「演劇の趣向が勝る映画美術の圧倒的なグリーナウェイの唯我独尊の世界」コックと泥棒、その妻と愛人 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
演劇の趣向が勝る映画美術の圧倒的なグリーナウェイの唯我独尊の世界
イギリス映画の鬼才ピーター・グリーナウェイの代表作。欲望渦巻くストーリーをグロテスクで色彩鮮やかな映像美で綴る独特な映画文法が確立した異端の映画。性欲や食欲から逃れられない人間の赤裸々な姿が映し出されている。映画と云うより、演劇の趣向が勝る映像作品。イギリスには、ピーター・ブルックやトニー・リチャードソン、ケン・ラッセルなど、伝統に対して挑戦的な作家を認める芸術の奥深さがある。前衛演劇よりは理解しやすいのが救いで、映画で描ける限界の辛辣なシニカルさに圧倒される。ここまで作家独自の映像美術を創作すれば感服するしかない。
コメントする