ストーカー(1979)のレビュー・感想・評価
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ネタバレあり
原作は「路傍のピクニック」
オズの魔法使い的な話
映画化するにあたって「願望機」というタイトルが当初付けられていた。
願望を叶えてくれる機械の話。
その機械とは、宇宙人が地球にピクニックにきて置いていったものである。
ゾーンには銃や酒は持って入れない。
神聖な場所だからである。
タルコフスキーは敬虔なカトリック。
これは宗教の話である。
ストーカーという案内人と、
作家という芸術家と、科学者。
3人はタルコフスキー監督のそれぞれの側面を表す。故に3人の外見は似てる。
主人公はバカっぽく描かれてるが、バカを演じているだけ。ラストに彼の部屋が映るが多くの本がある。彼はインテリだから、それを表に出さぬようにしてる。
ゾーンに入ると色彩が豊かになる。
それは主人公にとって豊かな場所だから。
最後はハッピーエンド。
ベートーベンの第9が流れる。
それは歓喜の音楽。
2人は願いを言わなかったが、主人公は無自覚に願いを言ってしまう。
妻子が幸せになれば、と。
黒い犬が付いてくる。
娘は黄色いスカーフを頭に巻いている。
黄色は幸福を表す色。
そして超能力を得る。
参照:町山智浩氏の解説より抜粋
何度見ても難解、しかし毎度魅せられる
劇場で見たことはないけれど、ビデオで見て、DVDで見て、Blu-rayで見て、何度見たか分からないけれど、完全に理解することなど不可能で、正直意味不明、でも何度でも惹きつけられてやまない。
何といっても力強い映像美が魅力的、しかも静寂を重んじた音楽と効果音も色あせることがない普遍性を感じるわけで、まさに名画とか芸術とかそういう称号がふさわしい。
最初はビデオで見てその絵力に魅了され、次にDVDで見たとき更に音と絵に驚かされて、Blu-rayでやっぱこれは歴史的作品だなと再確認。
Blu-rayの評判が芳しくなかったので購入をためらっていたが、DVDが1部と2部の2枚構成になっていることに不満を覚えて、1枚に収まっていることだけでもメリットだと感じて思い切ってBlu-rayを購入。実際に見ると映像そのものも明らかに良くなっていると思えたし、今一度名作を堪能できたといった感覚だった。でも、もやや霧の表現や音の響きがパワーダウンしていた印象で少々残念感も─。
何度見ても難解な映画をより理解しようとだいぶ前にストルガツキー兄弟の原作を読んだけれど、似て非なるものであり、しかも映画同様の難解さ…理解どころか謎が謎を呼ぶだけであった。
難解なゾーンという存在は、いかようにも解釈できるように仕立て上げられていて、だからこそ何度も作品に魅せられるように思う。
人類がコントロールできない存在を、抽象的に・哲学的に描こうとしているこの作品が個人的には非常に気に入っているのだが、見方を変えると、劇的映像展開がほぼ起こらないこのSFは退屈きわまりないように思われても仕方がないのかもしれない。その点、ソラリスの方が展開も事象的にも分かりやすいのかも。
タルコフスキー映画でこのストーカーは最も難解な気がするけれど、個人的にはこの作品を最も気に入っている。
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