「忍者が出てきた」拳精 詠み人知らずさんの映画レビュー(感想・評価)
忍者が出てきた
BS260で視聴
ジャッキーを他社にレンタルして、彼のコミカルな味を活かして製作された「蛇挙」が大ヒットしたため、彼と契約していたロー・ウェイが、自分ならばこうやるとばかりに製作した作品。なかなかどうして、楽しめた。
ジャッキーが作男を務めていた少林寺の総本山に、黒装束の曲者が忍び寄り、極意書「七殺挙」を盗み出す。これに対抗できるのは、「五獣挙」しかない。おりしも、少林寺に隕石が落下し、見えなくなっていた「五獣挙」が出てくる。しかも、同書に潜んでいた五人の妖精=挙精を伴って。
しかし、この妖精たるや、目も当てられない。ドリフターズ(古い)のバレリーナのレベル。しかし、我慢して見ていると、
ジャッキーがこの五人から「五獣挙」の秘伝を学ぶことになる。思わぬ上達を示したジャッキーは、「七殺挙」をマスターした敵と戦おうとするが、それには、少林寺からの下山を許される必要がある。そのために彼に課されたのが、棒術を使いこなす十八羅漢との戦い。トンファーを手に取ったジャッキーが一人一人、倒してゆく。ここが最大の見どころ。さぞかし、その頃の子供たちが熱狂して真似(しようとし)たことだろう。
結局、ジャッキーは妖精の力も借りて、宿敵を倒すに至る。しかし、その間、とても無理な設定がちらほら。
製作者・監督のロー・ウェイが、ブルース・リーの再現をジャッキーに求めた気持ちもわかるが、ジャッキーは、その顔つき、体型、性格もブルース・リーとは異なる。ジャッキーが自分の持ち味に気づいたことが、その後の彼の大成を招いたのだろう。
では、ロー・ウェイはどうすればよかったのだろうか。ジャッキーを徹底的に立てるか、新しい主演者を探すか、しかなかったのでは。ジャッキーの行く末を邪魔するだけでは、彼とは難しかったろう。ストーリー・テーラーとしてより優れた才能があれば、新しい人とやれたとは思う。