「名匠フレッド・ジンネマン監督、後年の名作の域にはまだまだだったか…」山河遥かなり KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
名匠フレッド・ジンネマン監督、後年の名作の域にはまだまだだったか…
何故か急に
フレッド・ジンネマンが恋しくなり、
未見のものも含めて5作品をまとめて
レンタル等をして鑑賞することにした。
ネット情報では
この映画は監督の6作目のようだが、
評価の高い部類だったので
彼の初期の頃の監督作品として観てみた。
私が良く解らないのは、何故
米兵がこの子に強い想い入れを持つのか、
戦後に占領地の子供を養子にして
米国本国に連れ帰ったとの話を
聞かないこともないが、
私にはなかなか理解が及ばない。
ある意味、彼に、
米国が世界の警察国家たるはしりとしての
象徴的意味合いを持たせたのだろうか。
後々「地上より永遠に」「わが命つきるとも」
「ジャッカルの日」等の
名作を見せてくれたジンネマン監督、
ラストで母が列車に乗らない結果、
子に会える設定の再会シーンには
涙を誘われたものの、
子供の心の癒しと母親の子供探しの
それぞれのエピソードの
お互いの絡み構成にはたどたどしさも感じ、
まだまだ発展途上の演出との印象だった。
最近はこの手の映画を観ると
ウクライナのことが思い出されるが、
この作品冒頭の戦災孤児の移送シーンには、
ウクライナでも同じ状況が
生み出されているのではと想像してしまい、
プーチンの犯罪がいかに重いものかを
改めて感じさせられる。
尚、近年、
モンゴメリー・クリフト出演作品としては、
「赤い河」「陽のあたる場所」「私は告白する」
「終着駅」と観てきており、
彼は“悩める男”を演じることの
多いイメージなのだが、45歳で早世した。
高齢期の“悩める男”を、
どう演じてくれたかと想像すると
残念な想いだ。
この後、
クリフトが再度出演した「地上より永遠に」
も含め、製作年順に「ジュリア」までの
ジンネマン監督4作品を観る予定。
彼の演出力アップを認識出来るような
鑑賞になったら嬉しいのだが。