ソイレント・グリーンのレビュー・感想・評価
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先見の明と言えてしまうことのおそろしさ。
2024年の現時点で52歳の自分が2歳だった頃に公開されたSF映画がいまリバイバル公開される意味を、予言的な作品だったからと言うのは簡単だが、食糧難、環境破壊に生きることへの絶望感というこの物語のモチーフがいまも切実なのだとしたら、一体われわれ人類はこの50年なにやってきたんだって話ですよ。歴史は繰り返すとか、人間はいつの時代も同じとかしたり顔で言うのは簡単だが、われわれは物語を物語として消費するだけで、マジでなにも受け取ってこなかったか猛烈なスルー力を発揮してきたんだな、ということになる。
とはいえ素晴らしい傑作であることは、テーマ性を脇においても色褪せていないことからも間違いないのではないか。この映画に漂う徒労感、虚無感、もう引き返せない世の中への諦念と、それに抗おうとする人間の無力さが、SFミステリーという体裁を採りながら、物語以上に映像からバシバシと感じられる。いまとなってはこの映画の「ホーム」で死ねて他人のお食事になってお役に立てるなら、悪くない人生じゃないかとすら思ってしまうが、そう言う自分の老いに抗うためにも、最後のチャールトン・ヘストンの叫び声を脳内に響かせておきたいと思います。
Proto-Blade Runner
Soylent is more a Turner Classic talkie than it is a high-stakes sci-fi thriller, yet it's easy to see where later future sci-fi dystopian films take their inspiration. Set in 2022, this makes it the perfect time to watch if you haven't seen it yet. What could be the same universe as Orwell's famous story, real food isn't non-existent as it is expensive and scarce. Wait for the bulldozers.
聞こえ方が違う悲愴と田園・・・
昔はこういうハードなSF映画がいろいろあったなぁ。これは中でも強烈なディストピア映画。あらためて観ると、記憶と違っていて、あれれ?と。最後にチャールトン・ヘストン演じるソーンがもっと大声で「海ももうダメなんだ!」と叫ぶイメージだった。頭の中で勝手に誇張していたらしい。
”ホーム”のシーンがやっぱり衝撃的。悲愴交響曲と田園交響曲がすごく合っているのだけれど、全く違う意味合いをもって聞こえてくる。豊かな自然はもはや存在しない、田園風景なんて、もう見ることはできないんだよ、こんなに美しかったんだよ・・・。最期に美しい映像と音楽で送り出す・・・子供の頃に観て魂を揺さぶられたが、やはりなんとも言えない気持ちになった。
それと、超々格差社会が描かれているのも、興味深いのだけれど、女性が家具としてマンションのしつらえになっている・・・。これもちょっとした衝撃。エアコン完備みたいに愛人完備って・・・。そういうマンションに警察官であるソーンが入っての職権乱用ぶりがひどいが、そうなって当たり前の超格差、なんともひどい主人公だがそこを徹底してこその映画。
エンドロールに再び田園交響曲と大自然の映像、それとあの品の良いアルファベットフォント!。救いようのないディストピアで終わって、品位あるエンドロールで今度は、「今はまだ大丈夫、自然を守りましょうね」と訴えてくる。実に素晴らしい。SFの鑑のような映画のひとつ。
サイレント・クリーン
当時としては斬新で衝撃的だったのだろうなぁ。
ソイレント・グリーンの正体は、予告を見て真っ先に浮かんだそのままでした。
人口過多、環境問題、それらからくる食料不足など色々語られるが、画として迫るものがない。
階段に人が溢れているが、道はスッキリしている。
「こんな気候で食物が育つか」と言われても、どんな状況か知らない。
「この時間でも30度を超えてる」って、もはや当たり前どころか涼しいくらいになっている。
主人公ソーンの人物像もよく分からない。
“家具”がどういう扱いかは不明だが、どう見ても悪徳刑事そのもの。
なのに署長に逆らってまで捜査を続け、危険を省みずソイレント・グリーンの実態に迫る。
正義感があるのやらないのやら…
ソルも真相を知って“ホーム”行きを選ぶなら、ソイレント食品を有り難く口にしてた方がよかったのでは。
“交換所”は(証拠がないとはいえ)何故手をこまねいているのか。
タブがソイレント側の人間なら、サイモンソン殺害はお前がやれよ。
そうやって容赦なく処分する割に警備はザルですね。
っていうか、丸々加工しないで一旦“解体”しないの?
