サムバディ・トゥ・ラブ
劇場公開日:1996年11月16日
解説
ロサンゼルスの下町、イーストL.A.のクラブに集まる市井の人々の哀歓を、心暖まるタッチで綴った群像劇。監督は「イン・ザ・スープ」「フォー・ルームス」の米インディーズ映画の俊英アレクサンダー・ロックウェルで、敬愛するフェデリコ・フェリーニ監督の「カビリアの夜」にインスパイアされたという。脚本はロックウェルトとロシアから亡命したセルゲイ・ボドロフの共同。製作はリラ・カゼス、エグゼクティヴ・プロデューサーはジーン・カゼス。撮影は「ドラッグストア・カウボーイ」のロバート・イオマン、音楽は「イン・ザ・スープ」のメーダーがスコアを書き、主題歌はエンヤの『ダナドゥア』。また、「フロム・ダスク・ティル・ドーン」にもその曲が使用されたカチーノ・ミュージックの雄、ティト・ラリヴァが自らもバンド〈ティト&タランチュラ〉として出演し、演奏を聴かせる。ロックウェルの意向で、ジョン・カサヴェテス監督の「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」を意識したクラブのセットを手掛けた美術はJ・レイ・フォックス、編集はエレナ・マガニーニ、衣裳はアレクサンドラ・ウェルカーが担当。出演は「フィアレス」「あなたに降る夢」の個性派女優ロージー・ペレズで、これが初主演作。共演は「ユリシーズの瞳」のハーヴェイ・カイテル、「ジャッジメント・ナイト」のマイケル・デ・ロレンゾ、「イン・ザ・スープ」「ファーゴ」のスティーヴ・ブシェーミ、フェリーニの「道」や「雲の中で散歩」の名優アンソニー・クイン、そしてロックウェルの「父の恋人」などに出演している映画監督のサミュエル・フラー、「フォー・ルームス」の監督クエンティン・タランティーノほか。
1994年製作/アメリカ
原題または英題:Somebody to Love
配給:パイオニアLDC=メディアボックス=シネセゾン(パイオニアLDC提供)
劇場公開日:1996年11月16日
ストーリー
メルセデス(ロージー・ペレズ)は場末のクラブ「ガールズ」で1曲1ドルで誰とでも踊る、しがない“タクシー・ダンサー”として働いていた。いつかハリウッドで女優になる日を夢見ている。ボーイフレンドのハリー(ハーヴェイ・カイテル)は、かつTVのスターだったが今は売れない俳優。芸能界での成功の鍵を握るのはマネージャー次第で、メルセデスにもハリーのマネージャーのジョージ(スタンリー・トゥッチ)が付くが、これがいい加減を絵に描いたような男で、おまけにセクハラの被害にまで遇う。ある日、店にメキシコ系の若者アーネスト(マイケル・デ・ロレンゾ)がやって来て、コケティッシュな彼女の魅力にひと目惚れしてしまう。不法労働者のアーネストは、ラテン系の恰幅のいい老人エミリオ(アンソニー・クイン)と出会い、彼に気に入られて「仕事にありつきたかったらいつでも来い」と言われる。アーネストは店に通いつめるが、彼女の方は全く関心がない。彼の境遇に同情したメルセデスは一緒にモーテルに入るが、寝る時は別々だった。彼からのサングラスのプレゼントのお返しに、メルセデスは頬にキスする。彼女に夢中で物入りが増えたアーネストはエミリオの事務所を訪ね、”ブツ”の運び屋として雇われる。その仕事で得た報酬で、アーネストはメルセデスに高価なドレスをプレゼントし、ゲイの同僚ミッキー(スティーヴ・ブシェーミ)ら店の仲間たちは大騒ぎ。一方、N.Y.での再デビューを夢見るハリーは、そのために妻と離婚する費用が1万ドル要ると言う。そこへ彼の妻子が帰ってきて、メルセデスは素足で彼の家を追い出された。ハリウッド・ヒルズの帰り道、ロールス・ロイスを横転させて座り込んでいた老人(サミュエル・フラー)と遭遇。ハリウッドのプロデューサーだと言う老人は、彼女の夢をかなえてくれるかに見えたが、それも束の間、眠るようにポックリ逝ってしまう。翌日、ハリーはどうしても1万ドルが必要だと告げ、メルセデスは何気なくアーネストにそのことを話す。その夜、二人は初めて結ばれた。アーネストは手っとり早く1万ドルを稼ぐために殺しの仕事を引き受け、成功するが面が割れてしまう。アーネストはカフェでメルセデスに会い、1万ドルの入った紙袋を渡す。彼を逃がそうとするセルセデスの前で、アーネストは追手に撃たれて殺された。”メルセデス”と刺青が彫られた胸が、みるみる血に染まる。アーネストと二人で歩いた海岸通りをたった一人で歩くメルセデスは、いつしか子供たちが陽気に歌い踊る輪の中にいた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アレクサンダー・ロックウェル
- 脚本
- セルゲイ・ボドロフ
- アレクサンダー・ロックウェル
- 製作総指揮
- ジャン・カゼ
- 製作
- リラ・カゼス
- 撮影
- ロバート・イェーマン
- 美術
- J・レイ・フォックス
- 音楽
- メイダー
- 音楽監修
- Charlie Midnight
- 編集
- エレナ・マガニーニ
- 衣装デザイン
- アレクサンドラ・ウェルカー
- 作詞
- ティト・ラリバ
- 作曲
- ティト・ラリバ
- 字幕
- 菊地浩司