死刑台のエレベーター(1958)のレビュー・感想・評価
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マイルス・デイビスの曲
そっちへいっちゃうの?
おいおいそんな転がり方をしてしまうの?
って感じで展開も面白い。
そして作中に流れる
マイルスデイビスのトランペット!
しびれます。
トランペットの音色がこんなにもクールで心象を表すなんて。
ラストのジャンヌ・モローの独り言にもぐぐっときます。彼女は若く美しく、お金もある。そしてそのことを自分でもよくわかっている。
最後にはたった一つの恋のためにそのすべてを失うことになるのですが後悔はしてないのでしょう。愚かしいまでに一晩中彼を探した女。
平素の時なら彼女自身そんな女性を笑ったのでしょうが。
恋は女を狂わせる…。
小粒だが完成度は低くないミステリー
何とか降りられたことで免れたのですから、ジュリアンがのっていたのは、やはり死刑台へと繋がっていたエレベーターだったようです。
ストーリーとしては、そう複雑な一本ではないのですが、そのジュリアンが軍隊時代に使っていた(?)超小型カメラの伏線も、最後にはちゃんと回収されるなど、今となっては小粒であることは否めないものの、ミステリーとしての完成度も決して低くはないと思います。
楽しめる一本だったと思います。評論子は。
一歩間違えば、完全犯罪!
間抜けな男が招いたおかしな犯罪。
所謂、こんな目に合わなくて良かった。私は幸せ。で良いと思う。一歩間違えば、完全犯罪!
一番悪い奴が死んだのに、間抜けな犯罪者のちょっとしたミスで、フランスの虐げられた青年が殺人まで犯してしまったって言う構図。
マイルスデービスのトランペットもミュートを付けて軽く鳴らすので、火の吹く様な演奏ではなく、なんとなく怠惰的。まぁ、一つの味だとは思うが。
しかし、モーリス・ロネってリノ・バンチュラにとっ捕まり、アラン・ドロンに殺される。良い男なのに可哀想。そうだ、次は 冒険者たち でも見よう。
【”勘違いと、見込み違いと、人違い・・。”ストーリー展開の見事さと、過酷だが見事なラストにも唸らされる。マイルス・デイヴィスの乾いたトランペットの音色も印象的な作品。】
ー 今作のラストシーンは、忘れ難い。ー
<Caution ! 以下、内容に触れています。>
・全編に流れる、マイルス・デイヴィスのトランペットの音色が、作品の趣を高めている。
・フロランス・カララ夫人(ジャンヌ・モロー)の愛人ジュリアン(モーリス・ロネ)に憧れる花屋の娘ヴェロニクの恋人のルイが、ジュリアンのコンバーチブルカーを盗み、幌を下ろして走る車の中のルイの姿を見る、フロランス。
・彼女の心の葛藤の描き方も、絶妙である。
”おかしい・・。彼は私の夫を殺している筈なのに・・、何故若い娘と・・。”
それでも、フロランスは自らの夫を殺めたジュリアンがエレベーターに閉じこめられていた間、必死に彼を探し続ける・・。
<ラスト、見事に恋人を罪から救ったと思った女フロランスの目の前で、現像液の中で浮かび上がった、”二人の姿”
シェリエ刑事が彼女に告げる、冷たき言葉。
そして、フロランスのモノローグ
”彼が、10年刑務所に入っている間に、私は老いる・・。”
破綻なき、ストーリー展開にも痺れる作品である。
人間らしい失敗
大人の愛を貫くがための殺人計画…。
冷徹かつロマンチックなムードで話はスタートするものの、実行してみると「え〜運悪すぎでしょ。何でこうなっちゃうの?」という予想外の展開に。現実にあり得なくはないだけに、なかなか楽しめた。
予想外といっても、そもそも原因はジュリアンが縄を片付け忘れたことだから、救いようがない。縄のお片付けは、この計画においては何があっても絶対しぐじってはいけない最大のポイントだったのに!
