「アレックス・シアラーのスノードームはこの映画をリスペクトしている?」市民ケーン マサシさんの映画レビュー(感想・評価)
アレックス・シアラーのスノードームはこの映画をリスペクトしている?
ネタバレあります。
マスコミが市場経済に毒される姿を、赤裸々に描いたドラマだと思う。
現在のアメリカ大統領選挙戦とかと酷似している。つまり、第二次世界大戦中に制作された話としては、実によくできた話だと思う。
『薔薇の蕾』とは『スノードーム』で、『スノードーム』の内側の世界は、市場経済と言う一見華やかだが、閉塞したアメリカ社会を意味している様に感じた。
『薔薇の蕾』を含めたガラクタを燃やす煙が、アメリカ大陸の様に立ち上っている。アメリカ資本主義の生み出す余剰なガラクタが、人民の幸せとあいまって灰と化している。
まぁ、そんな事言っているのかなぁ?
スーザンのアリアを決して良いものだとは思っていなかった。しかし、新聞では褒めなければならない。その矛盾に身を滅ぼす、と言った単純なストーリーなのだが、オーソン・ウェルズの凄い所は、この映画の演出にある。つまり、
この映画の存在は時代は超越しているが、演技もオーバー出し、ストーリー展開もチープだし、笑いもなければ、サスペンス性も無い。カットごとのショートコントの寄せ集めの様だ。ハッキリ言うと僕は駄作だと感じた。がしかし、オーソン・ウェルズの凄い所は、それを知っていて、演出を続けたのではないか。と言う事だ。
僕の鑑賞は二回目たが、途中眠くなって、3時間かけて、やっと見た。
オーソン・ウェルズの心の中は、この映画と宇宙戦争は、同じだったのではないかと感じる。つまり、見る者、聞く者をいかにコントロール出来るかを楽しでいたように思える。その観点で見れば、この映画が名作である必要は無い。寧ろ、名作ぽい駄作である必要がある。つまり、鑑賞者を『宇宙戦争』の様に騙しているのである。
『マンク』とか言う映画を一年くらい前に見て、半分以上寝ていたが、オーソン・ウェルズの脚本ではないと知り、チープなストーリーを名作っぽく作った努力は認めたい。
アカデミー脚本賞との事だが、まゆつば。寧ろ、監督賞だろうと思った。