「怖いのに、おもしろい!」ジュラシック・パーク とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
怖いのに、おもしろい!
突っ込みどころ満載。
他の従業員は全員最終便で帰った設定?ウー博士は「今日は帰れる」と喜んでいたから帰ったのだろうけれど。
セキュリティ甘すぎ。でも、1990年代ならありかもと思ってしまうところも怖い。
ウー博士たちが蛙や鳥類の生態系の不思議を知らない?素人の私だって、マルコム博士が指摘したこと、グラント博士が卵の抜け殻を見て思い出した自然の驚異を知っているのに…。
冒頭、そこ人力で開けるの?
数学者が警告すること。古代生物学者は即答を控える。反対のようにも思えるんだが。実体でなく、理論で研究する立場の学者と、実際に起こっていること、証拠のようなものを見つけて研究していく立場の学者の違いを示しているのだろうか。
グラント博士も顔負けの恐竜知識満載のティム君なのに、そこで、懐中電灯を照らす?
そこ、恐竜に見とれているんじゃなくて、恐竜が何から逃げているかを確かめないと!
この島は、ガラパコス諸島や小笠原のように、他との生態系のやり取りが閉じている設定?飛ぶ、泳ぐ系の恐竜はいないから、生態系は守れるってか?先日旅行した兵庫県沼島で聞いた話では、淡路島から猪が人間が泳げないほどの潮の流れ(鳴門の渦潮の近く)の4Kmを泳いで沼島に渡ってきて、今大変な状況だと聞いたけれど。鼠や昆虫が、船に紛れて移動するように、生まれたばかりの恐竜が、紛れ込むことはないのだろうか。高圧の檻から抜け出せない設定でいたから、そういう心配はしなかったのだろうか。でも、植物の種皮は風に乗って移動するし、衣服についたりして移動するよね。だから、小笠原や植物園とかでは、靴についた種皮が持ち込まれないように、靴底拭いてから下船するよね。
他にも、他にも。
原作未読。
『ジュラシック』シリーズ、初鑑賞。
鑑賞している最中は、上記のような突っ込み入れまくり。
なのに、おもしろい!
子どもが見る映画だが、結構、殺される場面も出てきて、それが、また恐怖を煽る。
恐竜だけでなく、高圧電流とかも。(高圧電流シーンが一番、ハラハラした。生き返るんかい!)
水面の動きとか、期待と、がっかり感+安堵と、ハラハラ感とか、怖い場面とか。もう駄目だと思った瞬間の助かり方とか。その演出の巧みさ。人間だけが主役じゃない(笑)。
これだけ、恐怖を煽る映画なのに、終わると、発掘キットを買って試してみたくなる。福島県でアンモナイトの標本作成体験したくなる。石川県の施設で発掘体験したくなる。群馬県の施設でレプリカ作成体験したくなる。
そして、私が期待する構図を見せてくれる。
誕生のシーンの愛おしさ。
アイスクリーム・デザート・ご馳走食べ放題。状況を考えると手放しで喜ばないけれど。
館内で、『ジュラシックパークへようこそ』の横断幕が舞い落ちる中、T-レックスの咆哮。舞台等のラストの決めポーズ的に持ってくる。
他にも他にも。
成功するかに見えた、思い描いていた夢が砕け散った時。その、切なさには痛く共感。涙が出る。善悪はともかく。
恐竜は鳥類の祖先。爬虫類の仲間だと思っていた私には衝撃だった。
DVDの解説によると、監修者はいたそうだ。尤も、厨房のシーンで、鳥類にはない、爬虫類のような演出をしたら、監修者は怒ってしまったそうだ。そりゃそうだ。だが、現実に忠実より、映画的な見栄えをとっているらしい。確かに、あの場面で、舌チョロチョロがあるのとないのとでは、怖さ指数が違ってくる。
胡散臭そうな風体にした数学者に正論を語らせるのも、映画をおもしろくする演出?原作に忠実?しかも、自分の危険を顧みずに、T-レックスを誘導し、怪我してしまう良い奴。おかげで、活躍どころがなく、それは次回作に持ち越される損な役。おかげで、グラント博士の活躍に集中できる。ヒーローも整理整頓。見やすい!
