「只々、あの”Nobody〜♪ Does It Better 〜♪”のオープニングをスクリーンで観たくて、性懲りもなく最新の4K鑑賞。」007 私を愛したスパイ osmtさんの映画レビュー(感想・評価)
只々、あの”Nobody〜♪ Does It Better 〜♪”のオープニングをスクリーンで観たくて、性懲りもなく最新の4K鑑賞。
子供の頃、TVの新作映画の紹介で、真っ白なロータス・エスプリが海中から浜辺に出てくるシーンを見て、すっかり虜になり、親に映画代をネダったものの「007は子供には刺激が強い(つまりはエロい)からダメ」と言われて…
それから、あっという間に、もうはや46年…
その後、結局、ロジャー・ムーアのボンド役が全く気に入らず、いつか暇つぶしのタイミングでもあれば観るか、と思っていた本作。
今回は、4Kリストア云々より、劇場まで行って観たくなったのは、やはり、なんだかんだで、あのカーリー・サイモンによる主題歌の記憶の力が大きい。
当時の77年頃を色々と(スーパーカー・ブームとか)思い出してしまう。
その懐かしの”Nobody〜♪ Does It Better 〜♪”が流れるオープニングまでは、やはり流石の007。最初のツカミだけは外さない。
全身黄色のスキーウェアのボンドはダサイが、あの崖からの空中ダイビング!本当に命懸け。
あとチョットでスキー板がパラシュートに突き刺さりそうだった。撮影の瞬間、カメラマンや監督は、さぞかし肝を冷やしただろう。
でも、結局ソコがクライマックス。
その後の本編は、というと…
まあ、やっぱり、あんなモンだよなあ。
ロジャー・ムーアじゃあなあ。
今回も荒唐無稽が百も承知とはいえ…
まずアクション映画だというのに、格闘シーンでの動きが呆れるほどモッサリ。切れ味ゼロ。
ホントもう、コントだよ、あれ。
United Artists だってクビにしたくもなるよ。
レーゼンビー(マーシャル・アーツの達人)の『女王陛下〜』を観たばかりだったので、そのダメさ加減が、より際立った。その差は歴然。
あと、あのクルト・ユルゲンスを敵役で出すんだったら『眼下の敵』のオマージュをシャレでやるアイデアも出てたような気もするが、本人は嫌がったかな?
勿論、潜水艦の登場が暗に示してはいるが…
それ以上のことは、あの誇大妄想キャラでは、結局リンクさせるにはムリがあるか…
あるいは、終戦間際にナチスを裏切った元艦長という、いかにも、解るヤツには解る的なノリでも面白かったかもしれない。
諸々のツッコミどころ満載プロットも相変わらず。
もう、ああでもなっちゃうと、いっそのこと、荒唐無稽である事を極限まで爆走させて、本当に有り得ないほどバカなコメディにした方が、よっぽど楽しめたはずだ。
そんなのフレミングが許すはずもないが。
でも、結局はコレで興行収入が歴代1位になってしまった。
これによって、やはり客の大半は知的快楽とは無縁の「お色気と大雑把でバカなアクションシーン」さえあれば喜んでもらえる程度の低い連中だという、人をナメた悪しき成功事例が、これまでの作品以上に、よりリアルな数字をもって出来上がってしまったようだ。
それが次作の『ムーンレイカー』へと繋がっていく。
音楽も主題歌は良かったけど、ハムリッシュにしては劇伴の方はイマイチ。
曲もアレンジもパッとしなかった。
ていうか、そもそも007特有のブリティッシュ感だったりロイヤル感が無いんだよなあ。
まあ基本、ニューヨークの人だからねえ。
結局のところ今回も本編の方は、2時間近い長〜いオマケなのであった。
その最大のオマケであったのはボンド・ガールのバーバラ・バック!
モデル演技だったし、KGBのスパイのイメージ(非情&冷血)からも程遠かったが、スラブ系とラテン系がミックスしたように見えるルックス(実際はユダヤ系×アイルランド系らしい)は歴代でもトップレベル(個人の意見です)
なので、もうちょっとエロさ匂い立つシーンは欲しかったなあ。
せっかくコードネームは「XXX(トリプルX)」
だったわけだし、もう少しオトナの洒落っ気は際どいエロが多めでも良かったんじゃない?
チラリとだけ見えた裸体(たぶん本人じゃないよなあ)も、ベタでコメディなシャワーシーンだけじゃねえ…
それにしても、この数年後のリンゴ、チョット羨ましい。
あと、デタントなんて言葉、久々に聞いたなあ。
まさに隔世の感あり。
もう当分は、この言葉の出番も無いんだろう。
まさか、こんな21世紀になっちまうとは思ってもなかったよ。