「一番スターウォーズ"らしい"映画」スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス ジョー・ジョー・エンさんの映画レビュー(感想・評価)
一番スターウォーズ"らしい"映画
初めて観たスターウォーズが小学生の時に映画館で観た本作でした。
単純に見たことない世界やドロイド、エイリアンにワクワクしてライトセーバー戦やポッドレース、宇宙戦に胸をときめかせたものです。おそらく、エピソード4を初めて映画館でみた人たちと同じ気持ちだったと思います。
初見時はパルパティーン=ダースシディアスとはもちろん知らなかったですが、シスや通商連合を倒しても、エンディングでこの後に不吉なことが起こるということがそれとなく示唆されていて単純なハッピーエンドではないんだなということが子どもながらに理解できました。ファントムメナス(見えざる脅威)というタイトルがこれほど似合う映画はないでしょう。
エピソード3まで観てから見直すと、非常に良く組み立てられた映画だと分かります。
ここからはネタバレですが、
エピソード1〜3はアナキンが英雄になり、その後悪に転じる過程とパルパティーンが共和制の崩壊した社会でいかに権力を得ていくかというストーリーが語られています。
パルパティーンとアナキンが主人公と言えると思いますし、エピソード1の影の主役はパルパティーンでしょう。
エピソード1はその序章として完璧な形でストーリーが進みます。
まずは前提として共和国は腐敗がすすみ汚職に塗れています。広すぎて意見のまとまらない議院、利権が絡みまくるのに何故か議席を持っている通商連合、議長の発言を遮る官僚など視覚的にもそれがよく示されています。
惑星タトゥイーンでも法律で禁止されているはずの奴隷制度が蔓延っていてパドメは驚愕します。共和国が定めた法律は効力を発揮していないのです。
パルパティーンがダースシディアスとして惑星ナブーを通商連合の攻撃対象に選んだのはおそらく自身の出身地のトラブルでリーダーシップを発揮したり同情票を得るためでしょう。他にも、アミダラ議員に議長を失脚させるために唆して不信任案を提出させるなど、政治家としての狡猾さがよく表現されています。
パルパティーン役のイアンマクダーミドさんは本当にいい演技されています。
最後には議長に昇り詰めパルパティーンの野望は一つずつ果たすという訳です。
エンディングのパレードの音楽も明るい感じですが、一部ジェダイの帰還で皇帝が登場するシーンで流れていた不吉な音楽がアレンジされて組み込まれています。単純なハッピーエンドではなく、これから銀河がさらに混乱を極めていくことが示唆されます。
ストーリーは地味な政治の話ですが、ポッドレースや宇宙戦などスターウォーズらしいアクションが華を添えます。
その一つがライトセーバー戦です。
ダースモールのデザインもライトセーバー戦も素晴らしかったです。誰も見たことのなかったシスが突如出現しジェダイは混乱します。闇に生きる人間として赤と黒を基調にしたデザインで暖色を基調にしたジェダイとは対照的です。
ライトセーバー戦も師弟で力を合わせ、なんとしても捉えて正体を明かさないといけないという緊張感が伝わってきます。何年も刃を交わしていないシスとジェダイの伝説の一戦として音楽が盛り上げます。エピソード4〜6はライトセーバーの音で緊迫感を出していて音楽はあまり使われてませんでしたがここで使われている音楽は非常に効果的です。
エピソード1は評論家からの評価は良くなかったようですが、先が既に決まっているシリーズ物一作目としてはこれ以上ないほど完成度が高いと思います。
僕は保育園の時に初めてファントムメナスを見て単純にポットレースやライトセイバーの戦いがカッコ良くそこからスターウォーズにどっぷり浸かってしまいました!しかし何回も見ながら歳を重ねていくうちに単純なアクションだけではなく物語として理解できるようになり本当の意味でスターウォーズのファンになりました! 良いレビューを読ませていただきました!ファントムメナスは最高です!ありがとうございましたm(__)m