「【”あの人は生き返り、私は死んだ、と彼女は言った。”今作は、一人の女を愛する二人の男、一人の男を愛する一人の女の姿を信仰による二つの奇跡を絡めて描いた大人のラブストーリーである。】」ことの終わり NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”あの人は生き返り、私は死んだ、と彼女は言った。”今作は、一人の女を愛する二人の男、一人の男を愛する一人の女の姿を信仰による二つの奇跡を絡めて描いた大人のラブストーリーである。】
■第二次世界大戦末期のロンドン。
作家のモーリス(レイフ・ファインズ)は美しい人妻・サラ(ジュリアン・ムーア)と彼女の夫ヘンリー(スティーブン・レイ)に気付かれぬように、ひそかに身体を重ねる日々を送っていた。
だが突然の空襲に襲われたある日、彼女は謎の言葉を残して姿を消してしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・不倫の物語なのに、そしてモーリスとサラが愛し合うシーンが数回描かれるが、全く猥雑感がない。
それは、若きレイフ・ファインズとジュリアン・ムーアの美しさと、漂う気品だと思う。
・当時の衣装、意匠を再現した美術もそれに寄与していると思う。
・サラは、夫ヘンリーを愛さずにモーリスを愛する。だが、情事の最中に爆撃を受けに、モーリスが吹き飛び、彼の元に駆け寄った時には彼は、死んでいたのである。
だが、サラがベッドに戻り神に祈った時に、モーリスは生き返ったのである。
このシーンを、二人の視点で描いた二回の見せ方が、絶妙に上手いのである。
サラは、モーリスを愛しながら、神に祈った事で彼の前から姿を消し、モーリスはサラの不可解な行動に疑問を抱くのである。
・神父として登場するジェイソン・アイザックも、流石の存在感を残している。
■サラは、冒頭から気になる咳をしているが、矢張り病で亡くなってしまう。サラと共に過ごしていたモーリスとヘンリーは共に送るのである。
そして、モーリスが雇っていた探偵パーキス(イアン・ハート)が、モーリスに言った奇跡。それは、サラの動きを探っていたパーキスの息子ランスの痣の有る頬に、サラがキスをした後にランスの痣が消えたという事であった。
<今作は、三人の男女が夫々愛する人への想いと、神の在り方を絡めて描いた大人の恋愛映画の逸品なのである。>