極楽特急のレビュー・感想・評価
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上品なボニー&クライド
華麗な手捌きで上流階級から金品を盗み出す泥棒カップル。ボニー&クライドと形容するにはあまりにも瀟洒な2人が織り成すウイットに富んだ掛け合いが気持ち良い。お互いの私物を盗み合うシーンなどは、キートンの無声アクション映画を彷彿とさせるような外連味に満ちている。
彼らはあるとき巨大化粧品会社の遺産にエイムを合わせるのだが、そこを仕切っている未亡人のなんとも美しいこと。カップルの男ははじめこそ殊勝な振る舞いで会社の重役にまで上り詰めるが、次第に未亡人の美しさに魅惑されていく。未亡人もおいそれと男の手に堕ちるようなヘマはやらず、付かず離れずの距離感で男を焦らす。
しかし二人は泥棒と資本家、いわば現代のロミオとジュリエット。二人がめでたく結ばれるはずもなく、計画の露呈と愛しのハニーの乱入によって恋の情熱は泡沫と消える。男が去り際に未亡人の美しい真珠のネックレスを盗んでいくシーンがちょうどいい塩梅に感傷的で美しい。次のシークエンスでは男は泥棒女とヨリを戻しており、二人の仲睦まじい盗み合いが作品にハッピーエンドのピリオドを刻む。
こんな浮気者をよくもまああっさりと…という疑念が残らないでもないが、そのあたりをバッサリと切り捨てられる軽佻浮薄さが黄金期ハリウッド映画の気持ちよさだ。こういうのはヨーロッパやアジアじゃまずお目にかかれない。
口説きの心理描写と粋な会話が愉しい大人の映画にしてルビッチ監督の面目躍如
エルンスト・ルビッチ監督の代表作の一本。一組の泥棒カップルが織り成す恋と騙しの大人の遊びを上品に楽しく描いたソフィスティケーションコメディ。サイレント映画「結婚哲学」に通じる、男女間の口説きの心理描写の巧みさ、トーキー映画の利点を生かした会話のお洒落で粋なルビッチタッチが存分に楽しめる。最後の化粧品会社女性オーナー、ケイ・フランシスと主人公の泥棒ミリアム・ホプキンスの恋の駆け引き場面が、特に秀逸だ。大人のユーモアでは唯一無二の巨匠監督ルビッチの面目躍如の名作。
極上の美しさ
すごいなー、ルビッチ。映画が本当の娯楽だったということを分からせてくれる、そんな映画でしたね。
どの場面について触れようか、そんな選択なんて意味ないぐらい、すべてのシーンがよく出来てるって感じがします。それに女性も美しいし。
楽しかったねー、綺麗だったねー、切なかったねー、でも良い映画だったねー。そんな単純な感想を言いながら、劇場から出てくる自分を想像しましたです。
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