恋はデジャ・ブのレビュー・感想・評価
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タイムループで気づく“何もない場所”にあった「成長の全て」
“何もない”田舎町の1日を永遠に繰り返すハメになってしまったら――冷静に考えると結構怖い。出会う人、見るモノ、起こる事件――全てが同じ事の繰り返し。でも、タイムループものは「自分が変わらないと、周囲が変化しない」という約束事があるからこそ、成長という要素が描きやすいんですよね。
コメディ調の本作は、その成長の描き方が見事。主人公は、超絶いけ好かない天気予報官のフィル。天気予報官という「未来を予測する職業」なのに“明日がやって来なくなる”という皮肉も良いんです。彼は取材先の田舎町「パンクスタウニー」を“何もない退屈な町”と見下していますが、それが「成長のための全てがあった(“何もない”の否定)」と変化していく点も◎。
本作のユニークなポイントは、1回のタイムループで起こる出来事を、あまり深堀しないところ。カットが切り替われば、既に“別の今日”になり、また次のカットでは“別の今日”。あくまで「明日」のための要素でしかない――だから、どんどん「今日」を終わらせよう。この演出がかなり楽しい。同じシーンを繰り返しながらも、フィルの変化を見せることで、時の積み重ねを表現している点が素晴らしいです。また「バカは死ななきゃ治らない」という諺がありますが、本作の世界では「バカは死ぬことで治っていく」という、ある意味ポジティブな捉え方。主演ビル・マーレイの“やりたい放題”“死にたい放題”は必見です。
余談:本作が気に入った方は、是非「ハッピー・デス・デイ」「ハッピー・デス・デイ 2U」も鑑賞してみてください。ホラーではありますが、作品の核は「タイムループ×成長」。このジャンルにおける近年の秀作。もっともっと楽しみたい方は、 Netflixの傑作ドラマ「ロシアン・ドール:謎のタイムループ」も超おすすめ。1エピソードは約30分。全8話。さっくり見れる傑作ブラックコメディです。
実存的な成長
二回目の鑑賞のはず。この時期(1993年)
暗くなり始めた時期だったけど、それに映画ばかり見てたけど、少しは成長もあったかなぁ。
でも、また、時間が走り始めると少し不安になるだろうね。
それは、残り時間が余りない老人だからそう思うんだね。
それが今回見て分かったなぁ。
邦題ダサ過ぎですが傑作です
死に向かって生きる存在者だからこそ
今の状況を前向きにとらえて有意義に過ごすその先にあるもの
独身男性フィルが2月2日を繰り返す。前半は笑える。
後半は思い通りにいかないことに嘆き、自分だけ特別な状況にあることを悲観する。
終盤、好きな女性リタに相談した後、不死身で膨大な時間がある今の状況を前向きにとらえることにした。全力で最善のことをする。そしてリタを落とすのではなく、なんと落とされる。感動的な本物の明日の朝を迎えてハッピーエンド。
ラブストーリーとしてもタイムリープものとしても最高。
ループもの代表作。ビル・マーレイ演じるフィルの困惑、悲観、挫折から...
今まで観た映画の中で一番笑った
とにかく笑える映画。
2月2日のループから抜け出せない男が、逆にその状況を利用して思いつく限りのことを行うのだが、それが本当に面白い。映画を観ながら終始笑いっぱなしだった。ビル・マーレイが基本的には真顔なのがまた笑える。
同じ日のループから抜け出せないのを利用して車で町を暴走する等の悪行も行うのだが、やはり悪行は飽きるのだろう。ヒロインのリタとの交流を通じて、町の人々への善行に励むようになり、周囲から感謝されるようになる。傲慢な性格だったのが、親切な性格に変わっていく。また、同じ一日が繰り返されるのを利用して、ピアノの練習や詩の学習にも励むようになり、リタから一目置かれる。彼は同じ一日を充実したものにしようと努力したのだ。
同じような毎日でも、周囲の人々への向き合い方や自己研鑽の積み重ねによって、人生は少しずつ変わっていく。自分もそんな前向きな人間でありたいと感じられる映画だった。
実際あったら怖い
もう30年も前の映画なんだけど時代を感じさせない。
服装や車なんかはもちろんレトロだなと思ったけど、設定が都会から遠く離れた田舎町なのでこれもありかとおもえてきてしまう。
実際同じ日が繰り返されるならなんでもしてみたくなる
酷い事言ったり、自殺したり、でもだんだんと主役が悟っていくのがわかった。
ピアノ習って自分磨き、人助け。
村中の人が感謝するような人物になる
そしてとうとう好きな人とうまくいく。
