死刑台のメロディのレビュー・感想・評価
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1920年にアメリカで実際に起った、サッコとバンゼッティ事件の裁判...
1920年にアメリカで実際に起った、サッコとバンゼッティ事件の裁判を映画化した作品。この裁判はアメリカの裁判史上の汚点と言われ、当時のアメリカの人種偏見と思想弾圧がドラマチックに描かれている。
私にとっては、初めて自分でチケットを買った映画である。15才の私が何を思ってこんな暗くて政治的な映画を観ようと思ったのか解らないが、結果的にこの映画からは国家というものの恐ろしさを学ぶことができた。
検事が裁判の中で「移民であること、反国家的な思想を持っていることこそが罪であり、この裁判はそのことを裁く」と述べる場面。
いま私は、その発言の背景にある異常な社会状況を「昔のこと」と片付けられないような気がしている。
ちなみに、サッコとバンゼッティの名誉が回復したのは1977年、彼らが処刑されてから50年後のことである。
映画としての質も非常に高い。
無実の罪で最愛の家族と引き裂かれるサッコの悲しみを胸に迫る演技で表現したリカルド・クッチョーラは、1971年度カンヌ国際映画祭主演男優賞を受賞した。
さらに、ジョーン・バエズの歌う「勝利への賛歌」も、力強く美しい。当時所属していたブラスバンドで演奏した記憶がある。
バンゼッティの最後の言葉。
「自分は正義とは何かを証明するために生まれてきた。私の名前は、体制という名前の暴力に屈しなかったものとして永遠に残る」
同様に、この映画も永遠に残る名画である。
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