「絶望しか無い戦場にて」西部戦線異状なし(1930) しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
絶望しか無い戦場にて
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第3回アカデミー賞作品賞受賞作。
DVDで鑑賞(吹替)。
原作は未読です。
愛国教育に感化された若者たちが、本物の戦場で体験する不安や恐怖、死、痛み、理不尽さ、虚しさ、絶望…
死と隣り合わせの日常で愛国心に沸いていたかつての姿は失われ、戦争の内包する凄惨さが浮き彫りになりました。
ポールの視点で描かれる出来事が胸に刺さりました。偶然逃げ込んだ砲弾の穴で鉢合わせしたフランス兵を格闘の末に銃剣で刺し殺してしまったポールでしたが、懐から妻子の写真がこぼれ落ちて来て、相手も人間だったことを思い知る…
負傷して故郷へ帰還すれば、若者たちに武勇伝を聞かせてくれとせがまれるも、実際の戦場では華々しい出来事など微塵も無く、ありのままを話してもかつての自分のように愛国心に高揚している若者たちには欠片も届きはしませんでした。
やがて訪れた最期の時。いつもとは違って静かな戦場に迷い込んで来た一匹の蝶。自らの姿を重ねたのか、それを捕まえようとそっと塹壕から手を伸ばしたポールを射抜いた狙撃手の弾丸。悲しい名シーンだと思いました。
※修正(2022/11/19)
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talismanさんのコメント
2023年3月7日
最期のシーン、書いてくださってありがとうございます。悲しい名シーンですね。でも美しくなってますね。ドイツのは英雄も作らず主人公ゆえの名シーンも敢えて作らなかったのかなと思いました。(見てないくせにすみません)