劇場公開日 1978年6月17日

「再鑑賞を誘う魅力が…」ジュリア KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5再鑑賞を誘う魅力が…

2022年8月1日
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キネマ旬報ではビスコンティの「家族の肖像」についで第2位と、
ジンネマン監督作品としては
最高位にランクされた。

ジンネマン監督はこの作品を通じて
何を伝えたかったのか。
ジュリアは殺され、
彼女の子供は見つからず、
彼女の実家からも見捨てられ、
そしてリリアン自身、ダシールを失い、
一人孤独感漂うボート上での
魚釣りのシーンで終える。
リリアンの人生、全てにおいて
寂寥感に苛まれ続けたかのような
描写の作品だ。

人生は、
友人を失う等、数々の喪失がつきまとい、
それでも人生は続く、と語っているのか、
私にとって、まだまだこの作品への理解が
進んでいない思いがある。

この作品、ジェーン・フォンダが
主役として出ずっぱりだが、
登場時間のさほど長くない
ヴネッサ・レッドグレーヴの
存在感が有り過ぎ、
フォンダの成長譚を置き去りにした
感じもあり、
正に“邦題”通りの
レッドグレーヴ/ジュリアのための映画
のようにさえ感じさせられてしまうほどだ。

さて、メリル・ストリープは後年、
やはりナチスによる被害者役を
演じることになる「ソフィーの選択」で
アカデミー主演女優賞を受賞する。
「ジュリア」の原作に
主役二人の同性愛的要素が高いのか
私には不明だが、
彼女と彼女の家族にまつわるシーンが、
この映画として
必ずしも必要だったとは思えなかった。

いくつかの納得のいかないシーンこそ
あったが、
しかし、ジンネマン監督作品として
「ジャッカルの日」と並ぶ
サスペンス映画の傑作と思うと共に、
なんとも言えない緊迫感に溢れ、
スタッフの平和への希求も感じながら、
己の人生に係わった人々を
自分の心にどう留め置くか等、
早世した親友に想いを寄せさせる
この「ジュリア」には、
「ジャッカル…」以上に
再鑑賞を誘う魅力がある。

KENZO一級建築士事務所