「ギリアムのソロ監督デビュー作に4Kで触れられる喜び」ジャバーウォッキー 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
ギリアムのソロ監督デビュー作に4Kで触れられる喜び
ギリアムが77年に製作した記念すべきソロ監督デビュー作である。「鏡の国のアリス」に登場するナンセンス詩にインスピレーションを受けて構想が膨らんだらしいが、物語そのものは「アリス」とはなんら関係がない。マイケル・ペイリン演じる桶屋のせがれが、王国を揺るがす凶悪な怪獣退治へと巻き込まれていく、というあらすじを聞くだけで、お馴染みのギリアム・テイストが目に浮かんでくるかのよう。当時のギリアムは30代後半だが、すでに映像は奇想天外に彩られ、怪獣との対決シーンや、そこに至るまでのまるで螺旋階段を永遠と上り下りするかの様な不条理な語り口にも確たる個性と持ち味が刻まれている。唯一、”笑い”と”ストーリー”との兼ね合いで苦労する面が窺えるものの、それも今こうして見ると新鮮だ。彼がいかにパイソンズ的なものを克服し、独自色を開花させようとしたのか、その奮闘ぶりが伺えファンには非常にたまらない伝説の一作である。
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