シンプル・プランのレビュー・感想・評価
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現実的で冷たく怖い物語
久しぶりに飛行機内で観ることができました。
雪の積もる凍てついた田舎町が舞台でふたり兄弟と友人が墜落した小型機から大金を見つけてしまうことで始まる物語です。
「もし宝くじが大当たりしたら」、「もし大金を拾っちゃったら」など誰もが考える空想ですが、本作はその正解のひとつになると思います。440万ドル(現在のレートで約6億3642万円)もの大金を得てしまった時、果たして万事無難に乗り切ることができるでしょうか。
本作は極めて否定的な答えを導き出していますが、そうなる可能性は極めて高く、もし得ても両手放しでは喜べないでしょう。
もし大金を見つけてしまったら迷わず警察へ届け出ましょう。ネコババするとこのハンク夫妻やジェイコブの様に地獄を見る事になるかもしれません。
尺は少し長いですが、キャストの名演が光る誤魔化しのない名作だと思います。
主人公の兄弟役を演じる2人の演技力が素晴らしく、実にリアリティーのある作品。
つらい結末は容易に想像出来たが、ここまで酷い結果になるとは思わなかった。主要な登場人物はほぼ4人だけで、彼等の会話(4人が揃うことは一度もない)の積み重ねでストーリーが進んでいく。主人公の兄弟役を演じる2人の演技力が素晴らしく、実にリアリティーのある作品。
お金が人生を狂わせる
田舎の三人組の男が、墜落したセスナ機を見つけ、機内から大金を見つける。
とりあえず一人が管理することになり、内緒にしようとなる。
もとは善人だけど、狂っていく男たちが悲しい。
大金を発見したことによって3人の人生が狂っていく。 3人とも馬鹿な...
大金を発見したことによって3人の人生が狂っていく。
3人とも馬鹿なことばかりやるので、ツッコミどころ満載だ。
さらに主人公の奥さんもまたしょうもない入れ知恵をするから収拾がつかなくなる。
大金を発見して警察に届けずにネコババしようとしたのが一番の間違い。
もっとも、あっさり届けてしまったら映画にならないが(笑)
唯一正しかった行動は、偽FBI捜査官をためらいなく射殺したことくらいか。
あれだけ悪事をはたらいて逮捕されなかったことが奇蹟だ。
男女論
いろいろ抜けたばかな男共。なぜそんなに軽々しく妻に話を振るのかとイラッとしたら、正論の舌も乾かないうちに、トーンは変えずに豹変したことを語りはじめる妻。バーで酔ったルーに絡まれずに済んだ女性とやっぱり絡まれる男性。ルーの嫁が語る殺傷力ある極上の嫌味。吹っ飛ぶ前にピストルで暗闇から撃ち返すとはしたたか。「もしも…」的な話にかこつけて男女論をぶちまける。
そんな頭の回転を得るために勉強してきたのか?と思える弟と、愚鈍に見えて時に鋭い切り返しでギョッとさせる兄。学歴論にも踏み込む。虚実入り乱れるルーの家でのサスペンスなやりとり、ビリーボブソーントンの名演がひかる。
永久保存版🙆♂️
日常生活の中で起きたある出来事をきっかけに、歯車が狂う。悪い展開から逃れようともがく程、更に地獄に引きずりこまれていく。悲惨な暮らしから抜け出すはずが全て裏目に。サスペンス好きにはたまらない作品。監督のサム・ライムはこの後、ホラー映画で更に頭角を現す。ドント・ブリーズ、スペルも面白かった。マーベルのスパイダーマンシリーズも手掛けたこの監督は凄い。
3人の中でお金を盗むことに一番反対していたはずのハンクが、最終的に...
3人の中でお金を盗むことに一番反対していたはずのハンクが、最終的にはお金への執着によってどつぼに嵌っていくのがなんとも皮肉。ハンクがお金を持ち帰る方に傾いた理由は、妻ともうすぐ誕生する我が子のために今より豊かな生活をと望んだからだけど、お金を守ろうとすればするほど家庭は壊れてゆく。しかも犯したリスクは最終的に水泡に帰す。残ったのは罪の意識と嘘を隠し通すストレスのみ。悪いことはできないですね。。。
大金は人をそして人生を狂わす。 普通の生活をしていれば善人であった...
大金は人をそして人生を狂わす。
普通の生活をしていれば善人であったろう主人公夫妻が、崩れていく様が面白い。そこに少々やばい兄とその友人がからみ、結末まで一体どうなるのだろうかと目が離せない。
自分が同じ境遇に陥ったらどうだろう?理性を保てる自信がない(笑)
ところで大好きなリトグリが紅白初出場を決めた。おめでとう!何を歌うんだろう、楽しみです。その歌声は名作映画同様、感動必至。みなさん、要注目!
