「非常にクオリティの高い苦味のあるヒューマンドラマ」シビル・アクション 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
非常にクオリティの高い苦味のあるヒューマンドラマ
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これは隠れた名作だと思うが、隠れたままなのもわからなくはない。実話ベースの感動話なのだが、ビジネス最優先だった野心家の弁護士が、大企業相手の環境汚染訴訟そ引き受けたことでひたすらどツボにハマっていくという暗澹たるドラマであり、善意が芽生えても栄光は得られない苦悩を追体験するのは観客としてもしんどいのだ。
しかしもともとは脚本家であるザイリアン監督の抑制の効いた演出に、伝説の撮影監督コンラッド・ホールの映像が深みを与えていて、どうしても地味にならざるを得ない話をしっかりとしたクオリティで下支えしている。主演のトラボルタを筆頭に、山あり谷あり人に事情ありのせちがらい人生模様が詰まった名演のオンパレードでもあり、甘さより苦みが勝ったヒューマンドラマの傑作として再評価されてほしい一本。
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