これをしくじるようでは、彼には、もともとこの犯罪はムリだったヾノ・∀・`)
一見シリアスなムードながら、不完全な人間たち(=人間らしい人たち)がしでかす失敗を、皮肉って、と同時に可愛く、愛情をもって描いているような、そんな印象の小洒落た映画だった。
「もう、観なくていい」。 今じゃ、考えられん日常。今でもありうる間抜けさ。
ポスターだかで有名な、エレベーターから手を出しているシーンだけを見て、「あぁ、エレベーターん中で死んでいく映画なんかなぁ」と思っていたが、全く違う。
なんか、携帯電話が普通の今の時代では考えられない。すれ違いのすれ違いの連続。
この映画、有名なのかもしれないが、一番台無しにしてるのが、ひっかけたロープを放置したままにしたこと。
どんな殺人計画であれ、そんなん、忘れるなんてありえへんやん。それに登ってたら、周りから丸見えやろうし。なんて間抜けな計画。
挙句には、エレベーターに閉じ込められて四苦八苦。あほらし。
一方は、間抜けな若いカップル。車盗むわ、当てるわ、行き当たりばったりで人殺すわ。
自殺には失敗するわ。
これ、「死刑台のエレベーター」ってより、「オーディナリーピープル」にちなんで、「間抜けな人々」ってタイトルの方が、ホンマ、ぴったりやと思うわ。
当時、この映画ヒットしたのかなぁ? こんな内容で観客は満足してたのかなぁ~。
少なくとも俺は、もう観なくていいや。
黒猫は見た
愛人の夫の殺害計画が、犯人がエレベーターに閉じ込められた為に、全く違う方向に転がるという話。
元軍人の手馴れた犯罪計画の執行と、泥棒少年の愚かで衝動的な犯罪が対照的でした。
ひとつの犯罪のアリバイを主張すれば、もうひとつの犯罪の容疑がかかるという窮地を描きたかったのでしょうか。
捜査をしても宿泊者の偽名すら見抜けないのに、社長の密室殺人は写真だけで暴けてしまうというのが、腑に落ちません。
犯罪計画としては穴だらけ。そもそもロープを登る時点で目撃されても仕方がない。当時のパリっ子は盗み見なんて野暮なことはしないとでも言うのでしょうか…。
カルチャーショック的な発見:
☆上に行くはずだったエレベーターは、電源が落ちてリセットされると下に行くらしい。
☆パリで明け方に外出していると成人でも補導されるらしい。
☆高速道路は何往復でも出来るらしい。
☆煽られてもベンツをぶつけられても、ドイツ人は怒らないらしい。
☆殺人の実行より教唆の方が罪が重いらしい。
☆フランス人は、犯罪者の烙印を押され投獄されることより、愛する人のいない冷たいベッドで朝を迎えることと老けることを心配するらしい。
加えて反戦メッセージが含まれていますが…
拳銃があったからいけないんだ…って…
いや…引き金を引いたキミが悪いんだよ、
そもそも、車を盗んだキミが悪いんだよ…。
他人のフリしているんだから、尚更タチが悪いよ…。
こんなに絶望感の欠片もない心中があるとは。
呆れ過ぎて何とも思えず(-_-;)。
ベンツに乗っていたがために、巻き添えを食らったドイツ人夫婦が一番災難だったという結果に。
途中までは意表を突いたプロットで面白いのですが、犯罪サスペンスとして観ていると、そんな馬鹿なという流れです。エレベーターでの危ういシーン、殺人のシーンなども、現在からすると大変幼稚に見えます。音楽もMiles Davisと言われてみればカッコいいのかも知れませんが、よく分かりません。
一晩中求めた愛は写真の中に。
約束の時間になっても姿を現さない愛人を探しながら深夜をさまようJeanne Moreauの、哀愁漂う横顔を堪能する作品でした。
実はバカ映画
サスペンスはあまり得意ではないのですが、本作はそんな自分にとってもなかなか楽しめる作品でした。
