「トムハンクスの人柄に酔う」すべてをあなたに(1996) odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
トムハンクスの人柄に酔う
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同じドラマーの映画でもデイミアン・チャゼル監督とトムハンクスではこうも違うのか、とにかく元気が良くて好青年、アメリカらしい夢のサクセス・ストーリー。ベトナム戦争の前だからか病んだアメリカ映画に定番のドラッグもフリーセックスも封印しほどよいストイックさ、安心して観ていられる。ハイティーン向けのポップ・ミュージックと言いながら渋いジャズ・クラブ・シーンを入れるところや偶然のスタジオでの再会とセッションなどジャズファンのおじさんへのくすぐりも忘れていない。ロマンチストのチャゼル監督なら最後のキスは無かったろう。
トム・ハンクスは数々の大作で主演を務めアカデミー主演男優賞も連取し俳優としては軽い燃え尽き症候群だったようだ、本作の脚本は「フォレスト・ガンプ」の撮影中に書いたらしい、相談したジョナサン・デミ監督は脚本を褒め、トムに監督を勧めたことで実現した、人柄なのだろうスタッフにも恵まれ素晴らしい監督デビュー作となった。
「羊たちの沈黙」や「フィラデルフィア」など陰を描くデミ監督なら「健全過ぎる」と言いそうなものですがデミ組を率いて応援しています、明るい映画の感想は暗い映画の巨匠に聞くのが一番と考えたのでしょうか、女性の描き方はロバート・ゼメキスの悪い影響を受けているような気もします。
迷いが解けたのかトムはクリント・イーストウッドのような転身はせず俳優を本業と考えたようですが15年ぶりに撮った監督2作目の「幸せの教室」もトムらしい、今度は自ら若者に交じって第二の青春を謳歌します、温かくて元気をもらえるところも通じます、最後がキスシーンという所もトム流なのでしょう、お勧めです。
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