「史実に忠実を礎とするホロコーストからの救助史を描いた映画」シンドラーのリスト Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
史実に忠実を礎とするホロコーストからの救助史を描いた映画
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オスカー・シンドラーが当初、人格者でも英雄でもなく、女と酒好きの金儲け主義者であったことをきちんと描いていて、事実通りとは言え、映画全体に深みを与えている。また、このシンドラーがナチス軍人達を金と酒・女・宝石等で念入りに調略する描写も、彼の成し遂げたことへの説得力を感じた。ただ、このシンドラーが、何処で何故、何がきっかけで、全財産を投げ出してまで1000人以上のユダヤ人救助に至ったのかは、自分的には判然とせず、すっきりとはいかなかった。
一方、ユダヤ人を楽しんで殺している様に見えるアーモン・ゲートは、その背景にあるストレスや弱さや幼稚さが、演技力のなせる技もあってか、見事に描かれていた。
重層的画像も含め、白黒に一部カラーも使った映像は、スピルバーグらしく深みが有り、美しい。また、アウシュビッツでシンドラの工場へ行くはずのユダヤ人が、ガスと見せかけて、シャワーで水を浴びるところは、ジョーズ以来のらしい演出。
全体的に、抑え気味の演出で、最後にシンドラーとユダヤ人の交流で、静かなしかし大きな感動を引き起こすのは、流石に凄い計算。
救われた方々の具体的な名前への拘りは、歴史的事実の記録を重んずるユダヤ民族の国民性のなせる技いうことであろうか。
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