悪さを隠せばバチが当たる
日本どころか世界中でも常識的な事が
悲劇を産み出して行く。
結局多くの人間は金の魅力に勝てず、
そのせいで不幸な選択をしてしまう。
この主人公もご多分に漏れず
不幸のデッドコースター状態。
なんともやるせない悲しみが
観たひとを包み込む。
多少話の展開に無理がある場面もあるが
キャスティングされた役者のうまさと、
監督の構成力により全体感が損なわれる
事なく最後まですすむ。
続く不幸のドロップダウンは悲しい。
だけど罪は償うべき。
※世の中悪人多いけどさあ
これも世の摂理。
●金がひとを変える。
人生に「たら・れば」はない。
ひとつの判断ミスが傷を深くしていく。
一難去って、また一難。
心理的に落ち着く間がない。
雪山とカラスのモノクロ感がまたうら寂しい。
兄ちゃん、あんた、いい人よのう。
嫁さん、あんたも悪よのう。
雪の降る寒い夜に
テレビの深夜映画で観た
底辺の人達がお金によって変わってしまう
哀しさ滑稽さ寂しさ
善良を絵で描いた様な真面目な弟とその奥さん
がどんなに頑張っても一生手に入らない
大金のせいで生活が全く変わってしまう
そして
教養も容姿も全てにおいて絶望している兄と
友達も大金が手に入ったら人生が好転すると
信じて疑わない
みんなが稚拙で行き当たりバッタリのシンプル
プランで金を守る為色んな事をしてしまう
怖さ
もしも、自分だったら?なんて考えると
やはり稚拙で出たとこ勝負な行動を取る
のだろうかと考えると可笑しくなった
ビリーの演技力に圧巻!スリリングブレイド以上だった。
最初の兄が警察に飛行機ネタをチクりかけたシーンは不自然過ぎてちょっと強引だったけそれ以外は中々楽しめた。むしろ人間的本能が現実ぽく良かった。最終的に親となった女は怖いなと(笑)
最後にビリーが放ったセリフで「もういいんだ未練はない怖くなんかない」「おれには何もない」のセリフがとても印象的で涙が出そうになった。ビリーの演技力が凄すぎて他の演技が目立たなかったぐらいビリーの存在感が目立った。
金が人を変える
基本設定はコーエン兄弟の「ファーゴ」と色々酷似している。たとえば、舞台が雪の降る町で、金ほしさのあまり殺人を犯し、それが関係してまた殺人をするというコンセプトは似通っている。だがテーマが全く違う。あちらは「悪人は必ず報いを受ける」だがこちらはポスターにも書いてある通り「善人も欲が動けば悪人になる」ということだ。
主人公のハンクは一緒に計画を立てる兄のジェイコブやその友達のルーよりも賢くて最も良識があるように見える。そして無知で酒飲みのルーが最も俗でダメな人間に見える。だがそれは間違いである。一番金に狂ったのはハンクその人だ。彼だけが証拠を消すために人を殺しているのだ。そして一番頭が悪そうなジェイコブは一番、罪悪感にさいなまされる。これはある種の警告なのだ。どんな人間でも欲が働けば何をしでかすか分からない。それも普通な人間ほど。
起用された俳優にはさほど有名な人物はいないが、ソーントンは罪悪感を覚えるジェイコブを哀愁たっぷりに演じている。他の俳優はコレといった特徴もなく凡庸なのだが、彼だけが最高の演技を見せつける。アカデミー賞ノミネートも納得である。
(11年5月15日)
お金を好きといえるには相当の自覚が必要です
最近すっかり日課になってしまった夜のCS鑑賞。寝したく整え、ベッドにごろんとしながら観ています。結構、英語の勉強になったりしているんですよ。。。というわけで今回は極寒の森林地帯を舞台にしたサスペンス映画で、監督はなんとサム・ライミ。
本作のしかけは、生活水準の極めて低い田舎町で仲良く暮らす友達たちが、大金を発見することです。そこから人間関係は次第に悪化していき、欲にとりつかれて悲劇が繰り広げられていきます。
格差社会の副産物を描いた作品とも言えるのではないでしょうか。これに関連した作品ではやはりラース・フォン・トリアー監督の「ドックヴィル」が強烈です。本作は、そこまで過激ではないですが、過激でないから身近に感じられます。人間嫌いになることも時には必要です。
この映画を見ながら、富の分配はやはり現下の体制では均等化が不可能なのかということを考えてしまいました。汚職まみれの社会に住むか、格差のある社会に住むか、なかなか考えさせられます。
そんなことを考えさせられた作品でした。
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