これって日々努力すれば報われるって事だよね
深い映画だった
しかし、酷い事したまま元に戻らなくてよかったね
素晴らしき哉、人生‼️
「恋はデジャ・ブ」‼️タイトルからしてコテコテのロマコメを想像してしまいますが、とんでもない‼️この作品はフランク・キャプラ監督の「素晴らしき哉、人生!」に匹敵する一人の男の成長物語であり、人生のドラマです‼️哲学的な香りもプンプン‼️テレビ・キャスターのフィルは、ある時、自分が同じ日を何度も繰り返していることに気づく。過去の過ちをやり直せることをアドバンテージとし、彼は、理想の女性リタを口説き落とすための策略を練る・・・。とにかくビル・マーレイ扮するフィルがメチャクチャ嫌な奴‼️高慢で自己中心的で根拠なしの自信家‼️おまけにビル・マーレイですから、ハンサムじゃないし、ヘアスタイルがヘアスタイルだし。そんなフィルが毎日同じ日を繰り返し、失敗や自分のダメな部分を一日一日改めていくことでどんどん魅力的になっていく‼️最初は町で見かけた美人やリタを口説くため、そしてその日のうちに死ぬことが自分にだけはわかっているホームレスを助けるため‼️何度リタにひっぱたかれたか❓何度絶望し自殺したのか❓何度ホームレスを助けられなかったのか❓何度失敗しても同じ2月2日の朝に目覚め、今度は失敗しないように、同じことを繰り返さないように奔走するフィルの姿‼️ホント胸が熱くなります‼️そんな彼が同じベッドで眠るリタに愛を囁く姿、パーティーでピアノを演奏する姿、"独身男のオークション" で恥ずかしそうに舞台に上がる姿に魅了されない人がいるのでしょうか❓リタ役のアンディ・マクダウェルもこの上なく魅力的で、"独身男のオークション" で競り落としたフィルに手を差し出す姿の美しいことといったら‼️そしてテレビ局のカメラマン・ラリー役クリス・エリオットのコメディアンぶりも素晴らしく、フィルと同じく "独身男のオークション" に上がり、2人組の老婆に落札される彼の姿は、哀しくもホント可笑しい‼️そして、朝、ペンションの部屋を出たときに出会う男性や、ペンションの従業員の中年女性、保険のセールスマン "馬面のネッド" みたいな脇のキャラ達もみーんな魅力的‼️この作品は一見バカげたロマコメのようでいて、人間の内面にある本当の美しさとは?人生の意味とは何なのか?という哲学的なクエスチョンを真剣に考えさせてくれる名作‼️ほんとに大好きな映画です‼️たくさんの人に観てほしい‼️
タイムループものの佳作
これは面白かった!
TVの天気予報官フィル(ビル・マーレイ)が冬のある1日を何度も繰り返すタイムループもので、TV局女性リタ(アンディ・マクドウェル)との恋愛ドラマも楽しい娯楽作。
個人的に、こうしたタイムループものの傑作は黒沢清監督の『タイムスリップ』だと思っているが、あの黒沢清作品のように爆笑もののシンプルな作りではなく、繰り返す「時間」に微妙な変化を織り交ぜているハロルド・レイミス監督作であった。
ただ、フィルが言う「この冬は永遠に終わらない」は笑える(^^)
この映画で上手いのは、何と言ってもフィルという男の態度の変化。
序盤は「なんか嫌なヤツだなぁ~」と思うのだが、後半になってくると「人のために尽くすような好青年」になっていく描き方が見事。
ちょっと惜しいのは、いつ終わるか分からないタイムループからの抜け出し…についての唐突さ。
それでも、全体的になかなか見事な娯楽作であった。
タイムループものの原点がここにある?
2月になると毎年観たくなる
デジャブは何回見てもいい
人が一番魅かれることとは何なのでしょうか
1日ループ系の分かりやすい題材で取り上げられたわかりやすい作品でした。
同じ1日がリセットされ続けるのだとしたら、人はどうするのでしょうか。何度も自殺してみたり、無茶苦茶ゆってみたり、計算しつくしたアプローチを試してみたり。
一番輝くのは自分の魅力を最大限に活かした時なのかなと思える前向きな作品です。
100冊分の1本
同じ一日が何度も繰り返される。映画人ならだれでも二の足を踏むプロットだと思う。
Happy Death Day(2017)は女性版かつホラー版だがオマージュとはいえ重圧に耐えきれず登場人物に「君の話はGroundhog Dayを思わせるね」と言わせている。主人公はその映画のことを知らない。すると相手はびっくり。
「How do you sleep at night? You’ve never seen groundhog day?」
(どうやって寝るんだ?Groundhog Dayも見たことないのに?)
