「冒険家ジャッキー大負傷」サンダーアーム 龍兄虎弟 バラージさんの映画レビュー(感想・評価)
冒険家ジャッキー大負傷
映画そのものよりも、ユーゴスラビアで撮影中にジャッキーが頭部骨折の重傷を負ったニュースが世界を駆け巡ったことの記憶のほうが強い映画。確か新聞の夕刊で第一報を知った時には本当に驚いた。また当時は共産圏だった今は無きユーゴスラビアで撮影してたというのもちょっとびっくりした記憶がある。当時はユーゴの国際社会における独特な立ち位置も知らなかったし。
当初の監督はエリック・ツァンだったが、ジャッキーの大怪我でスケジュールがずれたため撮影再開後はジャッキー自身が監督を引き継いだとのこと。エリックが監督した部分はジャッキーが珍しくイメチェンのために短髪になったシーンのみでさほど多くはない。撮影再開後にジャッキーの髪形が元に戻ったのは頭部の傷を隠すためと、髪を切ったためパワーを失ったと考えた迷信深いレイモンド・チョウの指示だったらしい。また白人アクション女優シンシア・ラスロックも当初は出演予定だったが、やはりスケジュールがずれたためローラ・フォルネルに変わったそうだ。ロザムンド・クワンとヒロイン2人状態が余計だなと当時も思ったんですよね。当初は1人がアクション要員だったんだな。
ジャッキーも刑事役ばかりではワンパターンだと思ったか、明らかに『インディ・ジョーンズ』に影響を受けた冒険家(トレジャーハンター)という役柄になっている。しかし第二次世界大戦前という昔が舞台の『インディ・ジョーンズ』ならともかく、現代にそんな職業あるか? 聞いたことないぞ?と公開当時には高校生になっていた僕もさすがに疑問でした。また終盤のアクションバトルで敵となるのが邪教集団の用心棒である格闘家のレオタード黒人女性4人組なんだが、いくら悪人とはいえ、格闘家とはいえ、4対1とはいえ、正義の主人公が女性を殴るという行為もちょっと引っかかった。全体的にもいろいろとバランスが悪く、いまいちの出来だったように記憶しているが、まあそれでもエンドロールのNG集でジャッキー頭部負傷のシーンを観ていると、とりあえずジャッキーが生きていてくれただけで良かったと思ってしまうのも事実ではある。