他の映画のレビューでも書いたが、スピルバーグ監督は、ストーリーテリングや、見せ方がうまい。
高尚なメッセージをわかりやすく、大衆が理解しやすく、しかも、ドラマチックに盛り上げ、知的にだけでなく、感情的にも受け入れやすくする。取捨選択が見事。
そして、冒険心を忘れない。わくわく感を忘れない。
適度に残酷な場面もあるが、残酷すぎることはなく、安易なおとぎ話にはしない。
本当に優れた才能だと思う。
物語は、
科学への倫理、弁護士に代表されるエコノミックアニマル(儲け至上主義)への批判、コンピューター制御への警告をベースに、
恐竜と私たちが同時代にいたらと、誰もが一度は思い描く、世界を実現させてくれる。恐竜に追い回されてあたふたするのも、映画の中であれば、想定内。ドキドキ・ワクワクの世界。
そして、グラント博士の成長譚でもある。
と主題はいくつも見つかるが、
とにかく面白い。それに尽きる。
★ ★ ★
役者が驚き。
グラント博士は『ピアノレッスン』の朴念仁夫。『ピーターラビット』のマクレガーおじさん!ニール氏には『ピアノレッスン』の方がしっくりくる。だから、こういう役をよく受けたなと思う。
あまりうまみのない、名前もあまり覚えていないような役に、サミュエル・L・ジャクソン氏!目を疑ってしまった。
そんな中、一番びっくりしてしまったのが、ティム君演じたマッゼロ氏。『ボヘミアン・ラプソディ』のディーコン氏!「予告編」に入っている「特別インタビュー映像」では、「ああ、ディーコン氏だ」と思ったが、やはり、”栴檀は双葉より芳し”なんですね。
★ ★ ★
DVDについていた解説。
スピルバーグ監督が「ゴジラ・怪獣ではないんだ。本物の恐竜なんだ」と繰り返す。
「ブラックディズニー」だとも。
いろいろなものに張り合っているのですね、笑ってしまった。
(人が中に入っているような姿の生物ではないといいたのだろうけれど。)
「予告編」に入っている「特別インタビュー映像」にもあるが、俳優への演技指導。「ほら、映画ファンが、トム・クルーズにあった時のように」って。笑った。
この映画の後ですね。『マイノリティ・リポート』『宇宙戦争』でトム様と組むの。
トム様が、人が喜ぶ肝をつかみ、実現するのって、スピルバーグ監督たちから学んだのだろうか?
絵コンテが、そのまま漫画になりそうなほど、きちんと描かれている。
絵画的な才能もお持ちなのですね。
コップの中の振動。うまく、輪にならなかったそうだ。でも、CGではなく、試行錯誤ののち、この映像を可能にする方法を見つけ出した。種明かしを含む、その過程もインタビューで語られる。
常に、自分たちが表現したいもののために、あれやこれやと工夫を欠かさない。
その延長の、CG。
初めは、オブジェのような恐竜を作り、ロボット的な技術で動かし、人間が映らない場面では、縮小されたパペットのようなものを作り動かしと、特撮でとる予定だったらしい。(撮影技術用語に疎いので、こんな説明で済みません。正確にはDVD特典映像を見て下さい)
だが、時間と費用が嵩む。
そこで、スタッフからの提案で、一部CGを使ってみることに。『使えそうだ」となる。しかも特撮よりも安い!
困ったのが、パペットのようなものを作り撮影していたチーム。映画の中で、マルコム博士が「絶滅だ!」と叫ぶシーンがあるが、それは、CGが使えることで、特撮チームが「絶滅だ!」ということ言っているのだと、インタビューで言っていた。
この映画で、すでに、今のハリウッドでのストの問題が出ていたとは!
今回のストに、スピルバーグ監督はどんな立場をとっているのだろうか。
大陸については、途中からの視聴でしたし、無知識不勉強ですので。TV では先に書いたように今は存在しない大陸があったようです。位置はおっしゃるようにアフリカ大陸の辺りかと。地球🌏は、
生きている、ということですね。
昨年か一昨年か大丸梅田店で恐竜展があり行きたい、とは思っていました。行けませんでしたが。
こんばんは♪コメントありがとうございます😊
恐竜🦕🦖大好き💕😘さんと誤解いたしまして失礼いたしました。ですが、レビューとコメントを拝読させていただいた限り、他の内容と比較もできず大好き❤😘💕さんかなぁ〜と勘違いしてしまいました。やはり、昔のモノを研究するには、臭い諸々に打ち勝つモノが要るのですね。なろうと思ったことございませんが、私も結構でございます。
毎度ありがとうございます😊
昨日NHKで、恐竜🦖🦕の生息分布図の説明がありました。
アメリカ大陸やヨーロッパ大陸とは思う大陸が以前にはありそこでの生息地。また、ブラキオサウルスがなぜ大型になっていったかの理由とかも説明されていました。
最初恐竜は、もっと小さな大きさだったようです。とみいじょんさん、好きだろうな、と、思いました。
こんばんは♪
ご返信いただきましてありがとうございました😊
とみいじょんさまは、
💕真面目でひたむきだけど
おもしろい💕
です。
いただいたコメントは大変真面目に考えて行動もされておられるのですが、
拝読させていただいた感想は、
おもしろい、です。楽しくなります。
以前の『ミツバチのささやき』の時も
真剣で真面目でしたが、また違います。
また楽しみにしております🦕🦖
詳しいご返信をいただきましてありがとうございました😊
謝っていただくようなことはございません、恐縮いたします。
解説等ありましたら、いろいろわかりますね。また探究心深いとみいじょんさんならではこそ丁寧に詳しくなるかと推察いたします。
ツッコミどころ満載、だって現実に恐竜🦖🦕はいませんから。
そんな事実気にせず楽しめる作品でした。その作品の中で大活躍していただいた印象です🦁
拝読させていただきまして、
今までとみいじょんさんに抱いていたイメージが、音を立てて崩れ落ちたような印象を受けました。
オモロ過ぎるレビューをありがとうございました😊
発掘キット是非購入なさってあちらこちら出向いて掘って来てください。 まだよろしく🤯
ひとつの映画を見ながらもいろいろなことを考えられるのですね。
私はそんな余裕がなく、怖いばかりで終わってしまいました。
今年、「午前十時の映画祭」で見直して、この映画の凄さを改めて実感しました。スピルバーグ監督って凄い監督ですよね。
レビューのコメントの中で「もしも本当にジュラシックパークができたら論争」があったのですが、とみいじょんさんは見に行きたい派ですか?