劇場公開日 1968年3月16日

「映画鑑賞の原点」サムライ(1967) Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映画鑑賞の原点

2024年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD、映画館

1968年7月14日、私は「サムライ」を観た。
近所の名画座で「サムライ」「続夕陽のガンマン」「007は二度死ぬ」の3本立てであった。他の2本も楽しめたが、何と言っても私の心を捉えたのは「サムライ」である。
淡いブルーの色調に抑えたアンリ・ドカエのカメラ。フランソワ・ド・ルーベの音楽。派手に流れないジャン・ピエール・メルビルの演出。アラン・ドロンの演じたストイックな一匹狼の殺し屋に魅せられてしまい、ラストシーンでは思わず涙が出てしまった。

映画とは素晴らしい物だと思い、少しでも多くの素晴らしい映画と出逢うために映画館通いが始まった。
最初は名画座ばかりだったが、そのうちロードショーへも行くようになり試写会へも応募するようになった。観た映画をノートに記し、映画雑誌を読み、スタッフやキャストも気にするようになった。初めのうちは洋画オンリーであったが、黒澤明の「七人の侍」を観てからは邦画へも目を向けるようになった。いつしか映画を観る事が生活の一部になった。
この映画は、私の映画鑑賞の原点である。

あの日流した涙は何だったのか。その答えとの出逢いを求めて、私は今日も映画館の暗闇の中へと出かけて行くのである。

1968. 7.14 東十条オデオン座(併映 続夕陽のガンマン、007は二度死ぬ)
1968. 7.16 赤羽オデオン座(併映 続夕陽のガンマン)
1970. 7.25 シネマ新宿
1970. 9. 6 テアトル新宿(併映 泥棒を消せ、華麗なる賭け)
1971. 2. 7 テアトル新宿(併映 さらば友よ)
1971. 6.27 テアトル新宿(併映 冒険者たち)
1971.10.22 テアトル新宿(併映 さすらいの狼)
1973. 4. 9 池袋文芸座
1973. 7. 7 テアトル新宿(併映 さらば友よ、リスボン特急)

追記:1990年代以前の鑑賞日の設定は出来ませんでした。
追記2:映画の冒頭「ジャングルの中の虎に似てサムライの孤独ほど深く、厳しいものはない−武士道-」という字幕が入ります。
これは武士道が出展ではなく、ジャン・ピエール・メルビルが考えたものだと、本人がインタビューで語っています。
孤独が深く、厳しいものとしてのサムライだと言う事でしょう。
追記3(2024.7.29NHK-BS 字幕・大城哲郎⇒追記2の翻訳のニュアンスが若干違う)
・当時アラン・ドロン夫人だったナタリー・ドロンは本作が映画デビュー。
・ナタリー・ドロンの部屋を訪ねて来る記憶力のいい男はミシェル・ボワロン監督。
・ナタリー・ドロンは、この後ミシェル・ボワロン監督の「個人教授」に出演して日本で人気が出る。

Mr.C.B.2
こころさんのコメント
2024年8月19日

Mr.C.B.2さん
コメントを頂き有難うございます。
中学三年生で、本作を観られ涙された。
若き日の忘れられない映画体験ですね。
映画のワンシーンのようで羨ましいです。

こころ
こころさんのコメント
2024年8月18日

Mr.C.B.2さん
このタイミングでのアラン・ドロン死去の報道に驚きました。
台詞が少ないながらも印象深い作品ですね。アラン・ドロンの美しい顔立ちに、影のある繊細な殺し屋役が合っていました。

こころ
こころさんのコメント
2024年7月30日

Mr.B.C.2さん
本作、未だ観ていません。
Mr.B.C.2さんの映画館通いのきっかけとなった作品なのですね 🎥
NHK-BS、録画したので、近いうちに観ますね。教えて頂き有難うございます。

こころ
アンディ・ロビンソンさんのコメント
2024年6月14日

私のドロン映画初体験は、同じメルビルでも「仁義」でした。
小学生だったか?
荏原中延オデオン座で「戦略大作戦」「狼の挽歌」と3本立てだったと。
事前情報ゼロ状態での鑑賞で、大人の世界に引き込まれ、その後の運命を変えられちゃった感。
ドルーべはその後リバイバルの「さらば友よ」渋谷パンテオンで、更にとどめの一撃となり、スグにサントラ・シングル買って聴きまくって…..
思えば幸せな、良い時代でした。

アンディ・ロビンソン
活動写真愛好家さんのコメント
2024年3月21日

こんにちは😃
「冒険者たち」への共感&コメントありがとうございます‼️私が所有するブルーレイ版も主題歌はインストルメンタルです‼️多分30年くらい前に観たVHSにアランドロンによる歌入りが収録されてたような❓もう一度観たいですね‼️そして「サムライ」も「冒険者たち」に負けず劣らず大好きです‼️

活動写真愛好家