社長夫人と部下のやり手が、ジャマになった社長を殺すという導入ですが、実行犯のやり手がエレベーターに閉じ込められるというプロットは、意表を突かれて面白かったです。
さらに、やり手の車をパクったバカなカップルが行く先で事件を起こすというドタバタ展開は、シリアスな魅力は感じませんが、ブラックジョーク的な可笑しさは感じました。バカっぽいというか。
そして本作、登場人物もほとんどバカばっかりなんですよね!それ自体に笑ってしまいます。やり手も、やり手とは思えない雑な犯行+イージーミスで、おまけにエレベーターに軟禁されるという間抜け振りです。社長夫人もマズい表情で夜の街をウロウロするだけですし。
車を盗んだバカップルは絶望的なまでに知能が低いです。特に男は救いようのない激バカ。女の方は剛力彩芽っぽい無邪気さがバカさ加減を増強させてます。そして彼らとモメるドイツ人旅行者カップルも、常に鷹揚に笑っているという、なんでわざわざそんな造形にしたのか意味不明です。どこを切ってもヘンテコなんですよね。
なので、ルイ・マル自身が悪ノリしてキャラ造形したのかな、なんて想像してしまいました。一見、古典的な名作みたいな面構えですが、バカなコメディ映画としての側面もあるのでは、と感じています。
本作が語り継がれる作品になったのは、ずばりマイルス・デイヴィスのサウンドによるものだと思います。この変わった作品に格調を与え、品位を作り上げているように感じます。あの『プァ〜』というトランペットが入ると、グッと締まるんですよ。実に偉大です。
ジャンヌ・モローのクセのある美貌はなかなかグッと来ます。『突然炎のごとく』よりも若いはずですが、本作の方が成熟した色気を感じました。役柄はどっちもトンチキですけどね〜。
よかった
歴史的な名作映画だと思っていたら、エレベーターに閉じ込められるおっちょこちょいな話で面白かった。睡眠薬で自殺を測ったらぐっすり眠っただけだったり、トーンはシリアスな割に間抜けでふざけていて、好感が持てた。
車がすごくかっこよかった。
マイルス・デイビスの音楽よかったのだが、運転シーンなど音楽あればいいのにと思うところで掛からないところがあった。
雰囲気は楽しめるおおらかな時代の犯罪映画
総合:65点
ストーリー: 55
キャスト: 70
演出: 70
ビジュアル: 60
音楽: 75
頭の足りないチンピラと花屋の売子の衝動的な犯罪は別にしても、誰が見ているかわからない事務所の建物の外で、外壁をロープでよじ登って完全犯罪を目指そうというこの計画は本当に大丈夫なのか。この時点でもう完全とは程遠いようだ。だがそんなことは問題なく彼は計画を進め、そして映画の本筋の物語もまた彼の完全な計画を狂わせながら進んでいく。
警察は凶器の拳銃や宿泊先のモーテルの指紋すら調べない。犯罪捜査の技術もやり方もいいかげんなのだろう。そしてジュリアンとカララ夫人の仲睦まじそうな一緒の写真があっただけで、あっさりと諦めて刑務所暮らしを想像してしまう夫人。その写真があるからといって、不倫の証拠にはなっても夫の殺人の証拠などにはならないだろうに。犯罪物としては物語は全体として緩い。なんともおおらかな時代だ。現在の映画を見ていると、どうしても粗さが目立つ。それともエレベーターに閉じ込められたことを取り調べで白状したジュリアンが、実は社長殺しのこともついでに白状していたのだろうか。
犯罪物としてみればたいしたことはないけれど、作品の雰囲気はいい。ジュリアンが閉じ込められたことなど知らず、浮気や彼の気が変わったかもしれない疑惑に苛まれながらも彼を信じようとして一途に彼の痕跡を街に探し求める。そんな大人の女の寂しい不倫の話としてみれば悪くない。
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