ジャッキー・ブラウンのレビュー・感想・評価
全36件中、1~20件目を表示
群像劇の面白さはあれど…
◯作品全体
因縁と偶発的な衝突が盛り込まれた群像劇。関係性の築き方が丁寧な作品で面白かったが、「ここぞ」という場面が少しぼやけて見えた。
作品内に物語の山場はいくつかある。主人公・ジャッキーが保釈された後にオデールがやってくるシーンや、ショッピングモールでの金の受け渡しのシーン、ラストでマックスの事務所にやってくるオデールのシーン。いずれもジャッキーの作戦がうまく決まらなければ自身も危うくなる、緊張感のあるシーンだ。
しかし、「きっとうまくいくんだろう」と高を括って見てしまうような、物語上の(悪い意味での)余裕がある気がした。オデールがジャッキーの家に来るシーンでは、反撃の手段として車中にある銃をあらかじめ映している。そしてそれが実際に反撃の手段として登場するわけだが、結局それ以上に二人の有利不利を動かすわけではなく、予想の範疇で物語が進む。ショッピングモールでの受け渡しも特にイレギュラーがあるでもなく終わってしまう。オデールの妾であるメラニーが突如撃たれるが、自分勝手に振る舞うメラニーをあらかじめ映していたから、バッドエンドへ向かうことに驚きもなかった。ラストでオデールを撃つ場面では、その前に慣れない手つきで銃をとりだす練習を映すことで「もしかしたらジャッキーは失敗するのでは」という含みを作る演出があった。しかし、オデールを追う火器局やマックスの部下というカードが残っている状況では「きっと解決できるんだろう」と予測できてしまう。
どの場面もジャッキーにとって打つ手なしの状況が存在しないから、本来感じるはずの緊張感がぼやけてしまって「ここぞ」の場面のパンチが効いていない。間違いなくジャッキーは危険なルートを歩いているのだけれど、それぞれの思惑や行動がキッチリ描かれてしまっていて少し刺激が足りなかった。
タランティーノ作品といえば他の作品とは一線を画す「刺激」なのだけれど…本作は少し不発気味だった。
〇カメラワークとか
・ファーストカットは動く歩道と奥の壁を使ったタイトル出し。特に目新しいものではないけど、余白の使い方と1カットでCAという職業を見せてるのが巧い。後半で同じ演出をもう一度使ってた。今度は青色の壁面。
〇その他
・『パルプ・フィクション』、『レザボアドッグス』と続いておきながら、演出も脚本も随分トーンダウンしちゃってるなあ。画面から若々しさと楽しさが溢れてた二作品とは打って変わって、薄味な気がする。この後にまた『キルビル』でエッジが効いた作品作ってるし、ちょっと放牧が必要だった時期なのかも。
・映画見てると「弾丸の出ない銃と出る銃」がなんとなくわかってきたりする。物語の展開、人物の映し方、話し方、画面の色味、BGM…総合的に自分が感じ取ってどっちの銃か自然に判断してるんだけど、大体の作品は予想通りの展開になってしまう。
それって最高につまんないんだけど、タランティーノ映画はそういう予想を裏切って、弾丸の出ない銃から弾丸が出てくるのがすごいところだと思う。でもこの作品は弾丸が出ないところは出ないし、出るところは出てしまっているのが、なによりも不満だ。
タランティーノにしては平凡
見た。
知ってる俳優が多く出てたが、それ以外にも見たことある俳優が多かった。
さらに笑い飯の西田みたいなのと、カッパみたいなのが出てた。
話はおもしろかったけど、多少うまく行き過ぎ。
見終わって意外性が全くない映画だった。
ロバート・デ・ニーロ以外俳優の名前は知らない。
ロバート・デ・ニーロがどの程度の俳優かは色々な映画で知っている。
さて、キャストを考えた時、馬鹿な男役として、ロバート・デ・ニーロが適役だったのだろうか?
