「文句の付けようがない」ゴッドファーザー フレドさんの映画レビュー(感想・評価)
文句の付けようがない
失礼なことを言ってしまうが、人間は皆が少し歪んでいてひねくれている。
ここで言う人間というのは映画のキャラクターではなく、このレビューを書いている自分や映画を好きな人という意味で言わしてもらっている。
しかしこの映画を観て言えることは、極端な捉え方をしてもらっては困るが、やはり良い映画は誰が観ても良いということ。
自分も何十回と観てきたが、毎回新しい発見や素晴らしさを感じることが出来る。
前振りが長くなってしまったが簡潔にレビューをさしていただく。
まずはなんと言っても一人一人登場人物の人間性の表現力の上手さだと思う。
ビトーの人間力と恐ろしさや優しさや、慈愛に満ちた空気感。
マイケルのファミリーを守ると決めた決意を表す眼の輝き。
ソニーの激しくも不器用でファミリー思いの悲しいほどの愛情表現。
フレドの臆病で優しさが取り柄で稼業にむいていないが、コルレオーネファミリーに生まれたことをも憎むことのない優しい人間性。
トムの血の繋がりなんて関係のないということを解らせてくれる説得力のある言動。
このゴッドファーザーという映画をマフィア映画だと聞いて、勘違いをする人も多いが、そこらじゅうにある家族愛を描いている映画を10本観るなら、ゴッドファーザー1本で十分にお釣りがくるだろう。
男が観れば、こんな男に憧れるという登場人物が必ず見つかり、自分はどんな男なのかを登場人物と比べて考えることをするだろう。女性が観れば男がいかに野心があり、臆病で強い生き物であるがゆえに弱い部分があり、生きていくうえで女性が必要で家族が必要で愛が必要なのかを少しは理解してもらえると思う。
時代は違えど、裏切りや政権交代、犠牲になる敗北者たちがいる。
暗い話にも聞こえるがいつの時代も表裏一体。コインの裏と表。
新しい命や私利私欲に溺れない人間同士の慈愛や生きるということの価値や意味を深く深く考えさせてくれるゴッドファーザーという最高の映画を世に出してくれたフランシスフォードコッポラ監督に、自分は心から感謝し、これからも何度となくゴッドファーザーを見返しては考え共感し感銘を受け続けいくであろう作品に敬意を払いたい。
最後に一言だけ言わしてもらいますが、
アルパチーノの眼が明らかに途中で変わっていくのは鳥肌物です。