などなど疑問点も多く、残念ながら今観て面白い作品かというと疑問でした。
そもそも告発したところで、代替の食品などないのでしょう?
ソイレント・グリーン=◯◯
1973年製作ということで、当時による2022年を描いているのですが、
こたえあわせ的に観てみると、人々の生活(あくまでも一部しか描かれませんが)や
技術の進歩など、全然違っているところが面白いですし、
人間の想像力ってすごいなと感心しました。
主人公の刑事ソーンのやっていることは、この世界観での倫理観と照らし合わせて
どうなの!?と思いました。もはや犯罪者レベルのことを平気でやっているので
これが普通なのか、やっぱりヤバいヤツなのか、いまひとつわからないまま
物語は進んでいきます。
それにしても人口爆発といえど、道端や建物の階段に人が溢れるくらいいるって
ちょっと理解を超えていましたね。
まさにSFでした。
殺人事件の動機を調べる中で、衝撃のラストが・・・。
ラストちょい前くらいでラストが読めたのですが、
ソイレント・グリーンが何だったのかわかったときは、まあ、ゲンナリしましたね。
というわけで、映画館の支配人さんにオススメいただき鑑賞しましたが、
観てよかったと思います。※面白いかどうかは別として笑
ウン十年前、TV(…地上波しかなかった時代)の日本語吹替版で観て以来の鑑賞。
ストーリーは大体、記憶に残っていた通りだった(さすがに細部は。特に「家具」のくだりについては完全に失念していた-TV放映ではカットされていたのかも?)。2022年という近現在の設定だが、セリフの中の‘greenhouse’という単語で51年前、すでに現在の地球温暖化を予見していた慧眼に感服した。
そして、❛Soylnt~(緑色、赤色、黄色)❜といった「完全栄養食品(!!!)」、の原料・製法とは?
現実世界に生きる我々が、まだそこまでは堕ちてはいないのが幸いである。
他のディストピア映画作品(たとえば『1984』『華氏451』『未来世紀ブラジル』『マッドマックス』等々)同様、ただただ暗く重苦しく救いのない結末となっているが、それでもこの種の映画は作られ続けられるべきものなのかもしれないー我々人類の自戒とするために。
いやはや・・
50年以上前の人はこんなにも豊かだったのか。娯楽作品でここまで深い批判性、我々ならタイトルが出るまで長いとか、“田園”の下りがたるいとか言ってしまうんだろう。速効性ドープに慣れきってしまったのかなぁ。
絵コンテの切り方が凄い、それにエキストラの数。鎮圧車両に掬われる人はCGじゃない!
少しふざけるならば、水曜日にはステッカーじゃなくて抹茶チョコを配った方がいいね、食べるかはお客さん次第。
0054 ダルい進行やな~
1973年公開
4Kデジタルリマスターにて終活のため鑑賞
メリハリはないわ
ムダなエピソード多いわ
唐突に施設いくわ
いくら昭和とはいえ、もう少しうまい創りができたんとちゃうのー?
もったいないと思います。
とはいえ本質は鋭いところを扱っており
時代が2022年というのが絶妙ですね。
60点
京都シネマ 20240605
50年前に50年後を想像してみました。
映画『ソイレント・グリーン』50年前のアメリカ映画で、50年後の未来を想像して作られた作品。なにが当たっていて、なにがはずれているか、確かめながら見るのも面白い。でもそこにあるのは、夢とか希望とか持てない時代となおかつ生きてゆこうとする人間
15歳の時だった父と名画座で
封切りが、1973年。
東京は、有楽町の日比谷映画。
あの頃は、シネコンなるものもなく。
いわゆる単館。
日比谷の映画街には、ほかに有楽座、みゆき座、スカラ座があった。
複合ビルにはいっていたのは、スカラ座ぐらいで。
あとは、その映画館だけのたてもの。
まわりに、そんなに高いビルもなく。
いまだと、土地の有効活用とかなんとか言って、すぐ高層ビルを建てたがる。
そして、街から表情がなくなる。
どこにいっても同じような町並み。
日比谷映画は、有楽座と並んで建っていて、筒状の建物だった。
私は、ここで『007/死ぬのは奴らだ』を見た記憶がある。
1973年だったと、『ソイレント・グリーン』はその後だったか、前だったか。
