「敵国同士が協力してかけた「美しい橋」」戦場にかける橋 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
敵国同士が協力してかけた「美しい橋」
戦争の虚しさをヒシヒシと感じました。
「戦場にかける橋」
題名がロマンティックです。
もしかしたら敵国同士が橋を通して理解し合う・・・
そんな予感はもろくも砕かれました。
さすが名匠・デヴィッド・リーン監督作。
予想以上の傑作でした。
第30回アカデミー賞で、7部門受賞しました。
作品賞/監督賞/脚色賞/主演男優賞(アレックス・ギネス)
撮影賞/作曲賞/編集賞
(クワイ河マーチは聞いたことがある方が多いと思いますが、
(明るいリズミカルな親しみ易い曲ですね)
第二次世界大戦最中の1943年。
日本軍はビルマの国境付近で、イギリス軍の捕虜を労働力にして、
クワイ河に橋(鉄道も通れる)の建設をしていた。
捕虜収容所所長の斉藤(早川雪洲)と捕虜を率いる
ニコルソン大佐(アレックス・ギネス)は、激しく対立していた。
しかし斉藤は期限までにどうしても橋を完成させなければならない。
一方、ニコルソン大佐は日本軍の設計では橋が沈んでしまう・・・と、
イギリス軍の主導で見るも見事で芸術的な橋を完成させる。
しかしイギリス軍の316部隊(決死隊)は、ある計画を立てていた。
橋が完成したら予想される日本軍のイギリス領インド帝国への進撃が
激しく進む。
それを阻止するために、橋を爆破して更に一番列車を
爆撃して同時に落下させる。
その計画のため決死隊5名が選ばれて、ビルマの国境付近の橋めざして
困難な行路を辿る。
(爆薬を携えて川を渡り、山を越える=荷物運びは現地の若い女性)
困難を極めます。
そして橋げたの下に爆薬を設置・・・
もうハラハラしました。
美しい橋を落とす・・・
せっかくイギリス人捕虜そしてニコルソン大佐の思い入れのある
素晴らしい橋!!
でも316部隊(決死隊)の任務は橋を爆破すること。
ラストは異様なほど盛り上がります。
この作品は反戦映画だと思います。
敵と味方(日本軍と英国捕虜)が協力して「橋」をかける。
その橋を爆破するイギリス兵はある意味では、
橋を破壊する許せない味方。
この皮肉。
ニコルソン大佐の橋への愛情は募ります。
戦争の破壊行為にはどんなもっともらしい理由があっても反対です。
ウクライナの発電所を破壊するロシア軍。
(壊すのは一瞬でも、建設には何年もの月日と建設費が掛かっている)
ライフラインを破壊する行為は、決して許されないことです。
だからせっかく努力して建設した「戦場にかける橋」
これも破壊されるのは、悲しい虚しい行為でした。
だからこそ戦争の愚かさと虚しさを訴えて、
胸に迫って来るのでしょう。
☆デヴッド・リーン監督作品。
逢びき、大いなる遺産、旅情、アラビアのロレンス、
ドクトル・ジバゴ、インドへの道など。
いつもながらだらだらと長い私のレビュー読んでいただいて、とてもありがたいです。私はユーネクストに加入してるのでそこで見れます。でもネットフリックスにも見たい映画があって困ります。配信が増えるのも困りものですね。
琥珀糖さん、コメントありがとうございます。
リーン監督の分かり易さと結末までの展開の巧さが際立っていますね。テーマは重いのに、映画としての面白さ、見せ方が巧い。初公開時は日本でも世界でも最大のヒットをしたそうです。ロケーション撮影で大変苦労したのではないかと思われますが、それが映像の凄みになっています。久しぶりに観てとても感銘を受けました。
作品数は少なくとも、リーン作品は色んな意味で魅せますね。
琥珀糖さん
こちらこそフォローありがとうございます。
琥珀糖さんの感受性の豊かさが伝わる、場面が目に浮かぶようなレビューが素敵だと感じました。
これからも映画.com上での交流、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。こちらこそです。😊 実は・・まさか33年前、レンタルビデオ店で、AV3本借りたくて、でもカモフラージュで、たまたま【多分アカデミー特集】で目立つ配置で内容確認せずに借りたのが今生きてくるとは思いませんでした。お恥ずかしい話ですが、観たのはレンタルビデオのその一回だけです。でもアダルトの内容は全く覚えてませんが、本作は詳細まで記憶に刻まれました。感動というより【こういうのが名作だな】と洋画の底力感じました。また二度目観てみようかな・・ありがとうございました。またよろしくお願いいたします。\( ˆoˆ )/\( ˆoˆ )/\( ˆoˆ )/
お気遣いコメントありがとうございました😊🙇♂️。かえって押し付けですみませんです。
レビューはド共感です。英軍大佐、当初は橋の爆破阻止しようとして、日本人観客の共感を全て受けます。
でも【せっかく協力して作った橋、誰であっても破壊は許さない】という体を張った正義。【英軍決死部隊の友軍の 敵の日本軍なんかに開通を許すものか】とういう正義。英軍大佐は断末魔の最後に向かって何が何だかわからなくなります【私は何を・・やってきたんだ】となります。切ない。戦争は虚しいだけで何も生まない。現地人女性が、双方に思いっきり引いてました。実はこの現地人女性が一番まとも。時系列的に最後に向かう終末感がドキドキでした。そして虚しさ。ご指摘のように平時であれば共に大きなことを成し遂げてた同士。戦争というものがいかに理不尽で虚しいか教えてくれました。構成、暑苦しさ共に秀逸。ど共感でございます。当時のアカデミーはまともでした。お気遣い感謝です。🙇♂️反戦映画ですね。