ゴールデンボーイ(1998)のレビュー・感想・評価
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ブラッド・レンフロを偲んで
「マイ・フレンド・フォーエバー」で魅了された俳優さん。
この作品でもやはり光っていた。
若くして亡くなったことが残念である。
高校生トッドがホロコーストに興味を持ち、バスで見かけた老人に気づく…というのはいくら優等生でもやや強引かなと。
似たような人いっぱいいるでしょ。(笑)
戦犯であることを暴き(指紋がどうの、とそれもすごい)、上からあれこれ命令するトッド。
とはいえ、老人もおとなしく引き下がりはしない。
あの手この手で逆転を狙う。
そのうちどちらか刺されるのでは?と攻防にハラハラ。
老人に対して粗暴な振る舞いをしたり親友に乱暴な口を利いたり、一方で両親の前では成績優秀の良い子演じる。
最後には不審に思って訪ねてきたカウンセラーへ暴言。
うーん、途中から失速気味なのが残念。
トッドの将来に暗雲が…それがメイン?
ちなみに…
結局戦犯がメインテーマではなかったが、最近でも100歳近い戦犯が有罪判決を受けている。
作品が公開された頃のアメリカには、若い関係者がまだまだ潜んでいたんだろうな。
若さの特権
ナチ将校のイアンマッカレン曰く「若さの特権」がブラットレンフロの全身からみなぎっていていい。女性関係のくだりはいるのかなとおもうたが、オーソドックではない異様な青春を描くのにけっこう重要なシーンではあったと思う。
ラストの「おいエド」もよかったですね。無慈悲というか、端正な顔だちであの加虐性ぞくぞくしますよ。
深淵を覗いた優等生の末路
原作は御大スティーヴンキング
ひょんなことからホロコーストに興味を持った成績優秀な高校生がいつも乗り合わせるバスの老人がかつての収容所の所長だったことを突き止める。
少年は老人の家を訪ねこう伝える、収容所での大量殺戮の詳細を自分に話せ、そうしたらバラさないでやる、と..
親の望む通りの優秀な良い子ちゃんでい続けた少年は、自分に足りなかった「何か」を悲惨極まりないホロコーストの虐殺話を聞くことで満たそうとする。
しまいにはナチスの軍服を模した衣装をプレゼントと称して老人に渡し着させ右向け右などと命令して越に入る始末だったが..
所詮おぼこい高校生と筋金入りの大量殺戮者では格が違う訳で..あっという間に老人を支配していたはずの少年は弱みを握られ老人から脅される側に転じてしまう。
窮地の少年が老人に死ねクタバレと暴言を吐く..かつての殺戮者に戻った老人は少年に呟く、「お前と俺とは地獄の底まで一緒だよ笑」、と。
互いに干渉しないことを条件に二人の関係は終焉を迎え少年は優等生の日常を取り戻したかに思えたが..思わぬ第三者によって急展開を迎えることとなる..
無抵抗な弱者を痛ぶることによる圧倒的な「愉悦」は世代を超えて間違いなく存在する
訳で..ホロコーストは決して過去の話ではなく現在進行形な現実であるともこの作品は訴えているのかも。
この映画が面白かった人には「ブラジルから来た少年」が超絶オススメでッス😃予備知識なしの視聴を推奨します。
呼び起こされた悪と、目覚めた悪
スティーヴン・キングの中篇小説を映画化した1998年の作品。
成績優秀、スポーツ万能の高校生トッドは、授業で習ったホロコーストに強い興味を持ち、没頭するように調べ始める。
そんなある日、一枚の古い写真から、近所に住む老人デンカーが元ナチス高官であった事に気付く…。
もし、あなたの身近に、今も身柄を追われている犯罪人が居たら…?
