シリアル・ママのレビュー・感想・評価
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最高に笑える「シットコム」パロディの殺人鬼映画。ラムチョップでラムチョ~~プ!!
映画を観ているうちにママに感化されて、
上映中にスマホあけて見てるカスとか、
エンドクレジット前に立つ連中とかを、
「パニッシュメ~~ント!!」て
その場で容赦なく56しちゃう、
タクシードライバーのトラヴィス
みたいなやつが出たら超笑えるのに!
お恥ずかしながら、初視聴。
なにこれ、やべえ、くっそ面白えじゃないか!!!
今まで観ていなかった自分の不明を、おおいに恥じたい。
どれくらい面白かったかというと、
買って持ち込んでいたドリンクが、
映画が終わってふと気づいたら、
ほぼ手つかずのまま残ってたんですよ。
それくらい、夢中になって観てたってこと。
たしかにひっでえ映画ではあるし、
テキトーな映画でもあるけれど、
あえていいたい。
ここには、僕が映画に求めているすべてがある、と!!
『ピンク・フラミンゴ』を20代のときに観て生理的に受け付けなかったので(笑)、なんとなくこの監督には寄り付かずに生きてきたのだが、ジョン・ウォーターズ、ふつうに面白いじゃん!!
「ちゃんとした」ろくでもない映画もとれるじゃないか。
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何より、話の骨格がわかりやすい。
とにかく「シットコムのパロディ」で全編を押してる。
だっさい演技。くっさい音楽。わざとらしいアングル。
そこが揺るぎないから、観ていて軸がぶれない。
終盤の裁判パートに入って、ちょっと退屈かなと思ったが、
ここも「法廷モノのパロディ」だとわかってからは、
安心して観ていられた(てか、テッド・バンディの真似してんのね)。
要するに、「アメリカの正義」「アメリカの道徳」を
徹頭徹尾バカにしている。おちょくっている。虚仮にしている。
そこが、すがすがしい。かっこいい。
「頭のおかしい正義の人」が活躍するホラー自体は、星の数ほどある。
『Dr.ギグルス』とか『サンタが殺しにやってくる』とか、それこそ枚挙に暇がない。
よって『シリアル・ママ』がその点で斬新というわけではない。
ホラーの枠組みを外しても、『ビースト獣の日』とか『デクスター』とか『ベルセルク』のモズグズ様とかいろいろあるわけで、むしろ悪役にも一定の義があることのほうが普通とさえいえる。
本作のミソはあくまで、「シットコムに出てくるような中流階級のマダム」がそのままのノリで「ささいな正義の執行のために、何の気なしに殺戮を繰り返す」ようすと、それに対して「シットコムの流儀でコミカルに応対する」周囲の反応を、「ズレ」「違和」として徹底的に笑いのめしている部分にある。
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本作は一見するとホラー寄りに見える部分もあるが、基本はコメディであり、観客を怖がらせる気なんかはあまりない。話のロジックも、「わざと」ゆるんゆるんに構成してある。
シットコムそのものが、たいしたロジックなどない気楽な内容の話なのだから、それを土台にした本作もまた、テキトーなノリで十分なのである。
指紋やら、目撃者やら、いっさい気にしない、
ただの思いつきの犯行。
かっとなったら、即座に殺す。
いらっときたら、悪・即・断。
なんて痛快で、なんておおらかな殺人鬼なのだろう。
ある意味、すかっとする。胸のつかえがおりる。
スカッとアメリカ。いいね!いいね!いいね!
彼女の怒りは、基本的には「家族に危害を加えるもの」に概ね向けられている。
息子や、娘や、夫を害するものは、容赦しない(シットコム=「ホーム」コメディだから)。
悪・即・断! 悪・即・断!