両腕にキツめのタトゥーを入れて無教養なバカ男は名演技なのだろうが、コストパフォーマンスは大変に低いと感じた。同時に主演女優も決してイケイケの美女とは言い難い。勿論、美女だろうが、外見から挙動が分かる人物として描いている。つまり、意外性が全くない。
タランティーノ監督は黄色い服が好きなのだろうが、人殺しが日常化している人物が、気を許したとは言え、黄色い服で生活しない。
結局、約6000万円の為に3人が死んだのだが、老後には約2000万円が必要と聞く。運び屋をやっていて、バレて退職金も出ずにファイヤーされたわけだが、合計で4人がこの映画の上映時間内に殺されている。そんな世界の見返りがたったの43万ドル、つまり6000万円。バルセロナでヨットに乗って悠々自適にはなるまい。
タランティーノ監督の音楽的センスはあまりないと感じた。ソウル・ミュージックと黒人に意外性は感じない
パムグリア超いい女!
公開当時はそれまでの作品と比べて間延びした印象で、退屈に感じられましたが、数十年ぶりに見返したら全く違った感想になりました。
タランティーノが恋した女性をキャスティングし「じっくり魅せる」作品で、ただ横に移動するパムグリアを写し続ける冒頭が象徴的ですが、この「じっくり」が当時は退屈に感じた原因だったのかなと今では思います。彼女の表情をじっくりと長く見せるシーンが結構あって、彼女に魅了されればこそそういったところがこの映画の魅力になりますが、そうでなければ冗長に感じられるのも当然かと思います。印象的なのは受け渡し後の取り調べシーンとラストカットです。本当に微妙な表情を捉えていて、何を思っているのかを想像することに引き込まれます。
当時はパムグリアに恋しませんでしたが、数十年ぶりに見たら「そりゃみんな振り回されるよなあ」とすっかり魅了され、物語の説得力も増して大変面白かった。添乗員姿も黒のスーツも白いジャケットもいいですが、ちょっとだけ出てくる赤いワンピースのパムグリア!最高!
本心がなかなか見えないジャッキーブラウンに観る側が翻弄されながら展開する物語は、サスペンスとして面白いですが、一方でロバートフォスター演じる保釈人の物語が非常に切なく心に沁みます。ジャッキーブラウンという存在が彼に見せたドラマと、映画を観てそれが終わる自分自身とが、とてもよく似ているからです。
自分にとっては、年齢を重ねることの素晴らしさと切なさ両方を感じさせてくれる、いい映画でした。
タランティーノ監督の宝箱
劇場公開時鑑賞で確か初タラちゃん
どんどん面白くなる映画
ジャッキー、スマートで強くてしたたかでかっこいい。映画が進むごとにジャッキーがどんな人なのか分かってくる。人を見る目があり自分は何で何をしたいのかはっきりしている。試着室でかっこいいパンツスーツを着る。鏡に映る自分の顔にふと気がついてじっと見る彼女の表情。40代以上の人間でなくてはわからないだろう。演技が素晴らしい。
時間軸戻し、誰が見てるかの視点と空間ずらし、足フェチ、テレビに映ってる映画(ヘルムート・バーガー出演!)、選曲センス抜群の音楽、すぐ拳銃ぶっ放す、拳銃についてダラダラ続く話(サミュエル・L・ジャクソン、いい!)などタランティーノがいっぱい詰まった映画で大満足!
デニーロがぼんやりしていながら緊張しいですぐキレる方向音痴の中年男で凄く良かった。マックスは身の程わきまえつつジャッキーに惹かれる感じが大人の恋愛で素敵だった。映画館で見ることができて幸せです。
凡作、冗長
薄味なタランティーノ作品
ブラックスプロイテーション映画
ジャッキー・ブラウンを演じるパム・グリアは大胆で暴力的な女囚や殺し屋役で名を馳せた女優さん、似たもの同志的なところでタランティーノ監督に気に入られたのだろう、「パルプ・フィクション(1994)」の情婦役にしたかったが実現せず、監督が脚本を当て書きしてオファーしたそうだ。彼女のそんな過激な作品は観ていないので私には普通のおばさんにしか見えませんでした。
映画は70年代に流行った黒人が主役のブラックスプロイテーション映画へのオマージュなのだろう、当時の作風をまんま踏襲している。
したがって登場する白人は間抜けかチンケな役どころが殆ど、まさかあのデニーロ様を風采の上がらないただのチンピラの端役に使うとは勿体ないにも程がある。サミュエル・L・ジャクソンにしても小物のやくざで銃の密売人、絡む金も大した額ではない、マイケル・キートン扮する地元の刑事もジャッキーにまんまと担がれる間抜けぶり。
