「人は変わるもの」龍拳 うにたん♪(DCPにも抜け穴あるんだ)さんの映画レビュー(感想・評価)
人は変わるもの
悪人善人の判定など曖昧なもの。
誰しも間違いは犯す…しかし反省し改め善を施す
そうやって必要以上の争いを回避して社会を為していく。
間違いを質せぬものは、秩序を壊す為に排除されていく。
一面一面で切り抜いて見ると、善悪は前後しているようなものに見える。
簡単に書いたが、龍拳は亡き妻の元恋人だったジャッキーの師匠が武術大会優勝後に対決し殺してしまった男とその遺恨絡みで師匠の仇を討とうとするジャッキーと師匠の妻子の話なのだが、数年後に状況は一変。
荒々しかった男は、自殺した妻の諌めに従って道場名前も百忍道場、その方針も大きく変えて、地域でも人望ある人物になっていた。
短気な弟子がジャッキーに挑んで負けるも、ジャッキーたちとの問題は自分の問題とし、私怨をもって闘うのは良くないと諭し、地域で起きた殺人事件を調べよと命を下す等、かなりの人物に。
果てはまっさらな看板をつくり直し、自らの片足を切り落とし謝罪としたいと。
三年修行して仇を打ちのめす覚悟だったジャッキーは悩む。
百忍道場を邪魔と考える悪役たちに師匠の妻の病気を治す薬と引き換えに不承不承ながら和解したはずの百忍道場の関係者を叩きのめすジャッキー。
お互いの道場に死者が出て、双方の対決は避けられず、悪役に手を貸してしまうジャッキー。
何せ世間知らずなジャッキー…悪知恵者にあっさり引っ掛けられる。
百忍道場も内部分裂、門弟が悪役に寝反ってしまうなど、妙な二転三転が出てくる。
それにしても武門の弟子が社会性を身に付けるのは難しいのだろうか?
揃って単純な弟子達ばかり。
悪役道場も腕達者は少なく、ラストにジャッキーと死闘を繰り広げる白ハチマキトンファー男が出てくるまでジャッキー無双、悪役師匠は傷ついたジャッキーと良い勝負だが金的連打を喰らって止めをさされる。
そこでいきなり終劇となる
うーん。その後どーなったとかないんかい?
武術の世界は恩恩怨怨…と30年ほど前に少年サンデーに掲載された「拳児」と言う漫画を読んでずっと心に残っている。
殴れば殴り返される。
何円の損害だから何円賠償なんて訳にはいかない。
この武林に生きる人々は己のが力と武技を頼みに生きているが他者を打てば暴力となってしまう。果たし合いのようにお互いがどうなっても不問に…なんて夢物語。
一度やりあえば、関係のある知り合いまで怨みの輪に入ってしまう。
単純に腕力や武術だけで強い方が勝てば終わりではない。
やられた後やり返されない保証はないのだから。
出来ればこの「龍拳」にもそんな部分を描いてほしかった。