まあ、そのうち本格的にぶっ壊れてきて、
目撃者殺したり、どうでもいい理由で殺したりもし始めるんだけど、そこはご愛敬。
やたら詮索してくる隣人のババアとか、駐車場で割り込みやって憎まれてるババアとか、先にターゲットにされて全然おかしくないような人間でも、なぜか生かしておくようなケースもあるし(わざわざ家まで乗り込んで目の前でネタばらししているのに)、逆にシートベルトの子みたいなケースもあるし(あれ、怖かったろうなあww)、シリアル・ママの反応はおおむね一貫しない。
そんなシリアル・ママを確保しようと警察が追い掛け回すが、シリアル・ママは「単に逃げる」のではなく、逃げた先でまた寸暇を惜しむように凶行を重ねる。自分は無実だといいはって警察から逃げながら、ちっとも自制しない。また警察の目と鼻の先で人を殺しまくる。
要するに、シリアル・ママの行動性は行き当たりばったりで、成り行きまかせで、総じて何も考えていない。
それに対して、早い段階からママがおかしいということは、家族全員が気づいている。
最初は皆おどおどしていて普通の反応を示しているのだが、そのうちドタバタカーチェイスとかやってるうちに度胸がついたのか、だんだんママが殺人鬼であることに「慣れて」、それを受容するかのようなふるまいを見せるようになってくる。
あげく、家族でシリアル・ママ銘柄のグッズを製作して一儲けを始める始末。
このあたりも、「トラブルメイカーの奥さんに合わせてドタバタしている夫と子供」というシットコムのパロディとなっているのだろう。
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何はともあれ、この映画はキャスリーン・ターナーの怪演に尽きる。
てか、よく受けたよね、こんな役(笑)。いちおう大女優なんだけど。
でも意外と乗り気だったのかな? ほんと、楽しそうだし。
いい感じで老けてきてて。
いい感じで肥ってきてて。
とくに、「悪を見出してしまった」ときに見せる大魔神フェイスが最高。
シットコムの演技の「延長上」でサイコ殺人鬼を演じるという難役を見事にこなしている。
とくに『アニー』の「トゥモロー」に乗せて、ラムチョップでラムチョップしまくる(いったんナイフを手に取ったのにわざわざ肉に持ち替える)シーンが最高。これって、有名な「奇妙な味」の短篇で、ロアルト・ダールに「おとなしい凶器」(『あなたに似た人』所収)ってのがあって、そこからきてるんだよね。
「巻きもどせえええ!(Rewind)」
イヤほんと、こんなくっそくっだらないことで殺されるなんて、婆さんマジ可哀そうに(笑)
あと、鶏肉食べてる夫婦をのぞき見しながら、愛する小鳥(ホシムクドリとか)たちのことを想起して怒りをふつふつと募らせていくのも、同じバーダー仲間としてふるえるほど笑った。思わねーよ、そんなこと(笑)。そういや、昔大学で学生マジックやってたとき、ハト演者はステージの日まで「鶏肉断ち」して演技の成功を願掛けしてたなあ。
あと、息子の友人を追って、後ろから包丁振りかざして爆走してくるシーンと、車の上からざっくざっくいくシーンはマジで笑った。ライブシーンも含めてあの辺の盛り上がりは最高。「シートベルトをしめろおおお!」って、俺を笑い死にさせる気か。
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その他、雑多な感想を箇条書きにて。
●冒頭に出てくる「本作は事実にもとづいたものである」というのは、もちろんそれ自体がジョークである。というか、実録犯罪もの(トゥルークライム)のジャンルの定型文を茶化しているわけだ。
●ハエ叩きのシーンは、シリアル・ママのゆがんだ道徳観と「いらいらさせる夾雑物」に向ける強烈なサディズムを暗示する、面白い導入になっている。
