捜索者
劇場公開日:1956年8月23日
解説
久方ぶりにジョン・フォードが取組む西部の叙事詩。廣野を背景に、深い愛情を呵責ない非情で包む西部男の物語。サタデー・イヴニング・ポスト誌連載、アラン・ルメイ原作“復讐するテキサス人”を「ミスタア・ロバーツ」のフランク・S・ニュージェントが脚色、「ミスタア・ロバーツ」に続きジョン・フォードが監督、ウィントン・C・ホックが撮影を担当。主演は「中共脱出」のジョン・ウェイン、「白い羽根」のジェフリー・ハンター、「フェザー河の襲撃」のヴェラ・マイルズ、「理由なき反抗」のナタリー・ウッド、他にフォード一家のワード・ボンド、ハリー・ケイリー・ジュニア、ジョン・ウェインの息子パトリック・ウェイン等が助演。
1956年製作/アメリカ
原題または英題:The Searchers
劇場公開日:1956年8月23日
ストーリー
南北戦争に従軍したイーサン・エドワーズ(ジョン・ウェイン)は終戦を迎えて3年後、テキサスで牧場を営む弟アーロンの許に戻る。彼を出迎えたのはアーロン始めその妻マーサ、18の娘ルシイ、14になる息子ベン、9歳の娘デビー。他にチェロキー族との混血で、一家がコマンチ族に皆殺しにされたため引取られた血気な若者マーティン・ボウレイ(ジェフリー・ハンター)の姿。だがイーサンハはハーフのマーティンに好感を持たないらしい。翌日、牧師も兼ねるテキサス警備隊隊長サム・クレイトン大尉(ワード・ボンド)の一行がやって来る。隣人の牧場主ジョーゲンセンの牛がインディアンに盗まれたので追跡するのだという。イーサンとマーティンは隊に加わる。マーティンに別れの接吻をするジョーゼンセン家の一人娘ローリイ(ヴェラ・マイルズ)。出発した捜索隊は途中、白人男子を家から誘い出すためのコマンチ族の仕業と知り、二隊に別れて引返す。だが時遅く、エドワーズ一家は皆殺し、ルシイとデビーは誘拐されていた。犯行はコマンチ酋長スカーと部下の仕業と判る。捜索隊はコマンチ族を追跡したが劣勢のため退却。復讐の念に燃えるイーサン、マーティンそしてルシイと愛し合っていた20歳になるブラッド・ジョーゲンセン(ハリー・ケイリー・ジュニア)の3人だけ追跡を続けることになった。数ヵ月後、3人はコマンチ族に追いつき、イーサンはルシイの死体を発見したが祕かに埋葬。だがインディアン幕営地近くでそれを知ったブラッドは狂気のようにコマンチ族目掛けて馬を飛ばせ不運な最後を遂げた。イーサンの敵慨心は更に硬直。やがて捜索2年目も過ぎイーサンは、デビーと血縁もないマーティンに平和な生活へ戻れとすすめたが、彼はきき入れない。その頃、交易所を経営するファタマンから、報酬と引換えにデビーの居所を教えるといってくる。イーサンは単身、交易所へ。マーティンも引止めるローリイの手を振り切って後を追う。デビーは酋長スカーと北方の保留地に向ったと聞いた二人は謝礼を払い直ちに出発。だがその夜露営先に子分を連れたファタマンが襲来。予期していたイーサンは逆に一味を射殺して死体から謝礼金を取戻す。やがてコマンチ族の交易所に立寄った時、マーティンはコマンチ娘ルックに惚れ込まれてしまい、珍妙な夫婦ができ上る。だがスカーの居所を知るらしいルックをイーサンは詰問、姿を消したルックは軍隊に襲撃された集落で死体となって発見。デビーを逃がそうとしてスカーに殺されたらしい。アメリカ西南部を踏破した二人は、ニュー・メキシコ地帯でメキシコ人エミリオの案内から遂に目指すスカーの許に着いた。白人を憎悪するスカー。その天幕には一人前の娘に成長したデビー(ナタリー・ウッド)の姿。だが彼女は二人に気づかない。怖気づいたエミリオは、スカーは全部知っているのだと言い立去る。二人が去りあぐんでいる処に駆けよったデビーは「私は今ではコマンチです。帰って下さい」と言う。血縁の名折れと拳銃を手にしたイーサンはコマンチの狙撃に傷つき、マーティンの助けで辛うじて牧場へ戻る。折しも牧場では、警備隊員チャーリイとローリイの結婚式。怒ったマーティンは花婿と拳銃の応酬。結婚式は流産となる。やがてクレイトン指揮の警備隊はスカーのキャンプを急襲。単身潜入したマーティンはデビーを救いスカーを射殺した。長年コマンチの許で暮したため白人に敵意を持つようになったデビーをイーサンは殺そうと決意、制止するマーティンを殴りつけ、デビーを追いつめて銃口を向けたが無邪気な表情に射つのを止め、馬上に抱き上げてジョーゲンセンの牧場に帰りつく。総ては終った。愛するマーティンを迎えるローリイ。ジョーゲンセン夫人の胸にすがるデビー。6年間の使命を果したイーサンは、満足気に一人去って行った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ジョン・フォード
- 脚本
- フランク・S・ニュージェント
- 原作
- アラン・ルメイ
- 製作
- ワーナー・ブラザース配給
- メリアン・C・クーパー
- パトリック・フォード
- 撮影
- ウィントン・C・ホック
- 音楽
- マックス・スタイナー