劇場公開日 1992年3月21日

「長い!」JFK とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0長い!

2019年5月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

ケネディ大統領、死の真相に迫る映画。
不謹慎ながら、2時間サスペンスのように、”ある説”に導かれてカタルシスが得られるのかと思ったら…。

映画のラストは、法廷での事件真相(あくまで推論)の説明が大迫力なんだけれど…。

”裁判”は万能ではない。陪審員制度。論理的な説明が何よりも優先されるわけではない。陪審員の信条・心情に左右されてしまう。
そして、”真相”としては納得しても、それが被告がやったことがと言われると、映画の中で提示される事実だけでも、”推定”無罪・有罪?判断ができない。
自分が、この裁判の陪審員だったらと思ってみると、難しい。今の裁判のように、争点を整理して!って言いたくなる。

そんな論理の展開だけでなく、
日本とUSAの制度の違いも???
検事だけれど”選挙で選ばれた”?etc。
USAでは当たり前のことだから説明なく進むが、解説書を片手に鑑賞する必要があるところがある。

しかも長い!
というか、私が期待した謎解きの結論のようなものは、映画の中盤で明かされてしまう。
それから、映画はどう続くのか?
捜査への妨害。
関係者の死。
仲間割れ。
そして法廷場面。
映画としては見せ場なのだが、
各役者は良い演技を見せてくれるのだが、
近年の他の映画に比べると、もたつく。もったいない。

それでも、
『ダンスウィズウルブズ』以降、USAの良心と呼ばれたコスナー氏が、良心を体現する。スーツの着こなし・眼鏡が最高に格好良く、立ち歩く姿を見るだけでもうっとりする。
オールドマン氏は、繊細なキレている人物を静かに表現して、後の『レオン』を彷彿とさせる。
サザーランド氏、ベーコン氏も印象深い。
ジョーンズ氏は、演出があえてそうだったのか、悪人にも善人にも見えない微妙さが凄い。
他にも、ギャリンソン氏の配下の面々も、良い芝居をしてくれるし、仲間の女性が現れると、皆で立って迎えるとか、当時の知的階級の作法も見て取れて面白い。

そして、長さを感じさせる点では映画としてどうかとも思うが、
実際のフィルムを挿入して”真相”に迫っていく手法は見事。
監督賞(ゴールデングローブ)・編集賞と撮影賞(アカデミー)もかくや。

しかし、実話を基にした『バリーシール』という映画もあり、
この映画での”真相”もありえると思ってしまう。
となると、USAって単に軍事産業に群がる人々で動かされているし、
どこかに敵を作っていないと成り立たないのかなあなんて思ってしまう。

とみいじょん