最後の戦闘機

解説

「今宵こそは」「女人禁制」のアナトール・リトヴァク監督作品でジョゼフ・ケッセルの名小説に基づいた映画。脚本はケッセルがリトヴァクと協力して書き卸したもので、台詞もケッセルの執筆、そしてコンティニュイティはJ・キューベが担任した。主役は、「戦いの前夜」「巴里祭」のアナベラ、「白き処女地」「乙女の湖」のジャン・ピエール・オーモン、「装へる夜」のジャン・ミュラー、「外人部隊(1933)」のシャルル・ヴァネル、の四人で、以上を助けて「白き処女地」のダニエル・マンダイユ、「外人部隊(1933)」のピエール・ラブリ、「白き処女地」のシュザンヌ・デュプレ、「リリオム」のローラン・トゥータン、ルネ・ベルジュロン、少年俳優セルジュ・グラーヴ、アレクサンダー・リニョオ、それから歌手のクレール・フランコネエ、等が出演している。撮影は「商船テナシチー」「戦いの前夜」のアルマン・ティラールで、ルイ・ネが補佐した。作曲はフランスの近代音楽の名匠アルテュール・オネガーで、モーリス・ジョーベールが指揮に当たった。

1935年製作/111分/フランス
原題または英題:Flight Into Darkness L'Equipage

ストーリー

欧州大戦の際である。若い中尉ジャン・エルビヨンはパリに老母と弟と、それから昨日知り合ったばかりの恋人ドニーズとを残して戦地に向かった。彼の入ったのは三十七飛行隊である。隊長はテリス大尉といって部下の敬愛の的であった。そして此の隊の人々は皆元気で、友を思い、一家族のように暮らしていた。ジャンの到着した日に、子供の生まれた電報を受け取った偵察士ベルチェが戦死した。この時の操縦士をモーリー中尉といった。モーリーは人々よりも年長で、それに髭を生やし内気で陰気なので人々から嫌われていた。それでモーリーと組んで彼の偵察士となろうとする者は隊に一人も居なかった。その時にジャンが進んで彼とエキパージュ--操縦士と偵察士の組--となってやった。それから二人の間に真のエキパージュの精神、友以上の友情が生まれた。ジャンが休暇でパリに帰る時にモーリーは彼の最愛の妻エレーヌへの手紙を彼に託した。だが、ジャンはエレーヌに会ったとき、彼女こそドニーズであるのを知った。それから彼の苦悩の日が来た。休暇が終わり飛行隊へ帰ってからも彼はモーリーに近づくのを力めて避けるようにした。そしてモーリーにも淋しさと不安の危惧との心が湧いてきた。長らくエキパージュになっていた彼等には互いの心が分かるのである。飛行隊がシャトーヌーフに休暇で行った時、ジャンからの手紙が来ないので耐まりかねたエレーヌは隊を訪ねて来た。二人はフロランスの酒場で会った、エレーヌの一切を投げ出した願いにより一時はジャンも隊を退こうとしたが、しかし彼は心を固くして隊に止まった。そしてエレーヌもテリスによって説服された。かくて最後のマルヌの大戦の日に、隊長テリスが先ず戦死し、ジャンとモーリーも悪戦苦闘の後、帰航中にジャンは死んだ。ドニーズの写真を胸に抱きながら。大戦が終わってからモーリーは病院でジャンの弟の訪問を受けた。彼の胸には今更にジャンの思い出が強く湧き上がった。そしてエレーヌを気の毒に持った。夫の心を察したエレーヌの目にも涙があった。空では飛行機が飛んでいた。

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