シャロウ・グレイブのレビュー・感想・評価
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ダニー・ボイルの映画キャリアはここから始まった
ダニー・ボイルの映画監督としてのキャリアは、スコットランドの最大都市グラスゴーを舞台にしたこのスタイリッシュな心理サスペンスで幕を開けた。冒頭、道路を疾走する映像からして既に画期的で、これが90年代初頭に撮られたとは思えない大胆さ。やがて3人の男女による新たなルームメイト探しは、「男の死体と残された現金」をめぐる攻防戦へと発展し、裏組織や警察なども巻き込みながら、それぞれが疑心暗鬼の螺旋階段へと陥っていく。
タイトルは「浅い墓穴」といった意味。本作では森の奥に掘られた穴や共同フラットの屋根裏などにまで視点を広げ、そのカメラワークは縦横無尽、かつ一向に留まるところを知らない。ボイル監督をはじめ、後に『トレインスポッティング』でその才気を爆発させるスタッフたちの「なにか爪痕を残したい」とする執念がビリビリと伝わって来る。ラストの顛末も含めて、ある意味『トレスポ』のプロトタイプとも言うべき創造性が充満した作品だ。
リメイクしても面白いのでは?
斜に構えたイギリスらしいもの
"ウィッカーマン"
デビュー作らしからぬ
ケリーフォックスといえば初主演のエンジェルアットマイテーブルで既に大女優だった。この映画を見ると若い頃のアグレッシブな魅力がよくわかる。射るような碧眼をしている。威嚇してるわけじゃないのに威嚇できるキャットアイだと思った。また対人恐怖症のエンジェル~から鉄火女へ変幻してしまえるキャパシティの広さに改めて感心した。強欲に高笑いする一方で、やさしい母親の表情もできる。
鷹揚で朗らかでどことなくむっちりで、かつ、さらりと脱いじゃっているのもいい。男性というものは、あんがいセクシーな演出の為されているところで裸が出てきたって昂奮はおぼえない。ただし、予期もせず、ひけらかしもなく、もったいぶりもせず、さらりと映る裸にはグッとくる。これは日本映画にはぜったいにない演出でもある。
ダニーボイルといえばトレインスポッティングや28日/週後が有名だが、このデビュー作を見るとヒッチコッキアンなスタート地点がよくわかる。シーンの変わり目に構図をキメる感じ、なにかを秘匿している表情をとらえるカメラ、他者の行動を俯瞰するくだり等シャブロルよりずっとヒッチコックを思わせた。また、おそらく女性にとってはこの映画のユアンマクレガーはおよそ22か23なゆえに端正さには無類の輝きがある。とりわけケツ顎って言い方がよくわかるぷっくり感だった。
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