通報するのが普通だろう。
しかし、トッドはそうはしなかった。
デンカーに近付く。そして、
戦争中の行いを根掘り葉掘り聞く。
トッドは優等生なので、あくまで歴史的興味で…ではない。
ナチスの残虐さや人の死などに異様なまでに執着する。
トッドは当初からサディスティックな面があった。
デンカーへの接近や彼が元ナチスある特定や証拠も、犯罪に等しいやり方で。
それを強みに脅迫。
さらには、ナチスのコスプレまでさせ…。
端から見れば、老人虐待。
人類史上最悪の暴虐の話が、少年の心の闇、邪心を刺激する…。
その深みに陥っていったのは、トッドだけではない。
ナチスのコスプレをさせられて、嫌々行進の真似事までやらされるデンカーだったが、ふと、昔に戻ったかのように。そのシーンは、ゾッとするほどの凄み。
これまで優位に立っていたトッドだったが、この辺りから立場が逆転し始めたと思う。
デンカーの話にのめり込む余り、学校の成績が下がってしまったトッド。
カウンセラーとの面談の場が設けられ、その時デンカーが祖父のふりをする。
トッドとのやり取りを事細かに印した日記を金庫に閉まってあるという。
そして、デンカーの家の地下室での惨事…。
お前と私は道連れだ。
トッドは自らの愚かな行いを後悔しただろう。
関わるんじゃなかった。深みにハマるんじゃなかった。
デンカーともう会わないと決め、普通の生活に戻るも…。
そう簡単に関係が断ち切れる筈は無い。
何故なら、トッドが呼び起こしてしまった凶気なのだから。
事態が急変する。
“地下室での惨事”で、デンカーが身体を悪くし、緊急入院する。
その時の隣のベッドの老人が…!
それをきっかけに…。
ホラーの帝王と言われるキングだが、本作は非ホラー。
しかし、人の心の闇、目覚めた/呼び起こされた悪は、時にホラー以上に戦慄。
都合のいい箇所もある。近所に元ナチス高官が住んでいたり、隣のベッドの老人が…だったり。
が、絶対無いとは言い切れない。
恐ろしい運命の巡り合わせ、皮肉な末路を、スリリングに綴る。
アメコミ映画や大ヒット伝説のバンドの伝記映画ですっかり人気ヒットメーカーとなったブライアン・シンガーだが、初期の『ユージュアル・サスペクツ』や本作のような見応えあるサスペンス作の方が実は好き。またこういう上質のサスペンスを撮って欲しい。
イアン・マッケランはさすがの巧演と存在感を発揮するが、ブラッド・レンフロも良かった。
好青年が闇に染まっていく様を見事に演じた。
その演技力と美青年ぶりで将来を期待されていたのに、ハリウッドの若手あるあるのスランプや問題の末、彼が他界してもう10年も経つとは…。
トッドがその後、どういう大人になったか気になる。
ラストで彼のある嘘を問い詰めたカウンセラーを逆に脅迫。
きっと、大人になったトッドは、一見好人物。
が、その心の奥底は…。
目覚めた悪は…。
疑惑は
誕生日にナチス親衛隊の制服をプレゼントするという不気味な展開。ドゥサンダーの闇の心に火が付き、猫をオーブンに入れて殺そうとするなど残虐な心が蘇ってきた。興味本位に残酷な話にのめり込んでいったトッドはそのため不眠となり、学校では居眠り、成績もがた落ちとなる始末。
最初は「指紋も採取したし、写真も撮った」と圧倒的優位に立っていた優等生トッドだが、数か月話を聞くうちに立場が逆転。さらに、ホームレスの男が秘密を握り、ドゥサンダーを脅迫したため、正当防衛で殺してしまうという事態に発展する。それどころか、映画のストーリーも途中から意味が変わってきてるような気がする。
進路相談員エドとの関わりも、結局は少年愛をほのめかす内容となっており、卒業後にナチとの関係を問い詰められるもその点で押し切った優等生。同時進行的に入院中のドゥサンダーに対する取り調べが行われようとしていたが、アメリカ人として死にたかったドゥサンダーはチューブを外して自殺してしまう。
ブライアン・シンガー監督がユダヤ人であり、ゲイであることも明かしているので、主張したいこともわかるのだが、『ボヘミアン・ラプソディ』降板後に性的暴行疑惑が浮上したが、この映画を見る限りは、それはなかったことだと信じたくなってくる。
もっと危うくても良い!!
2018年に観ても古く感じません。良くあるナチスものや少年ものとは違って、独特で印象に残る映画でした。秘密を共有して信頼を築くまでは行かなかったのかな、最後でもう一転すると良かったです。
四季シリーズとは知らなんだ
刑務所のリタヘイワーズ(ショーシャンクの空に)
スタンドバイミーの間に挟まる夏の物語。
知能は高いがどこか危険な好奇心を持った少年が
元ナチス高官の正体を突き止め、その話を聞いていくうちに二人で内面の暴力性を呼び覚ましてしまう。
好奇心は猫をも殺すというが、文字通り余計なことをしてしまったものだ。
元ナチス高官の心情は余り掘り下げられず、もっぱら少年を主人公視点で描かれるこの話は、身の程知らずの若者への訓戒めいた調子だ。
もう少し、老人側の葛藤やバックグラウンドの丁寧な描写が観たかった。
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