劇場公開日 1961年3月21日

「映画の詩人アルベール・ラモリスの自然の美しさを捉えた映像パノラマ」素晴らしい風船旅行 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画の詩人アルベール・ラモリスの自然の美しさを捉えた映像パノラマ

2020年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

小学校の課外授業で観た映画。気球から望む自然の風景の美しさが印象に残る。それでもラストシーンにはとても違和感を感じた。詩的な情感を理解できない子供だったから仕方ない。初めて映画を観て批評した映画になる。
監督のアルベール・ラモリスは、映画好きになってから日曜洋画劇場で観た「フィフィ大空を行く」で大好きな監督になる。名作の「赤い風船」「白い馬」と作品数は少ないがフランス映画界では特異な存在感をもつ映画詩人だった。

小学校の高学年になると町の映画館は閉館してしまった。娯楽の主役がテレビに替わられてしまったからだ。子供時代の映画の記憶の殆どは、東宝のゴジラ映画とモスラ、大映のガメラ映画とギャオスになる。怪獣映画は私にとってヒーロー映画だった。それに夏になると、化け猫などの幽霊映画が田舎の映画館の風物詩になっていた。
学校の課外授業の一環として映画鑑賞を薦めていた時代の一つの要因に、文部省推薦映画と言うのがあった。日本映画の子供向け作品では難病の話が多かったように思う。命の大切さをストレートに感じ取れるからだろう。ただし、私はそんな映画を軽蔑していた。お涙頂戴の作劇に心が揺すぶられるような純真さは無かった。そんな映画で優しい女の子は皆涙を流していたように思う。意外だったのは、普段は喧嘩好きで活発な男の子が泣いたこと。この時、人間というものは外見だけで判断してはいけないと悟った。ぶっきら棒で男気のある少年の繊細さ、難病映画よりこちらの方が私にはとても参考になった。映画を観た反応で、その人の普段見せないところが知れる面白さも、映画の楽しみであるだろう。

Gustav
マサシさんのコメント
2022年1月19日

どこで見たか覚えていませんが、音楽が脳の片隅にこびり付いて、年老いました。
気球映画と言うと80日間世界一周でしょうが、僕はこっちです。赤い風船と。

マサシ