「異色な色彩ノワール」殺しの分け前 ポイント・ブランク naokiさんの映画レビュー(感想・評価)
異色な色彩ノワール
この映画はミニシアターで、たまに上映していたりします。リー・マービン主演だから刑事物と勘違いしておりました。ノワール(犯罪物)ですがサイケデリック・ノワールとも呼ばれてます。まぁミケランジェロ・アントニオーニ監督の「欲望(Blow Up)」に似ていなくもない。劇中に出てくるムービーパブでのレイパーカーJrもどきの音楽ライブがヤードバーズ(「欲望」に出演)のと重なるなぁ。この映画(ポイント)を意識したのは映画秘宝の雑誌連載に町山智浩さんが取り上げておりました。内容は忘れてしまいましたが、ウォーカー(リー)が幽霊説で裏切った妻リンを射殺したら猫に変身(?)と結構面白かったです。
この映画を観た感想はフラッシュバックを多用してる割には、あまり上手くいっていないような気がします。やっぱり脚本に問題があるのではないのでしょうか?
ラーメン屋さんで言えば麺が美味しいのにスープが追いついていない。
ただ「ダーティーハリー」で市長役をやっていたジョン・バーノンがウォーカーを裏切るリース役で出ていたのは良かったです。
オープニングの音楽も暗いですが、この映画の雰囲気に合ってますね。
映像はシャープで色彩が綺麗でした。ウォーカーが化粧品を溢した液体がドロドロとサイケデリックに輝くのは、この映画を象徴していますね。ウォーカーが海岸で覗く黄色い望遠鏡やクリス(リンの妹)のオレンジを基調とした部屋や組織の幹部カーターの緑色のオフィスなど、色彩心理を意識したのか意味が隠されていそうです。
色彩映画としてはゴダール「軽蔑」、ベルとルッチ「暗殺のオペラ」、小津安二郎「秋刀魚の味」に並びうるのではないでしょうか。
プアマン監督の「未来惑星ザルドス」と同じく傑作ではないけれど愛すべき作品ですね。