「子供時代は一度しか訪れない」スタンド・バイ・ミー もしゃさんの映画レビュー(感想・評価)
子供時代は一度しか訪れない
沼で遊ぶシーンでテディが「子供時代は一度しか訪れない」的なことを言っていたのが本当に印象深かったです。
兄をなくし両親に愛されていないことを感じるゴーディ、家庭の環境に翻弄され先生にも裏切られたクリス、お父さんが精神病で耳を焼かれそうになった経験をもつバーン、それぞれ社会と大人に翻弄されて心に傷をもつ仲良し4人組。
大人になりきれない少年たちは2日の冒険で少しだけ大人になった…こんな大冒険は誰でも経験をすることではないけど、誰にでも大人になりたくて小さな冒険をした過去はあるのかもしれない、自分にもこんな時代があったな…と思わせる。
秘密基地をつくって賭け事をしながら、仲間とバカな話をしながら日々を送る4人。本当にどこにでもいる悪ガキですよね。ちょっと責任感のあるリーダーと頭のよい良識人、度胸とムチャを履き違えたヤンチャ坊主、なんも考えてない臆病な子供。
製鉄所でコインで誰が買い物に行くかかけたり、テレビの女性の胸が大きくなったとかどうとか、夜になればくだらない話ばかり、沼があれば入って渡ろうとしてヒルに噛まれるわ…本当にどこにでもあるバカな子供たちの話ですが、その中で苦悩をし、それぞれの苦悩を支え合いながら乗り切ろうとする感じがなんともいえずとてもよかったです。
そういえば、このリバーのタバコ姿を見てタバコを始めた未成年の自分を思い出しました…。
そして、最後のシーン、エースに銃を向けて死体を渡さなかった勇気とやっとの思いで見つけた死体を匿名で通報し、結局英雄にならなかった4人。ゴーディの「こんなんじゃだめだ」の一言がとても印象的でした。
誰もが通る大人への通過儀礼を最近の映画にはないようなストレートでわかりやすく伝えるこの映画はほんとうに名作だな…と改めてかんじました。ロリポップをはじめオールディーズの名曲の数々もとてもよかったです。