彼女の経験も心痛もよくわからないままに終わった気がする。
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