友人が、一人で見に行って、隣のおじさんに膝をさわられて逃げたとか。
そんな、話をしていた記憶がある。
感受性の強い時期だったし、余計なことばかり記憶している。
実際私が、『ソイレント・グリーン』を観たのは、一年後の新宿の名画座で、父と観た。
いまは名画座なんてほとんど死滅していて。
東京に数件あるのみ。
50年たって再度鑑賞して
だいたい記憶どおりだった。
あの頃は、50年後の自分なんて想像もできなかったし。
映画の時代背景は2020年のアメリカ。
映画も50年後を想定したわけで。
当たっていることもあり、そうでないこともあり。
地球温暖化で、気温が夜でも30度あって。
食糧不足で、配給でスナックみたいなものが配られて。
ただ、当時は予想だにできなかったのが、インターネットの普及かな。
劇的に私達の生活変えたよね。
人々は、一日中暇があれば、スマホを覗き込み。
あらゆる情報の洪水。
こればかりは、『ソイレント・グリーン』は、予想できなかったのでしょうね。
私達は、幸せになったのかな。
まあ、ソイレント・グリーンのような、切羽詰まった状況でないのは良かったんだけど。
デジタルの時代が、人を幸福にしたかは疑問。
個人とデジタル社会との関わり方次第なんですが。
しかし、『ソイレント・グリーン』が仮想の2020年だとしても。
興味深いよね。
老人が、将来に希望を持てなくて、安楽死を選択できたり。
配給された「ソイレント・グリーン」なるものを食べても、人生をまっとうしようとしたり。
色々考えさせられますよね。
『猿の惑星』の続編だったか、チャールトン・ヘストンが、着陸した惑星が、実は地球だったというラスト。
海から突き出た自由の女神像を発見したときの絶望感。
そう、あれに近い絶望感がこの映画に漂っているかな。
と当時中学生の私は感じた。
五十年たって再度観てみると。
絶望感というより、まあありえるだろうなと。
六十歳を超えた今、かつてのように消費が美徳、イケイケなんて風潮ではないし。
もちろん私だって、若くない。
消費欲求はあって当然だし、若ければなおさら。
ただ、人生の価値をどこに置くかで、生きやすさはだいぶ違うはず。
ただ、生活してゆくことは、そんなこと考える暇もないのも確か。
でもね、少しは気持ちの余裕がほしいよね。
でないと『ソイレント・グリーン』が現実になるかも。
昔からみた現代、近現代の予告もの
今年199本目(合計1,291本目/今月(2024年5月度)33本目)。
(前の作品 「好きでも嫌いなあまのじゃく」→この作品「ソイレント・グリーン」→次の作品「」)
シネマートさんで時々ある、古い映画のリバイバル上映で、1970~80年代ごろからみた、現代近現代がこうなっているだろうという予想も含んだ映画(SF映画)です。
部分的に当たっている部分もあれば(2022年を「予想ターゲット」として想定されている)、全然違う部分もあって、1973年からするとほぼ50年ですが、未来を当てるのは(まぁ、作品としては娯楽としての映画としての要素のほうが強いのでしょうが)難しいんだろうなぁ…といったところです。
ただ、全然違う部分についても、2022~2024年の現在基準でも見てもある程度理解しうる点もあるし(まったく違うことを述べている点もあるが、部分的に研究が進んでいたり、概念的に論点が存在する部分もある)、こうしたタイプの映画(問題提起型の映画ではないが、趣旨として理解ができる)は「未来を言い当てることのむつかしさ」(もちろん、占い師とかというレベルではなく、ある程度根拠をもってこうだろう、というもの)は、それこそ現在から50年後(2070年ごろ)をあてるのがもっと難しいのが当然の理であることも考慮しても、「まぁよく頑張ったなぁ」といったところです。
作品としては、そうした事情もあって、1970年ごろの世界事情から、当時の「こういう世界であって欲しい」という当時の文化を垣間見ることができる点で単純な娯楽映画というのとはちょっと違う部分もありますが、やや押せるといったところです。
採点に関しては特段気になる点までないのでフルスコアにしています。
何も的中していない現在の予言映画!
