シンプル・プランのレビュー・感想・評価
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ヌルヌルと落ちていく
サム・ライミ監督による、このシンプルな計画を描いたシンプルな物語の作品は、大金によって狂わされた人々と狂わされた歯車によってどこまでも落ちていく。
少しの疑心暗鬼、少しの怯え、少しの間違い。ほんの些細なことの連続であるはずなのに大きな間違いに発展していく。
映画なので仕方がないとは言えるけれど、あそこでこうしておけばとか、こうじゃなかったらとか、そんなことばかりが続く。
とはいえ、あり得ないような愚かな行動をとっているかというとそうでもない。この絶妙な間違い加減が良い。
全面雪の映画はハズレが少ないとは持論だが、この作品も大きな当たりとはいかなくとも充分な娯楽性を有した面白いサスペンスだった。
現実的で冷たく怖い物語
久しぶりに飛行機内で観ることができました。
雪の積もる凍てついた田舎町が舞台でふたり兄弟と友人が墜落した小型機から大金を見つけてしまうことで始まる物語です。
「もし宝くじが大当たりしたら」、「もし大金を拾っちゃったら」など誰もが考える空想ですが、本作はその正解のひとつになると思います。440万ドル(現在のレートで約6億3642万円)もの大金を得てしまった時、果たして万事無難に乗り切ることができるでしょうか。
本作は極めて否定的な答えを導き出していますが、そうなる可能性は極めて高く、もし得ても両手放しでは喜べないでしょう。
もし大金を見つけてしまったら迷わず警察へ届け出ましょう。ネコババするとこのハンク夫妻やジェイコブの様に地獄を見る事になるかもしれません。
尺は少し長いですが、キャストの名演が光る誤魔化しのない名作だと思います。
主人公の兄弟役を演じる2人の演技力が素晴らしく、実にリアリティーのある作品。
大金を発見したことによって3人の人生が狂っていく。 3人とも馬鹿な...
男女論
永久保存版🙆♂️
3人の中でお金を盗むことに一番反対していたはずのハンクが、最終的に...
大金は人をそして人生を狂わす。 普通の生活をしていれば善人であった...
悪さを隠せばバチが当たる
●金がひとを変える。
雪の降る寒い夜に
ビリーの演技力に圧巻!スリリングブレイド以上だった。
金が人を変える
基本設定はコーエン兄弟の「ファーゴ」と色々酷似している。たとえば、舞台が雪の降る町で、金ほしさのあまり殺人を犯し、それが関係してまた殺人をするというコンセプトは似通っている。だがテーマが全く違う。あちらは「悪人は必ず報いを受ける」だがこちらはポスターにも書いてある通り「善人も欲が動けば悪人になる」ということだ。
主人公のハンクは一緒に計画を立てる兄のジェイコブやその友達のルーよりも賢くて最も良識があるように見える。そして無知で酒飲みのルーが最も俗でダメな人間に見える。だがそれは間違いである。一番金に狂ったのはハンクその人だ。彼だけが証拠を消すために人を殺しているのだ。そして一番頭が悪そうなジェイコブは一番、罪悪感にさいなまされる。これはある種の警告なのだ。どんな人間でも欲が働けば何をしでかすか分からない。それも普通な人間ほど。
起用された俳優にはさほど有名な人物はいないが、ソーントンは罪悪感を覚えるジェイコブを哀愁たっぷりに演じている。他の俳優はコレといった特徴もなく凡庸なのだが、彼だけが最高の演技を見せつける。アカデミー賞ノミネートも納得である。
(11年5月15日)
お金を好きといえるには相当の自覚が必要です
最近すっかり日課になってしまった夜のCS鑑賞。寝したく整え、ベッドにごろんとしながら観ています。結構、英語の勉強になったりしているんですよ。。。というわけで今回は極寒の森林地帯を舞台にしたサスペンス映画で、監督はなんとサム・ライミ。
本作のしかけは、生活水準の極めて低い田舎町で仲良く暮らす友達たちが、大金を発見することです。そこから人間関係は次第に悪化していき、欲にとりつかれて悲劇が繰り広げられていきます。
格差社会の副産物を描いた作品とも言えるのではないでしょうか。これに関連した作品ではやはりラース・フォン・トリアー監督の「ドックヴィル」が強烈です。本作は、そこまで過激ではないですが、過激でないから身近に感じられます。人間嫌いになることも時には必要です。
この映画を見ながら、富の分配はやはり現下の体制では均等化が不可能なのかということを考えてしまいました。汚職まみれの社会に住むか、格差のある社会に住むか、なかなか考えさせられます。
そんなことを考えさせられた作品でした。
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