「【”肺病持ちの歌うたいのバラード。そして夢追い人達。”今作は、肺病持ちの歌うたいの男を慕う甥と、道中知り合った娘との長閑だが、後半は少し切ないロードムービーである。】」センチメンタル・アドベンチャー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”肺病持ちの歌うたいのバラード。そして夢追い人達。”今作は、肺病持ちの歌うたいの男を慕う甥と、道中知り合った娘との長閑だが、後半は少し切ないロードムービーである。】
■肺病のくせに酒好きなミュージシャン、レッド(クリント・イーストウッド)は、ラジオ番組のオーディションを受けるため、ナッシュビルへ向かっている。途中で、彼を尊敬する甥のホス(カイル・イーストウッド)と、帰郷を望むホイットのお爺さんも同行する事になる。
途中で金が無くなり、100ドル貸していた男の家に行き、歌手になりたいマーリン(アレクサ・ケニン)もホスの計らいで同行することになる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・時代はレッドが乗る車の形を見ると、1900年代の前半だろう。作品全体が、どこか長閑で、ユーモラスで、ノンビリと観れる映画である。
・レッドの車に同乗するのは、レッドを始めとして皆、夢を持っている。そこが良い。そして出会うお巡りさんも、無免許で運転するホスを10ドルの賄賂で見逃すし、人間が豊かな心を持って生きて居た時代である事が随所で分かる映画なのである。
・レッドを演じるクリント・イーストウッドの歌が、朴訥として良いのだなあ。作品の風合とも合っているんだよね。
・レッドは肺病持ちなので、いつも咳をして汗をかいている。で、機嫌が悪いとホスに当たったりするのだが、彼はそれを自覚しているから謝るんだよね。レッドが心根が優しい男だという事が分かるよね。
・最後は生まれ故郷に行きたいというお爺さんと別れて、レッドはラジオ番組のオーディションを受けるのだけれど、歌っている時に咳が止まらなくなってしまい、棄権する。だが、彼の歌を会場で聞いたレコード会社の男がレコード契約を申し出。レッドは何とか歌い終えるんだよね。一瞬だが、彼の夢は叶ったのである。そして、そのままホスとマーリンに見守られながら息を引き取ってしまう。
<そして、レッドはホスが彼のギターを奏で乍ら歌う中、埋葬されるのである。その後、ホスとマーリンは歩いているのだが、すれ違った車からレッドの歌声が流れてくるのである。
今作は、肺病持ちの歌うたいの男と、彼を慕う甥と、道中知り合った娘との長閑だが後半切ないロードムービーなのである。>