●ホラーマニアの息子がマシュー・リラードって、『スクリーム』であんな役やってたからオファーされたのかと思って観ていたのだが、家に帰ってからネットで観て、『シリアル・ママ』は『スクリーム』の2年「前」に作られた映画であることに気づき、のけぞる。なるほど、話は逆で、『シリアル・ママ』でこういう役をやってたから、『スクリーム』のあの役が来たってことなんだな(笑)。
●ホラージャンキーの3人がぎゃあぎゃあ言いながら観ている映画が、ハーシェル・ゴードン・ルイスによるゴア・ムーヴィーの元祖『血の祝祭日』(63)で笑う。『血の祝祭日』はもともとはドライブイン用の低予算映画だが、90年代にはカルトとしてレイトショーで若者たちが騒ぎたてながら観るパーティームーヴィーと化していたので、この扱いは正しい。
なお、暖炉の火かき棒での殺人でレヴァーがついてくるあたりも、ハーシェル・ゴードン・ルイスを意識してるんだろうし、「本当の血の色は赤くない」というセリフも、ハーシェル・ゴードン・ルイスの映画では血のりが真っ赤に発色していることを念頭に置いたものである。
●もう一本、子供二人が母親が殺人鬼ではないかと疑いを語るシーンで流れている、ジョーン・クロフォードらしき人物が出ている映画は、ウィリアム・キャッスルの『血だらけの惨劇』(64)。あれも、頭のおかしい殺人者のお母さんと子供をめぐるお話だったので、このシーンで引用されるのは大変に当を得ているといえる。ワードローブにひそむ殺人鬼のシーンも、『血だらけの惨劇』へのオマージュではないかと推察される。
●鳥の図鑑のふりをしてシリアル・ママが隠し持っているマーダー・ケースブックみたいなスクラップブックには、テッド・バンディやジョン・ウェイン・ゲイシーのイラストなどが見受けられる。テッド・バンディの声の録音テープが登場するが、Wikiによれば、あの声はジョン・ウォーターズ監督自身の声らしい。
●娘の彼氏が乗り換えた相手の女はトレイシー・ローズ。ジョン・ウォーターズってこういうキャスティングほんと好きだよね(笑)。俺はちなみにこの女優の三本立てをやっていた洋ピン映画館で貞操の危機にあったことがある……新宿国際劇場がまさかハッテン場だったなんて、当時のういういしかった学生時代の僕は、当然知る由もなかった(笑)。
●カーチェイス中に家族に投げキッスするシリアル・ママかわゆい。あれ、キャスリーン・ターナーの完全なアドリブで、ジョン・ウォーターズは試写で爆笑が起こって、初めて気が付いたらしい。
●裁判シーンは先にも書いた通り、テッド・バンディが自身の裁判で自ら弁護士として自己弁護したネタのパロディであることは確かなんだが、この映画が公開されてからしばらくして、例のO.J.シンプソン事件が実際に起きて、ある意味、思い切り時代を先取りすることになった。
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出来の良いバカな映画ということで、ここまでさんざん褒めてきたわけだが、ふと現代を振り返って考えてみると、ちょっと空恐ろしい気持ちにもなる。
だって……これって、今まさにみんながやってることじゃないか??
ちょっとした正義感や道徳心にしたがって、見ず知らずの相手を通りすがりに血祭りにあげるのは、まさに「今のSNS民やヤフコメ民が日常的にやっているネットリンチ」と何も変わらない。
その意味でも、きわめて先駆的な映画だということができるのではないか?
いや、自分はそんなことはしないって言ってるやつ。
本当にあなたは、バイトテロのバカな青年たちを叩かなかったか?
フワちゃんのことを悪くいわなかったか?
献体をおちょくった女医を断罪しなかったか?