主人公も中年のCAで度胸はあるが所詮素人だからアクション映画にはならないし、男どもを手玉にとる様を延々見せられるだけ。
思い入れたっぷりの役者の表情のアップ、余韻をやたら引っ張る演出に相変わらずの長い無駄セリフで2時間半を超える長丁場、これがクエンティン・タランティーノ作品かと目を疑った、まるで別人のような内省的なタランティーノ映画など誰が望んでいるのだろう・・。
タランティーノ監督作の中では物足りなかった
俳優達の名演技は流石です。
銃密売人の資金密輸を任されたスチュワートが、その資金を横取りしようとする物語。
クエンティン・タランティーノ監督作品。パルプ・フィクションから引き続き、サミュエル・L・ジャクソンが出演。そしてロバート・デ・ニーロも脇を固めるサスペンスです。
流石に出演者の演技には目を見張ります。この映画では、特にロバート・デ・ニーロの演技が秀逸でした。惚けていて、弱気で、それでも・・・・と言う人物を好演しています。
ただ、ストーリーを含めた映画としては、正直それ程の面白みを感じることが出来ませんでした。
狂気と狡猾さを併せ持つ銃密売人。彼の存在感は素晴らしいのですが、要所で主人公にあしらわれる様子は中途半端を感じてしまいます。そして、彼を出す抜くジャッキー達のアイデアにも、もう一つ工夫があっても良かったように思えます。
私的には、標準点以上は難しいと感じられた作品でした。
44歳の三流CAが56歳の保釈代行の男と組んで、拳銃の密売人から5...
【”人生の先が見えて来てしまった中年男女”が”ソウルミュージックを介しての”見事な”人生一発逆転劇”。痛快作。】
■今作品の面白き所
1.ジャッキー・ブラウン(パム・グリア)は飛行機の客室乗務員。40代だが、年収は1万数千ドル。”副業”で武器商人オデール(サミュエル・L・ジャクソン)の運び屋をしている。35歳の時にも一度逮捕されていて、”後がない”。
2.マックス・チェリー(ロバート・フォスター:渋い・・)は56歳の”保釈保険業者:そんな稼業があるの・・・”。コレマタ、閉塞感を抱えつつ、業務をこなす日々。
という、少し人生、お疲れ気味の中年男女が、ふとしたことで知り合い、お間抜けなギャング、オデールがメキシコに隠していた”50万ドル”を頂くまでの物語を”デルフォニックス”の曲を象徴的に使いながら、描いた痛快作。
◆お間抜けなギャング、オデールを取り巻く人々
・ルイス(ロバート・デ・ニーロ):銀行強盗で刑務所に入っていたが、出所し、オデールの愛人の部屋でゴロゴロしている・・。ここまで、お間抜けな役をこなす、デニーロも珍しい・・。
・メラニー(ブリジッド・フォンダ):可愛い白人女性だが、矢張りお間抜け。
・ATF捜査官、レイ(マイケル・キートン):オデール逮捕にやっきになるが、結果的には、ジャッキー&マックスにしてやられる‥。(やられた事にも気づかない・・。)
■白眉シーン
・現金受け渡しシーン
①予行演習
②本番
の様々な角度から撮ったシーン。何度も繰り返されて映し出す手法。見事です。タラちゃん・・・。
<ジャッキー&マックスが”デルフォニックス”の曲を絡めながら、徐々に間を深め、(特に、ジャッキーがどんどん美しくなっていく・・)最後、交わす口づけのシーンも素敵。マックスを演じたロバート・フォスターの渋さも良い。>
面白かった
・保釈金融業者が保釈したジャッキーにいきなり惚れるっていうのが何か面白かった。
・若干、何がどうなっていっているのかが分からなくなった。
・ジャッキーが保釈金融業者にこれといった事もなく、優しく接するのがまた妙に面白かった。
・サミュエルLLジャクソンがすぐに人を殺すっていうシーンが最初に入ったので、苛立たせたりした瞬間、やべーこいつ殺されるぞ!って緊張感があった良かった。
・ロバート・デニーロが抜けすぎてて良かった。映画に出てくるようなキャラじゃない感じが。
・サミュエルLLジャクソンが白人のメラニーを馬鹿だとか見下しておいて、ロバートデニーロに殺されたら物凄く惜しい事を!と憤慨していて、アメリカ社会ってそういう事なのかぁと思った。
・挿入歌がとても良かった。エンディングの100番街の歌詞(翻訳)が良かった。
ジャッキー・ブラウン
全36件中、1~20件目を表示