幸福(しあわせ)のレビュー・感想・評価
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フランスのある夫婦、お子さん二人、平凡ながらも幸せな暮らし。 花畑...
フランスのある夫婦、お子さん二人、平凡ながらも幸せな暮らし。
花畑や草原など、彩りが美しく、理想のご家族のよう。
あるとき旦那さんが、他の女性にも一目ぼれし、そちらとも仲良くなり。
この旦那さん、正直にも程があるというか。
妻子がいることを告げて、受け入れられ、
奥様にも、浮気していることを正直に告げて、
どちらも "あなたが幸せなら" と。
奥様がピクニック中に溺死してしまい (事故か自らかは不明)
旦那さま、悲しみに沈んだかと思ったら、すぐにもう一方と一緒になり。
子どもらにも受け入れられ。
映像や音楽は、終始幸せそうなトーンで、彩り豊かでした。
まったくドロドロせず、修羅場にもならず、むしろ終始さわやかにすら感じ。
観た甲斐はありました。
物語の設定は、日本の価値観だと、嫌がる人も相当いそうに感じますが
ところ変われば…ですかねえ。
60年代のフィルムによる鮮やかな色彩、軽やかなモーツァルトは最高だが…
『5時から7時までのクレオ』を撮ったヴァルダが幸福をテーマに何を撮っていたのか?気になっていたのだが…
う〜ん… なんとも浮世離れな話…
これがフランスの恋愛至上主義の行く末?
愛に選択などは無く、どちらかを選んで決めることなどできない?
主人公のお相手の女優二人とも良かったけど、主人公の方がイマイチ。
ジャン・ルイ・トランティニャンあたりが演じていれば、もっと複雑で味わい深くなったか?
あるいは、そういった複雑な心理描写を敢えて潔く排除したかったのか…
印象派へのオマージュのような色彩映像は本当に素晴らしかったが、妻への罪悪感が全く表情に現れて来ない主人公の淡々とした佇まいが、あまりに浮世離れし過ぎていて…
なんともポカ〜ンとした味わいのまま終わってしまう映画だった。
尚、あの夫婦は実生活でも本当の夫婦らしく、あの可愛い子供達も実際に彼らの子供らしい。
ゆえに只々フィルムで撮るだけで、あの不思議なまでに自然な真実味が現出されていたようだ。
二兎を追う者は一兎をも得ず、かと思ったのだが…
意外だった!
この作品、「大地のうた」「市民ケーン」
「奇跡の丘」「男と女」などの
そうそうたる名作だらけの年に、
キネマ旬報でなんと第3位の評価だったとは。
伴侶を、そして家族を心より愛しているのに
他の異性に惹かれることは誰にでもある
経験だ。しかし、大体の人はその相手と
必要以上に親密になることを自制することが
ほとんどだし、ましてや伴侶と愛人を
何の悩みも無いかの如く双方を100%愛せる
人間は想像出来ない。
だから、この作品の高評価に違和感を
感じながら鑑賞していた。
身勝手な理屈の結果、妻を失い、
その業から愛人も失うストーリーかと
思ったら、チャッカリ愛人を後添えにして
同じ家族ピクニックを楽しんでいた。
これが長いスパンでの話なら
あり得ないこともないかなとは思うものの、
子供達を見るとそんなに時間が経っていない
と想像する中で、
よく妻が自死した同じ設定のレジャーを
行えるなと怒りさえ覚えたので、
どうしてもこの男には
“二兎を追う者は一兎をも得ず”の罰を
与えて欲しかったが、
そんなエンディングではなかった。
妻の自死に対し彼はどう己の責任を
総括出来ているのか、
私が理解出来る範囲ではあるが
描かれているようには思えなかった。
映像的にはファッショナブルで
特異な作品なのだろうが、
だからといって内容的には、専門家の方々の
高評価は全く理解出来ない。
監督が女性で、描きたかったのが
都合のいい男性意識への皮肉だとしても、
彼の心象風景へのアプローチが
感じられなくては、それも納得出来ない。
あるいは、冒頭のシーンに酷似している
ラストシーンの4人の後ろ姿は、
この後の更なる繰り返しを予感させる、
とどめの皮肉の意味合いだったのだろうか。
もっともこの主人公、
妻と離婚する切っ掛けになった浮気相手をも
切り捨てて更に新しい恋人に走った日本の
某男性俳優よりはまだ理解が出来たが。
幸福とはなにか?をえぐりまくる映画
儚い
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