「ガンマンは後悔をしないのだ!」荒野の七人 Garuさんの映画レビュー(感想・評価)
ガンマンは後悔をしないのだ!
七人の凄腕ガンマンが、野盗軍団と戦う物語。
黒沢のリメイク物ではあるが、 作品のオリジナリティの高さと完成度からして、もはや別物だ。 この映画の制作に関わった人たちが、七人の侍から受けた衝撃の大きさとリスペクトが感じられる。 名作に触発されて生み出された名作、と言っていいだろう。
大好きなセリフがある。 野党の親分が七人のガンマンに仲間にならないかと持ちかけ、 それをマックィーン扮するヴィンが断るシーンだ。 野党の 親分としては、 金にもならない仕事に命をかける七人が理解できず、 「なぜそんな仕事を引き受けるんだ?」 と怪訝な顔で聞く。それにヴィンが答える。
「俺の友人に昔、 裸でサボテンに飛びついた男がいたんだ」
親分 「そいつは、なんでそんなバカなことをした?」
ヴィン 「おれもそう聞いたよ」
親分 「なんと言ったんだ?」
ヴィン 「そのときは、それでいいと思ったんだそうだ」
つまり、七人のガンマンたちも、「それでいい」と思ったから、この割に合わない仕事を引き受けた、ということだ。 男の決断には、金も名誉も屁理屈も必要ない、 もちろん後悔もないのである。
「約束だから」 も違う。 「義務だから」 も違う。 「農民たちを助けたいから」 でもない。
「それでいいと思ったから」
これなのだ!
七人のガンマンの侠気を言葉で表すには、 この言い回ししかない。 マックィーンが言ったからなおさらだが、 見事なほどにカッコイイ台詞なのである。
恥ずかしながら、私は実生活でこのセリフを使い倒している。 過去を悔やむような事があり、いつまでもイジイジと後悔に耽っているとき、 自分の頬を力いっぱい張ってこう言うのだ。
「あんときは、あれでいいと思ったからああしたんだろう!」
これによって、私は一瞬にして「女々しい男」から、「荒野の男」へと戻ることができるのである。
百姓よりもガンマンの方がいい。 バカでもいい。 自分のケツは自分で拭える、後悔をしない男の生きざまを貫きたいものだ。