「自分にはノスタルジーは生まれず、退屈で仕方がなかった」スタンド・バイ・ミー Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
自分にはノスタルジーは生まれず、退屈で仕方がなかった
ロブライナー監督による1986年製作(84分/G)のアメリカ映画。原題または英題:Stand by Me、劇場公開日:1987年4月18日。
ジョン・レノンによる「スタンド・バイ・ミー」(1974)には、そのシンプルな力強さに昔、感動をした。映画の中で流れる「スタンド・バイ・ミー」原曲(1961、ベン・E・キング唄、作詞作曲キング、ジェリー・リーバー、マイク・ストーラー)も悪くなかった。ただ、映画の中で流れる音楽の数々は全く知らず懐かしさも無く、事件らしいものは何も起きない映画自体も、とても退屈に感じてしまった。
まず原作の問題かもしれないが、あの年齢で既に作家を目指していて、ゲロまみれのイベントを引き起こす作り話をする主人公ゴーディ(ウィル・ウィートン)の必然的に進学するだろうという優等生ぶりが鼻についた。友人たち、メガネのテディと小太りのヴァーンの絡み合いもおバカすぎて、リアリティに欠けると思ってしまった。
君たちもこんな少年時代があったはずで、とても懐かしくて、いい話だろうという押しつけ感を、自分は感じてしまった。まあ確かに小学生低学年時代は、近所の子供たちと分け隔てなく集団で遊んでいた。ただ高学年になると自然に付き合っての面白さ(頭脳レベル)で、グループに分かれてしまっていた様な記憶がある。おバカとも思春期に仲良しだったという物語は、綺麗事すぎる作り話だろうと思ってしまった。
可愛い女の子が登場もせず話題にも出てこないのも、自分のノスタルジー喚起を阻害した。自分の思春期には、仲間内のアイドル的存在や密かに好意を抱いていた異性が、常に存在してたのだが。
監督ロブ・ライナー、製作アンドリュー・シェインマン、 レイノルド・ギデオン、 ブルース・A・エバンス、原作スティーブン・キング、脚本レイノルド・ギデオン 、ブルース・A・エバンス、撮影トーマス・デル・ルース、美術デニス・ワシントン、音楽ジャック・ニッチェ。
出演
ゴーディ・ラチャンスウィル・ウィートン、クリス・チェンバースリバー・フェニックス、テディ・デュチャンプコリー・フェルドマン、ヴァーン・テシオジェリー・オコンネル、作家リチャード・ドレイファス、エース・メリルキーファー・サザーランド、ラチャンス夫人フランシス・リー・マッケイン、ラチャンス氏マーシャル・ベル、デニー・ラチャンスジョン・キューザック。
Don-chanさんがレビューで指摘している様に、カモフーラジュされているがこの映画は主人公のクリスへの恋心を描いていると考えると、女の子が全く登場しない理由が納得できる。あの夜の2人の語らいは、多分ノスタルジックなラブシーン。カメラワークもやけに妖しかったし。
そして、大食いの物語はこの忌まわしい町への復讐心の発露と思えてきた。原作ではクリスだけでなく、3人とも早逝してるらしいし、神の使いとされる鹿に出会え、町を出た主人公だけが生き残ったというスティーブン・キングの怖い物語が、小綺麗に装飾された?
