シャロウ・グレイブのレビュー・感想・評価
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ダニー・ボイルの映画キャリアはここから始まった
ダニー・ボイルの映画監督としてのキャリアは、スコットランドの最大都市グラスゴーを舞台にしたこのスタイリッシュな心理サスペンスで幕を開けた。冒頭、道路を疾走する映像からして既に画期的で、これが90年代初頭に撮られたとは思えない大胆さ。やがて3人の男女による新たなルームメイト探しは、「男の死体と残された現金」をめぐる攻防戦へと発展し、裏組織や警察なども巻き込みながら、それぞれが疑心暗鬼の螺旋階段へと陥っていく。
タイトルは「浅い墓穴」といった意味。本作では森の奥に掘られた穴や共同フラットの屋根裏などにまで視点を広げ、そのカメラワークは縦横無尽、かつ一向に留まるところを知らない。ボイル監督をはじめ、後に『トレインスポッティング』でその才気を爆発させるスタッフたちの「なにか爪痕を残したい」とする執念がビリビリと伝わって来る。ラストの顛末も含めて、ある意味『トレスポ』のプロトタイプとも言うべき創造性が充満した作品だ。
リメイクしても面白いのでは?
"スラムドッグ&ミリオネア"の監督のデビュー作だそうだ。30年前の映画なのだが固定電話とかPCを除き殆ど古さを感じさせない作品。スタートの映像と音楽が実に印象的な、90分に纏められたサスペンス。舞台になったグラスゴーには数日滞在したことがあるが、こんなに綺麗な街だっただろうか?編集がヒラクボなんとかさんという日本人だった。この脚本ならリメイクしても良いのではないか?
大金が絡むと人間は狂ってしまう。 3人とも醜いので正直誰も応援でき...
大金が絡むと人間は狂ってしまう。
3人とも醜いので正直誰も応援できないが、消去法で一番ましな男が生き残るということで、まずまずの終わり方だった。
斜に構えたイギリスらしいもの
トレインスポッティングを意識したのか、当時このノリの映画を好き好んでみる大学生向けの映画。人との違いを出したく観るのだか、観ても何も変わらないし、得るものはない、という青春時代を思い出した。
内容は頭に入らず。
"ウィッカーマン"
映画監督デビューの本作からダニー・ボイルらしい「トレインスポッティング」に毛が生えたような演出描写と詰めが甘い物語展開。
偉そうな態度の三人組に最初から嫌な印象のまま、ユアン・マクレガーがうるさくてイライラするキャラ、話に巧く絡めていないギャングの半端さ加減、ミステリー的な心理描写も描けないダニー・ボイルの実力は今も昔も変わらずか!?
お金だけ隠しておいて通報すれば良かっただけの話、最後の大乱闘含めた雑な展開に興味も薄れてしまう。
デビュー作らしからぬ
ケリーフォックスといえば初主演のエンジェルアットマイテーブルで既に大女優だった。この映画を見ると若い頃のアグレッシブな魅力がよくわかる。射るような碧眼をしている。威嚇してるわけじゃないのに威嚇できるキャットアイだと思った。また対人恐怖症のエンジェル~から鉄火女へ変幻してしまえるキャパシティの広さに改めて感心した。強欲に高笑いする一方で、やさしい母親の表情もできる。
鷹揚で朗らかでどことなくむっちりで、かつ、さらりと脱いじゃっているのもいい。男性というものは、あんがいセクシーな演出の為されているところで裸が出てきたって昂奮はおぼえない。ただし、予期もせず、ひけらかしもなく、もったいぶりもせず、さらりと映る裸にはグッとくる。これは日本映画にはぜったいにない演出でもある。
ダニーボイルといえばトレインスポッティングや28日/週後が有名だが、このデビュー作を見るとヒッチコッキアンなスタート地点がよくわかる。シーンの変わり目に構図をキメる感じ、なにかを秘匿している表情をとらえるカメラ、他者の行動を俯瞰するくだり等シャブロルよりずっとヒッチコックを思わせた。また、おそらく女性にとってはこの映画のユアンマクレガーはおよそ22か23なゆえに端正さには無類の輝きがある。とりわけケツ顎って言い方がよくわかるぷっくり感だった。
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