「良く考えればわかりやすい」荒野のストレンジャー parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)
良く考えればわかりやすい
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なかなか実験的、挑戦的な作品です。ラーゴという町にやってきた、名前を名乗らないはぐれ者。金鉱が国有地に発見されたことから、それを国に伝えようとした保安官を鞭で殺した悪者と、金鉱の利益を自分たちのものにしようとして、それを見て見ぬふりした街の人々。その街自体も、暴力、嘘、裏切り、見て見ぬふり、利益だけで結びついた関係など悪が蔓延している。それ故に、自分たちの罪がばれるかと思い、よそ者に対して言いがかりをつけて、痛めつけようとしたり、殺そうとしている。
だから冒頭、はぐれ者に対して、3人が言いがかりをつけて返り討ちにあってしまうのだ。この街自体が、地獄のような街なので、街を赤のペンキで塗らせて、看板にはHELLと書かせる。
はぐれ者は、街の人々の罪をあぶり出し、悪者同士を争わせたり、殺し合いをさせて、最後に極悪人の3人を始末する。
最後、チビから名前を聞かれ、知っているはずさと。はぐれ者は、鞭で打たれて殺された「保安官の亡霊?」という余韻を残して、陽炎の立つ中に消えていく。
見ようによっては、はぐれ者や極悪人は、戦争をする世界、街の人々は、その後方で自分の利益だけを血眼になって考えている人々と深読みすることができなくもない。(イーストウッドは、確か朝鮮戦争に従軍している)前線で命を張って戦っている人達と、後方で戦争はいけないといいながら、自分たちは危険な橋を渡らずに、それでもしっかりと自分たちの利益だけは確保する人たちを冷たく突き放すように描いているようにも見える。
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