これは「あなたがGroundhog Dayを見たことがないならそれは人生の大きな欠損だ」みたいな意味だろう。露骨な模倣であることを自嘲しているのである。コミカルなタッチだがいちおうホラーなので何度死んでも目覚めるところに焦点がくる。逆に言えば何度もやり直せる。
例えるならゲーム。ゲームで死んだらやり直す。やり直すなら死んだ原因を回避する。Edge of Tomorrow(2014)のケイジ(トムクルーズ)もそうした。
新兵として目覚めると鬼軍曹が待っている。異分子だらけの兵卒の巣窟に連れられアーマースーツを着けていきなり戦場へ。死ぬと再び新兵として目覚めたところへ戻る。セーブポイントはないので死んだら最初からぜんぶやり直し。学習し軌道修正するのを見るのが楽しい。
ホラーに使えSFに使えるならラブコメに使える。
When We First Met「理想の男になる方法」(2018)はフォトブースで写真を撮ると過去に戻る。それを利用してアダムディヴァインがアレクサンドラダダリオに何度もアタックする。
主人公が、何度もあいまみえる同じ事象にやり方を変えて対処する。それが楽しい。
フィルは朝目覚めると、陽気な客に会う、朝食をとる、物乞いを見かける、ぜんぜん思い出せない幼馴染みの保険屋に会う、ぬかるみの穴に足をとられる。これらのひとつひとつは、翌日また翌々日、同じ目に遭ったときのフィルの反応を期待させるのだ。
おそらくハロルドライミスにしても繰り返される同じ日に翻弄される男の喜劇をつくろうとしていたのだと思う。もとから高徳な志があったとは思わない。映画はだれが見ても1993年につくられたハリウッドのコメディだった。
ところがそれを見たすべての人がそこに人生の命題があることに気付いた。
わたしも以前、不機嫌を全身にまとっていたときがある。まいにち忙しく、やっかいなことばかり。職場では対立し、身内ともそりがあわない……。
……話の流れからすると今は立派な人間になったようなフラグだが、それを言いたいわけではない。これはGroundhog Dayを説明するのに必要な行程なだけだ。
だいたい説明もいらない話である。メタファーとか象徴とか、わかる人にはわかる文脈ではなく、教養や富や環境にかかわらずだれに対しても公平にそれが伝わる話だ。
テレビキャスターのフィル(ビルマーレイ)は自己中な性格、協調性に欠ける。キャスターの権威をかさに着て、横柄で思いやりがない。
毎年田舎町のイベント(Groundhog Day)の取材に行くが、内心、イベントも町も町民もウザいものに感じている。
「なんでおれがこいつらの取材しなきゃなんねーの」という感じ。今年も、とっとと終わらせて引き上げるつもりだった。
プロデューサーのリタ(アンディマクダウェル)とカメラマンのラリーと取材を済ませるが、雪で足止めをくい、町に止宿を余儀なくされる。
が、一夜明けてみると、また昨日と同じイベント日。
翌日もまた同じイベント日。その翌日も……。
繰り返される日を生きていくほかないとさとったフィルは、酔っ払う、お金をちょろまかす、騙りで女をせしめる、散財してみる、憧れのリタの攻略を試みる。
日毎学習し失敗を修正しながらリタを落とそうとするが、彼女はいっこうに落ちない。下心を見透かされ毎回(日)失敗する。
やがて絶望したフィルは自死を試みる。クルマで崖に墜落、感電死、トラックに飛び込み、教会の鐘楼から飛び降り、いずれも死ねない。朝6時には、また新しく同じ日が始まる。
なにもかもやり尽くしたフィルが最後にやり始めたのは周りの人々をハッピーにすることだった。
態度をあらため、人を小馬鹿にする言動をやめ、邪険に接するのをやめ、無関心でいることをやめ、人に興味を持ち、親切に接する。
自己研鑽もしてみる。ピアノを習い、小説を読み、氷彫刻もやってみる。
退屈なだけの田舎町という偏見を捨てて町の人々を助けイベントに積極的に参加する。
Groundhog Dayのパーティーで、リタが見るのは、ステージでノリノリのピアノ伴奏をするフィル。町じゅうの人々から感謝されるフィル。
ステージイベントの独身男オークションで、リタは全額を投じてフィルを競り落とす。自然に結ばれるリタとフィル。
その日で、輪廻が止まる。
映画が伝えるのは人に親切にして日々楽しく生きなさいというストレートなメッセージである。言葉にしてしまうと恥ずかしいほどだがその人生の命題がいささかのけれん味もなくダイレクトに表現されている。
わたしたちが思春期から抱えている大きなジレンマに「こんな街の、こんなところで、こんな人たちと、こんなことをしている」というのがある。
「こんな」は落胆や諦観をふくんでいて、いったんそれを抱えてしまうとローテンションが属性と化し、抜け出すことができない。
今様の呼び方を用いるならモラトリアムになるのかもしれないが、とりわけ特殊な意識ではなくだれもが抱えてきたものだ。
今この時も「まいにち同じことの繰り返しだ」と、だれかがどこかで嘆いているに違いない。
わたしも地方に住んでいて中小企業につとめていて仲間は毎日同じで仕事も毎日同じである。
さてそれなら、その同じことの繰り返しを、腐って過ごすのか、楽しく過ごすのか、どちらがいいのですか、と映画は問いかけている。
とはいえ映画に教訓はない、押しつけがましくない、画策しているものなどなにひとつ見えない、そもそも始めから終わりまでアメリカのコメディ映画の枠を外れない。
暢楽なままで見ているうちにしぜんとそんな問いかけがあり、驚きの哲学があることに気付いてしまうのである。
偉そうなことは言えないがあなたがもし生き方の実用書を探しているのならその100冊にこの1本が匹敵するはずである。
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