劇場公開日 1988年2月11日

「ビッグバン・ベイダーは「皇帝戦士」 …関係ありません!」皇家戦士 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ビッグバン・ベイダーは「皇帝戦士」 …関係ありません!

2024年12月11日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

今、我が家の最寄のショッピング・センター入口に、ミシェル・ヨーが起用された国連の交通安全キャンペーンポスターが大きく掲げられている。彼女は国連UNDP親善大使だそうな。

WOWOWの「オスカー女優ミシェル・ヨー特集」にて初鑑賞。

ミシェル・ヨーの主演第2作とのこと。
真田広之が共演。
(真田広之も妻役の仁和令子も中国語の声優が吹替えしているから、逆に日本語の台詞がたどたどしい)

物語は代々木公園脇の歩行者天国から始まる。
〝竹の子族〟を楽しげに見物している少し垢抜けない女の子が、若き日のミシェル・ヨーだった。
さっそく代々木体育館前でドスを振り回すヤクザを相手にカンフーアクションを披露する。
ミシェル・ヨーはカンフーの経験はなく、バレエで鍛えた身体能力でカンフーの殺陣を覚えたというのだから凄い。
ここでヤクザたちに追われていた蕎麦屋の息子は、本編に全く関係ない…。
ミシェル(役名もミシェル)は香港の刑事なのだが、日本には観光で来ていたようだ。

ミシェルが香港へ帰る旅客機で事件が起きるのだが、そこで真田広之(役名ヤマモト)の登場だ!
この旅客機には香港に護送される犯罪者が刑事に連れられて搭乗していて、離陸後にその仲間が現れて護送刑事を射殺しハイジャックする。

もう一人、イケメンの航空警察官マイケル・ウォン(役名もマイケル)が登場する。ミシェル・ヤマモト・マイケルの3人がハイジャック犯を制し乗客乗務員を救う。
旅客機の中で銃を撃ったり窓を割ったりのハードなアクションで、乗客や乗務員に犠牲者が出るところがさすが香港映画だ。

さて、物語はここから。
ハイジャック犯たちには仲間がいて、彼らは戦場で生死の境を共有したようで、「俺達、死ぬも生きるも一心同体!」とスパルタンX的な絆で結ばれていた。
仲間を失った彼らの逆恨みによって、ミシェルたち3人は香港でエゲツナイほどの戦いを強いられる展開となる。

ヤマモトには香港に妻と幼い子供がいた。日本の刑事だった彼の妻子がなぜ香港にいたのか、刑事をやめたから日本に連れて帰るという事情もよくわからない。
このヤマモトの妻子が最初に襲われるのだが、このあたりの容赦のなさも香港映画らしいところ。
逃げる犯人、追うヤマモト、それを追うミシェルとマイケルの3連のカーチェイスはおそらくコマ落とし撮影で、笑っちゃうほどのスピード感だ。
そしてヤマモトは一人で逆襲に転じる。
真田広之の単独の見せ場もあるのだ。

ミシェルたちと悪党がバーで展開する接近戦のシークェンスが、これまた凄い。銃撃と格闘が目まぐるしく展開する。

マイケルは香港に戻って以来ミシェルにご執心でストーカーのごとくつきまとっていた。航空警察の仕事はどうしたのか…
そんなコミカル担当だったはずのマイケルに驚きの結末が訪れる。
驚くほど容赦のない逆恨み復讐劇の中で、最大級に無慈悲な展開だ。

そして、いよいよ最終決戦。
ミシェルが開発途中の装甲車で登場すると、テレビの昭和特撮ヒーロー物のごときロケーションで、しかしミシェルと真田が体を張ったアクションが凄いやら、笑わせるやらで、最後の悪党を葬る大爆発…
いやはや、この香港映画の有無を言わさぬ怒涛のエネルギーたるや、恐れ入るばかり。

kazz