「サメ退治を通じて徐々に理解し深まる男たちの友情譚も実に自然で良い描かれ方をしていますね」ジョーズ 矢萩久登さんの映画レビュー(感想・評価)
サメ退治を通じて徐々に理解し深まる男たちの友情譚も実に自然で良い描かれ方をしていますね
スティーヴン・スピルバーグ監督からの嬉しいお年玉。
『JAWS/ジョーズ』(1975)の公開50周年を記念して1月10日(金)からスティーヴン・スピルバーグIMAX映画祭と題した日本初のIMAX上映がスタート。
早速、TOHOシネマズ新宿さんへ。
『JAWS/ジョーズ』(1975)
劇場公開当時はまだ赤ん坊。
確か最初は日本テレビ「水曜ロードショー」で観た記憶、赤青メガネで何となく立体にみえた『ジョーズ3』(1983)が映画館での初鑑賞でしょうか。
第1作の『ジョーズ』を映画館で鑑賞するのは初。
しかもIMAXの巨大スクリーンで迫力の大音響で鑑賞できるなんて想像もしなかったです。
久々の鑑賞ですが、まずはオープニングから作曲家ジョン・ウィリアムズ節全開。
世界でも最も有名なEとFの2つの音符のシンプルな旋律ですが迫りくる恐怖を実に見事に表現していますが、見直してみるとテーマ曲以外でも海洋冒険譚らしい勇壮で軽快な劇伴も素晴らしく、捨て曲無しのどれも聞き逃せない名曲ばかりですね。
撮影用機械ジョーズの頻繁な故障が怪我の功名のようですが、なかなか本体を現さず、水面上に露出する背びれや黄色い樽だけで存在を仄めかすところが単なる動物パニックでなく、上質なサスペンスホラーに昇華、初代「ゴジラ」(1954)にも通じ、観客の渇望をあおりますね。
音楽、主役のサメ(ジョーズ)も良いのですが、退治に出かけるブロディ警察署長(演:ロイ・シャイダー)、フーパー(演:リチャード・ドレイファス)、クイント(演:ロバート・ショウ)の競演、サメ退治を通じて徐々に理解し深まる男たちの友情譚も実に自然で良い描かれ方をしています。実直なシャイダー、陽気なドレイファスに目が行きがちですが、特に変り者の変人だったクイントが徐々に共感できるキャラクターに変わっていくさまを『007 ロシアより愛をこめて』のスペクターの殺し屋、『スティング』のギャングのボスを演じた名優ロバート・ショウが見事に演じていますね。
やはりストーリー、音楽、配役、演出とあらゆる面で優れた大傑作ですね。
1月24日(金)から公開の『E.T.』、31日(金)からの『ジュラシック・パーク3D』も楽しみですね。