それって「そこまでやられるほどのことか」といいたくなるような案件が、あっという間に「正義棒をふりかざす」人たちによって寄ってたかって叩かれ、燃やされ、マスコミによってそれが増幅され、やがて世論が形成されていく様子を、僕はこの10年くらいうんざりするくらい見てきた。僕から言わせれば、上から目線で「悪いやつ」を叩いてホルホルしてるネット戦士の連中なんて、みんなプチ・シリアル・ママみたいなもんだ。
そう、自戒をこめていうけど、
シリアル・ママは、みんなの中にもいるんだよ。
みんな自分の中に、シリアル・ママを飼っている。
でも大半の人間は、それをなんとか抑えて日常を生きてる。
だからこそ、シリアル・ママを見て憂さを晴らす。
痛快に思う。その自由さと適当さにあこがれる。
シリアル・ママの狂気でガス抜きができる。
だけど、一部の人間は、それをネット世界で解き放っている。
実際に正義で人を断罪し、溜飲を下げている。
それが怖いことだと、認識もせず、むしろ意気揚々と。
そういう人間は、きっとシリアル・ママを笑えない。
週刊実話(実話とは言っていない)
94年の作品
映画館には行かなかったが95年頃レンタルVHSで鑑賞
それ以来久々DVDで2度目の鑑賞
犯罪映画
知る人ぞ知るB級映画の傑作
サスペンス要素たっぷりのブラックコメディー
ある意味最高のおバカ映画
アメリカの恥部だがこれは誇っていい
アメリカンジャスティス
シリアルといってもシリアル食品ではなく連続殺人のこと
さも実話を元にしている実録風作品だが実際は全くのフィクション
それもまた作り手側のお遊び
アメリカの気候がそうさせるのか日本ならもっとジメジメした内容になるはずがカラッとした娯楽映画として完成
愛する家族を守る模範的な母親を大女優キャスリーン・ターナーが好演
彼女が演じたビバリー・サトフィンの欠点は超お下品で超キレやすく次々に人殺しをしてしまう狩猟民族でもあるアメリカ人ならではの行動力
それなのに敬虔なクリスチャンという事実が恐ろしい
どうにも止まらない
熱心な役作りのためか若い頃のターナーと比較すると見事なおばさんぶりに仕上がっている
クローゼットの中で鋏を持って待ち伏せしてるときのあの表情は印象的
不快指数100%
グロい
悪趣味
お下劣
ぶっ飛んでいる
「共感できる!」「スカッとした!」
警察は念のため用心した方がいいだろう
AVや風俗店を取り締まる暇があるなら
ホラー映画が大好きな息子をディスった大学教授をマイカーで轢殺
娘が片思いしているのにガールフレンドがいる若い男をトイレで背後から火かき棒で刺殺
鶏肉を食べてる中年女を鋏で刺殺しその夫が現場から逃げるや否や頭上にエアコンを落として殺害
これだけでは収まらない
レンタルVHSを巻き戻さないで返却する中年女をラムチョップで撲殺
シートベルトを締めない若い男を焼き殺す
鶏肉に関しては20世紀に観賞した当時は意味不明だったがどうやらビバリーは小鳥が好きでバードウォッチングが趣味だからかもしれない
だとしてもあまりにも身勝手な犯行
その観賞用の小鳥と食用の鶏は全くの別物だし
秋に白い靴を履いているだけで受話器で撲殺されるジャーナリストも理不尽すぎて可哀想
銃社会のアメリカなのになぜか射殺は一切ない
包丁で刺し殺すことさえ迷った末に却下した
ビバリーには独特の拘りがあるようだ
結局逮捕され裁判にかけられるわけだが弁護士を解雇して自ら弁護
まさかの無罪を勝ち取る展開
なぜか感動を誘うBGM
ビバリーがまるで英雄のように人気者になる狂気な世界
まともじゃない
クレイジー
だからこそ面白い
予備知識がないとなんのことだかさっぱりわからないかもしれないがピーウィー人形を変態人形と言う所が小ネタとして笑えて個人的に一番好き
裁判所で何度も足を開いたり閉じたりするビバリーもなかなか
因みにキャスリーン・ターナーは自伝で過去に共演したニコラス・ケイジの悪口を書いて訴えられ裁判で負けたらしい
現実はそううまくいかない
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