1973年製作で2022年を予言した作品ですが、公開当時は予告編で面白くないと判断して未見だったので、映画館で初鑑賞。予言がトンチンカンなだけでなく、「家具」「ホーム」とかの用語を設定しているから、地上波でも全く放送出来ないお蔵入り作品ですね。
元ネタ初鑑賞
ゲームのゼノギアス、映画だとクラウド・アトラスでもオマージュされてた例のアレ
作品名は知ってましたが、今回のリマスター版上映で初めてちゃんと観ました
まぁ、初代猿の惑星とか、オリエント急行殺人事件とか観た時もそうでしたが、
作品の一番肝心かなめの部分のオチがあまりに有名でネタバレ知れ渡っちゃってると、
どうしてもそこを観た時のインパクトは薄らいじゃいますよね
特に最初に挙げた後発の二作品(ゼノギ、クラアト)の方が「加工」の描写がより直接的でグロ強めだっただけに、
そっち先に知ってると、元ネタの方は案外あっさり風味で拍子抜け……というのが正直なところ
とはいえ、半世紀前の時点から描かれた2022年のディストピアな未来予想図を、
実際にそれを追い越した2024年の現実と比較しながら観る、という観方ができるのも今だからこそですね
幸いにも現実はこの映画ほど悲惨な事にはならずに済みましたが、
それでも一部の富裕層と一般人との間の格差と分断などは、ある意味正確な予想でもあるのがまた興味深いですし、
「家具」扱いで飼われる女性たちなど、現代視点から見ても斬新に思える設定や世界観には引き込まれるものがありました
初回上映当時はどんな取り扱いだったか知らないけれど、 B級前提で良...
初回上映当時はどんな取り扱いだったか知らないけれど、
B級前提で良いですか?
突っ込みどころもあるけれど、
なかなか鋭いところもあったりして、
いろいろ考えさせられました
思いのほか淡々としてた
レトロゲーマーにはパk…オマージュイベントでお馴染みのオチを知ってしまった上で鑑賞。
設定としては確かに衝撃的だけど、ディストピア感も近未来感もイマイチ強くなく、オチに向かう後半の話運びもあまり起伏がない。なんかあんまり演出上手くないなぁという感じでした。
重機での無理矢理過ぎる暴動鎮圧や、そこだけ別世界のような安楽死施設は確かにギョッとしたものの、ここだけが尖りすぎていて余計に大オチのインパクトが弱く感じてしまった気も。
色々もったいなかったです。
時代設定が今、とは…。
当時はショベルカーに人間がいっぱいすくい取られている傑作的なポスターとかの絵面が衝撃的だったけど内容も衝撃的だった。人間があふれたらいちばん手っ取り早い循環世界か、これは。家具とか本とかの呼称も秀逸。見れてよかった。
精神と肉体の汚れ
ディストピアが超管理社会でハイパークリーンなものではなく、薄汚れた人がたかって臭いそうな絵面というのがリアル。/そういう意味では『ドゥ・ザ・ライト・シング』とか『ひろしま』みたいだったな。
これで97分。さすが職人監督リチャード・フライシャー。最近のやたら長い映画と違って娯楽映画の作り方を分かってらっしゃる。60年代末期~70年代半ばにこういうディストビア映画が沢山作られてましたね。
①自分が映画を見始めた頃に話題作として公開されながら観れなかった映画を、半世紀を経て大スクリーンで観れる、というのも中々オツなものです。
②本作は、先ずは名優エドワード・G・ロビンソンの遺作として記憶に残るべきでしょうね。
ソルが“ホーム”で息を引き取るシーンは何故かウルッと来てしまった。最後まで名優さんでした。
それに或る意味『PLAN75』を先取りしている設定。
③地球温暖化・人口爆発・貧富格差拡大・食料難等々、確かに未来を予言した映画(舞台となった2022年ではもはや未来の話ではなく現実の問題になってます)では有るけれども、その先見性の秀逸さは原作の小説に軍配が上がるもの。
私には特に本作で描かれる富裕層が現在の先進国に相当し、貧困層が発展途上国を表しているように映って仕方がなく、そこに先見性を見いだしました。
④肝心要のソイレントグリーン製造工場のセキュリティの甘さは、こういう娯楽映画ではお約束。
⑤若い女性の描き方は、現代では噴飯物ですが、70年代当時は仕方なかったとしてご容赦を。
映画女優としては早くに消えてしまったけれども、リー・テイラー・ヤングも若くてキレイ。
⑥70年代半ば迄のSF映画とかディザスター映画の大作の主人公と言えばチャールストン・ヘストンと決まっていたようなものなので仕方ないが、今観るとミスキャストだと思う。
ふてぶてしいがナイーブさもある、もう少し若い役者の方が良かっただろう。その方が自然が溢れていた昔を知らないというキャラクターに合っていただろうし、リー・テイラー・ヤングとのラヴシーンも違和感がなかっただろう。
腹の肉が弛みだしたヘストンでは様にならない(腹の肉が弛みだしたということでは私も偉そうなことは言えないが…)
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