「"恐怖"と"狂気"から見えてくる人間の本能」地獄の黙示録 keitaさんの映画レビュー(感想・評価)
"恐怖"と"狂気"から見えてくる人間の本能
無秩序を生み出す人間の本能的衝動と理性の崩壊を追体験する恐怖と狂気の旅である。
狂気となったカーツ大佐を抹殺する命を受け、ウィラード大尉は、狂気を生み出す根源を辿るように河を遡って行く。
戦争が作り出す無秩序な世界が日常のように繰り返され、狂ったように人を殺す。
其処で出会う場面場面全てに正気な人間など存在しない。
二時間余りの狂気の追体験を終えた私達は、カーツ大佐の元へ辿り着き、彼の口から殺戮は人間の本能的衝動なのだと聞かされる。 妙に納得してしまう。
戦争が"狂気"を生み出すのでは無く、人間の持つ"恐怖心"こそが狂気のまかり通る無秩序な世界を作り上げるのだと映画は語る。 しかし、一方で"恐怖心"は秩序と道徳のある世界を創造するにも必要不可欠であることさえも見えてくる。
道徳や秩序を超越して人間的本能の根源に迫る映画にしか出来ない表現力を持った傑作だ。
コメントする